20日午前の日経平均株価は続落し、前日比163円78銭(0.52%)安の3万1266円84銭で前場を終えた。
米長期金利上昇が嫌気されたほか、中東情勢の緊迫化による原油高が警戒され前日のNYダウは250ドル安と続落した。これを受け、日経平均株価は売り先行でスタートし、一時下げ幅は300円を超した。
ただ、前日の急落に続く下げで、下値には値頃感からの買いも流入。売り一巡後は下げ幅は縮小した。機械や輸送用機器、銀行株が安い一方、医薬品や鉱業、紙パなどが値を上げて推移している。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長による金融引き締めに積極的な「タカ派」発言などを背景に、高金利の長期化懸念が強まった。
19日夕の取引で米長期金利が一時5%台に乗せる上昇となり、株式相場には売り圧力が強まった。20日の東京市場では日経平均のオプション価格から算出する日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)が一時23.26と6月に付けた年初来高値(23.16)を上回った。金利水準に合わせて売買するCTA(商品投資顧問)や金融商品の変動率に着目して取引をするリスク・パリティー戦略を採る機関投資家からの売りが出たもようだ。
売り一巡後は下げ渋る場面も目立った。相場の変動率の高まりを受けて医薬などディフェンシブ銘柄の一角には買いが入った。市場では「海外短期筋が日経平均先物にしかけ的な買いを入れているようだ」との観測もあった。
後場の日経平均はプラス圏に浮上できるか。FRBのパウエル議長は次回のFOMCでは政策金利を据え置く姿勢を示したが、その後は追加利上げの可能性があると強調している。利上げがすでに終結したと推測する市場の見方をけん制しており、FRBの金融政策も先行きが見通しにくい。午後からはアジア市況の動向に加えて、米株先物の推移を見極めたく、引き続き買い進む動きは限定的となりそうだ。
テクニカル面では、サポートラインが見当たらず、3万1000円も視野に入ってきている。総じて、手掛かり材料に乏しい中、個別に材料が出た銘柄中心に注目しておきたい。
東証株価指数(TOPIX)が8.64ポイント安の2255.52、JPXプライム150指数はいずれも続落した。前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆6912億円、売買高は6億2243万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は978、値上がりは618、横ばいは62銘柄だった。
業種別株価指数(33業種)では保険業、電気機器、機械の下落が目立った。上昇は医薬品、鉱業、ゴム製品など。
個別銘柄では、INPEXや三井物産が高く、任天堂やオリエンタルランドがしっかり。がん領域3製品でメルクと開発・商業化契約締結を発表した第一三共やエフィッシモの大量保有が伝わり思惑買いが向かった西松屋チェーンは急騰、NISSOHD、古野電気、三和ホールディングスなどが値上がり率上位となった。
半面、ソフトバンクグループが売られた。太陽誘電の下げが目立った。レーザーテックやディスコ、東京エレクトロンが安く、トヨタ自動車やファーストリテイリング、資生堂が値を下げた。北米地域での在庫調整受けて業績予想を下方修正した富士通ゼネラルが大幅下落。ほか、TOWA、タツモ、ダイレクトマーケティングミックスが下落率上位となった。
