16日午前の日経平均株価は続伸し、前引けは前日比202円37銭(0.68%)高の2万9828円71銭だった。
前日の米国株市場では、債務上限問題に対する過度な不安心理が後退しNYダウが下げ止まった。これを受け、きょう前場の東京株式市場はリスク選好の地合いが続いた。日経平均株価は続伸、一時2万9890円まで上値を伸ばしフシ目の3万円大台まであと100円あまりに迫る場面があった。その後は目先スピード警戒感からの利益確定売りに押されたが、2万9800円台をキープして前場の取引を終えている。半導体関連株が総じて高く全体相場を押し上げている。
米債務上限問題を巡る投資家の過度な警戒感が和らぎ、運用リスクを取る動きが強まった。15日のフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は2.7%高となり、東京市場でも東エレクなど半導体関連株に買いが入り指数を押し上げた。
日経平均が心理的節目の3万円に接近したこともあり、買い一巡後は伸び悩んだ。午前に発表された4月の中国工業生産高など経済指標に対する反応は限定的だった。
「PBR(株価純資産倍率)が1倍を下回る企業の構造改革が進むとの期待感が外国人投資家を中心に強く、日本株の上昇につながっている」と話した。
国内企業の決算発表が前日で一巡したことで本日からは手掛かり材料の取得に難儀することが想定される。加えて、中国の世界経済けん引役の期待も剥落しつつある中、日経平均はこのまま3万円台の大台回復に成功するのだろうか。日経平均の予想一株当たり利益(EPS)が切り下がっているなか、足元の株高はほぼ株価収益率(PER)主導の上昇だ。値動き自体は非常に強いが、ここからの上値追いには慎重になりたい。
東証株価指数(TOPIX)は続伸した。午前終値は前日比8.00ポイント(0.38%)高の2122.85と、約33年ぶりの高値水準。前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆7756億円、売買高は8億3159万株だった。東証プライム市場の値上がり銘柄数は845、値下がりは898、変わらずは87だった。
業種別株価指数(全33業種)では電気・ガス業、鉱業、小売業などが上昇した。下落は海運業、ガラス・土石製品、保険業など。
個別では、レーザーテック、東京エレクトロン、アドテストが買われているほか、ルネサスエレクトロニクスが上昇、キーエンスも堅調。三菱UFJフィナンシャル・グループが強い動き。リクルートホールディングス、ファストリ、ソフトバンクグループ(SBG)も高い。コプロ・ホールディングス、円谷フィールズホールディングスが急騰した。
半面、三井住友フィナンシャルグループが軟調、日本郵船も売りに押された。ソニーグループも安いほか、コニカミノルタの下げが目立つ。河西工業が急落、ティラド、ネットプロテクションズホールディングスなども大幅安、電通やスズキは売られた。
