208円安と続落、中国の景気懸念が重荷

 
20日午前の日経平均株価は続落し、前引けは前日比208円48銭(0.62%)安の3万3161円94銭だった。
前日の米国株市場が奴隷解放記念日の祝日に伴い休場だったことで手掛かり材料難が意識されたが、欧州では主要国の株価指数が総じて軟調だったことから、買い手控えムードの強い地合いとなった。中国経済の減速懸念も上値を重くしている。個別では総合商社株が人気を集めたが、買い一巡後は伸び悩む展開になった。また、半導体の主力銘柄は高安まちまちとなっている。鉄鋼など景気敏感株は売りが膨らんだ。
 
中国人民銀行(中央銀行)は20日、事実上の政策金利と位置づける最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)の期間1年、同5年超のいずれも下げた。利下げは2022年8月以来、10カ月ぶり。中国当局は景気下支えに動くとの見方があったものの、「利下げをしないといけないほど中国景気は悪いのではとの慎重な見方が広がり、日本株に売りが強まった」との声があった。日本製鉄や安川電、ファナックなど中国関連株と位置付けられる銘柄に売りが膨らんだ。
 
一方、日経平均は上昇する場面もあった。著名投資家ウォーレン・バフェット氏による買い増しが明らかになった5大商社株はそろって上昇した。4月からの上昇局面で買い遅れた投資家の買い意欲は強く、下がった場面では主力株などに押し目買いが入り、日経平均の上げ幅は一時100円を超えた。
 
ここまでの急ピッチの上昇ですでに日本株のバリュエーションの割安感は解消され、テクニカル的には過熱感が拭えず、いつ調整が入ってもおかしくないタイミングでもあった。こうした中、日経平均が節目の3万4000円を前に目先小休止の局面に入っても何ら不思議ではない。
為替の円安進行という支援材料もあったが、日経平均、TOPIX(東証株価指数)はともに軟調さが続いている。こうしたところからも、特殊要因による一時的な下落というよりは、調整局面に入った可能性の方を想定しておくべきかもしれない。
 
東証株価指数(TOPIX)は続落した。午前終値は前日比18.59ポイント(0.81%)安の2271.91だった。
 
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆693億円、売買高は6億8278万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1349と、全体の7割強を占めた。値上がりは420銘柄、横ばいは65銘柄だった。
 

 


業種別株価指数(33業種)では保険業、証券・商品先物取引業、鉄鋼の下落が目立った。卸売業、海運業は上昇した。
 
個別ではソシオネクストが大幅高。三菱商や三井物、住友商、伊藤忠、丸紅はそろって上場来高値を更新した。ANYCOLORも物色人気。また、さくらインターネットは投資資金が集中し値上がり率で群を抜いている。高水準の自社株買いを発表した図研、力の源ホールディングスなども値を飛ばした。開発に関するリリースを材料にジャパンディスプレイも大きく上昇している。
 
半面、レーザーテックが冴えず、トヨタ自動車もやや売りに押される展開。三菱UFJフィナンシャル・グループなどメガバンクが軟調、ニーズウェルが大きく利食われたほか、マネジメントソリューションズも反落となった。
企業向けの火災保険料を事前に調整していた疑いに関する報道を受け、東京海上、SOMPO、MS&ADの保険が大幅安。三井金、ファイバーゲートはレーティングの格下げ、SCSKは目標株価の引き下げでそれぞれ下落した。

 

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