19日のNYダウ工業株30種平均は4日続落し、前週末比162ドル92セント(0.5%)安の3万2757ドル54セントで終えた。
パウエルFRB議長は先週の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、インフレを抑制するため、今後も利上げを継続する必要性を強調した。同時に発表したFOMC参加者の経済見通しでは、2023年の政策金利の水準が市場の想定を上回った。市場では、「(利上げに積極的な)タカ派姿勢」と受け止められ、急速な利上げが景気を冷やすとの警戒感が強まっている。
米利上げの継続が景気を冷やすとの懸念から売りが続いた。米長期金利の上昇を受け、相対的な割高感が意識されやすい高PER(株価収益率)のハイテク株が売られたことも相場の重荷となった。
インフレ抑制に向け、米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが長期化するとの観測が強い。全米住宅建設業協会(NAHB)が19日に発表した12月の住宅市場指数が市場予想に反して低下し、景気悪化への警戒感が強まったとの見方もあった。消費関連株の下げが目立ち、映画・娯楽のウォルト・ディズニーが5%安、スポーツ用品のナイキは3%安で終えた。
米長期金利は一時、前週末比0.11%高い(価格は安い)3.60%を付け、ハイテク株の売りにつながった。ソフトウエアのマイクロソフトとスマートフォンのアップルが2%近く下げた。
ダウ平均は午前中は前週末終値を上回る場面があった。14~16日の3日間に1100ドル超下げた後で、短期的な戻りを見込んだ買いも入った。買い一巡後は幅広い銘柄に売りが出て、下げ幅は一時300ドルを超えた。市場では「休暇を取る市場関係者が増えており、薄商いで値動きが大きくなりやすい」との声が聞かれた。
ナスダック総合株価指数も4日続落し、前週末比159.382ポイント(1.5%)安の1万0546.032で終えた。交流サイトのメタプラットフォームズが4%、ネット通販のアマゾン・ドット・コムが3%下げた。半導体関連株も軒並み売られた。
【シカゴ日本株先物概況】
19日のシカゴ日経平均先物は下落した。2023年3月物は前週末比110円安の2万7170円で引けた。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げによる景気後退への懸念が重荷となり、4営業日続落した。景気の先行き不安から米株式相場が下落し、日経平均先物にも売りが波及した。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
27170 ( -50 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
27195 ( -25 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7361.31(+29.19)
19日のFTSE100種総合株価指数は4営業日ぶりに反発した。前週末に比べ29.19ポイント(0.40%)高の7361.31で引けた。中国政府による2023年の景気刺激策への期待から原油先物相場が上昇し、エネルギー株に買いが入った。
個別では、投資会社メルローズ・インダストリーズが3.2%高と上昇率トップ。石油大手BP(2.5%高)や同シェル(2.0%高)も買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13942.87(+49.80)
19日のドイツ株価指数(DAX)は4営業日ぶりに反発し、前週末に比べ49.80ポイント(0.36%)高の1万3942.87で終えた。独Ifo経済研究所が19日発表した12月の独企業景況感指数が市場予想を上回った。ドイツ経済の落ち込みが想定ほど深刻ではないとの見方が投資家心理の支えとなった。前週末まで3日続落していたため、短期的な戻りを見込んだ買いも入りやすかった。
個別では、高級車メーカーのポルシェ(3.5%高)やエネルギー大手シーメンス・エナジー(2.0%高)が堅調だった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6473.29(+20.66)
フランスCAC40種指数は0.32%高だった。
景気後退への懸念が和らぎ、買いが優勢となった。
