193ドル安と続落、トランプ関税に警戒

27日のNYダウ工業株30種平均は続落した。前日比193ドル62セント安の4万3239ドル50セントと1月中旬以来およそ1カ月半ぶりの安値で終えた。

 
トランプ米大統領は27日、中国からの輸入品に対し、3月4日からさらに10%の追加関税を課すと表明。発動を延期していたメキシコ・カナダには予定通り25%の関税を導入すると宣言したことも相まって、市場では景気の先行きに対する懸念が高まり、金融や建機などの銘柄に売りが出た。
また、エヌビディアが売られ、ハイテク株の下げも重荷となった。
 
27日発表の米経済指標も景気の先行き不透明感につながった。週間の米新規失業保険申請件数は市場予想を上回って前週から増えた。1月の米仮契約住宅販売指数は市場予想以上に前月から低下した。このところ消費者や企業の景況感の悪化を示す指標の発表も目立ち、投資家心理の重荷となった。

 

半導体やハイテク株への売りも相場を押し下げた。26日夕に発表した2024年11月〜25年1月期決算で売上高が市場予想を上回ったエヌビディアが8%あまり下げた。人工知能(AI)向け半導体の販売が好調で、25年2〜4月期の売上高見通しも予想以上だったものの、短期的な利益率悪化などが懸念された。
 
これまで旺盛だったAI投資の持続性を巡る不透明感もくすぶるなか、半導体関連株やAI関連銘柄の一角に売りが広がった。主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は6%安となった。
 
半面、ディフェンシブ株を中心に買いが入り、ダウ平均は450ドルほど上昇する場面があった。市場では「相対的にみて関税の影響が出にくい銘柄に買いが入っている」との声が聞かれた。ハイテク株が売られた一方、保険や金融、エネルギー株などへの循環物色につながったとの見方もあった。
 
個別銘柄では前日夕に決算とあわせて発表した収益見通しが市場予想に届かなかったセールスフォースが4%近く下げた。アマゾン・ドット・コムやマイクロソフト、アップルも売られた。半面、トラベラーズやユナイテッドヘルス・グループ、マクドナルドといったディフェンシブ株が買われた。スリーエムやシェブロンも高い。
 
ナスダック総合株価指数は反落した。前日比530.844ポイント(2.78%)安の1万8544.419(速報値)と、24年11月上旬以来の安値で終えた。ブロードコムやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)など半導体関連株への売りが目立った。アルファベットやメタプラットフォームズなど主力株も下げた。
 
S&P500種株価指数も反落した。前日比94.49ポイント(1.58%)安の5861.57(速報値)と1月中旬以来の安値で終えた。「恐怖指数」とも呼ばれる米株の変動性指数(VIX)は21台前半と、不安心理が高まった状態を示すとされる20を上回り、昨年12月中旬以来の高さとなった。
 

 


【シカゴ日本株先物概況】

27日のシカゴ日経平均先物は下落した。3月物は前日比470円安の3万7585円で終えた。この日は日経平均株価が上昇したものの、ハイテク株を中心に米株式相場が下げており、シカゴ市場の日経平均先物には売りが優勢となった。
 
 
シカゴ日経225先物 (円建て)
37585 ( -715 )
 
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
 37600 ( -700 )
 
( )は大阪取引所終値比
 

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数

27日の英FTSE100種総合株価指数は3日続伸し、前日比24.75ポイント(0.28%)高の8756.21で終えた。同日に2024年12月通期決算を公表した英航空機エンジン大手ロールス・ロイス・ホールディングスが、今期についても強気な見通しを示した。同社株価が約16%高と急伸しFTSE100種指数を押し上げた。

FTSEの構成銘柄では、27日に公表した24年12月通期決算で、調整済みのEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)が市場予想を上回ったロンドン証券取引所グループが6.08%高、保険会社ヒスコックスが4.47%高で続いた。一方、広告大手WPPは16.23%安と売り込まれ、システムキッチンメーカーのハウデン・ジョイナリー(6.14%安)と産金大手エンデバー・マイニング(5.21%安)の下げも目立った。

■ドイツ・フランクフルト株価指数
 

27日のドイツ株価指数(DAX)は反落し、前日比243.22ポイント(1.06%)安の2万2550.89で終えた。米関税を巡るトランプ米大統領の発言などを受け、貿易摩擦が欧州の経済や企業収益の逆風になる可能性が意識された。
 
トランプ氏は26日、米国の欧州連合(EU)からの輸入品に関税を検討していると言及し「近く公表する」などと述べた。27日には自身のSNSで、メキシコとカナダに対する関税について「予定通り3月4日に発動するだろう」などと投稿した。中国に対して10%の追加関税を課すとも記した。トランプ氏によるSNSへの投稿後、DAXは下げ幅を広げた。
 
個別では、通販大手ザランドが4.05%安、自動車大手BMWが3.80%安、高級車メーカーのポルシェが3.62%安と下落。半面、27日に2024年10〜12月期決算を公表した化粧品大手バイヤスドルフは3.62%高、防衛大手ラインメタルは3.20%高、通信大手ドイツテレコムは1.71%高と買われた。
 

■フランス・パリ株価指数

フランスの株価指数CAC40は反落し、前日比0.50%安で終えた。

 

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