19日午前の日経平均株価は反落し、午前終値は前日比161円52銭(0.41%)安の3万9108円88銭だった。
きょう前場は引き続き方向感の定まらない地合いとなり、日経平均は朝方に高い場面もあったが、前場中ごろを境に先物を絡め急速に軟化した。
その後は押し目買いで下げ渋ったものの、戻し切れず160円あまりの下げで前場の取引を終えた。トランプ政権下での関税強化の動きが懸念されるほか、きょうは日銀の高田審議委員の宮城県金融経済懇談会でのタカ派的ともとれる発言が報じられ、日銀による追加利上げに対する警戒感から投資家のセンチメントが冷やされる格好となった。
日銀の高田審議委員は19日の宮城県金融経済懇談会で挨拶し、先行きの金融政策運営を巡って、設備投資や賃上げといった「前向きな企業行動」の持続性が確認され「見通しが実現していけば、一段のギアシフトを進める局面だ」などと語った。今後も利上げを継続する必要があるとの考えを示し、金融正常化に積極的な「タカ派」と受け止められた。
朝方には国内債券市場で長期金利が一時1.435%と約15年3カ月ぶりの高水準をつけるなど、金利の先高観が強まっている。金利上昇の恩恵を受ける銀行株には買いが入り、三菱UFJが連日で上場来高値を更新した。一方、金利上昇で株式の相対的な割高感が意識されやすくなるとの見方は根強く、株式相場全体では売りが優勢だった。
トランプ米大統領は18日、4月にも公表予定の輸入自動車への追加関税について「25%くらいになるだろう」と述べた。半導体や医薬品に対する追加関税の引き上げを検討する考えも示し、関税強化による世界経済への影響を警戒する売りも出た。
前場に伝わった日本銀行の高田審議委員の発言を受けて、10年物国債利回りは1.435%まで上昇した後は1.425%で推移している。
高田審議委員は、「賃上げなど前向きな企業行動の持続性が確認されて経済・物価見通しが実現していけば、金融緩和度合いの調整で一段のギアシフトを進める局面にある」との見解を示した。タカ派な発言ではあるが、これまで通りの発言だったこともあり、債券・金利市場はさほど材料視されなかった。
後場は、高田審議委員の記者会見が予定されていることで、より踏み込んだ発言の有無が注目されよう。後場の東京株式市場は、債券、金利、為替市場を睨んだ展開となり、日経平均は引き続き小動きとなりそうだ。
東証株価指数(TOPIX)は反落した。前引けは11.50ポイント(0.41%)安の2764.01だった。JPXプライム150指数も反落した。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆3747億円、売買高は9億4794万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は932。値上がりは634、横ばいは74だった。
業種別は、精密機器、輸送用機器、医薬品、ゴム製品、保険などが下落した一方、パルプ・紙、金属製品、海運、銀行、石油・石炭などが上昇した。
個別では、前引け時点で売買代金首位となったディスコだが、株価は下値を探ったほか、サンリオの下げがきつい。ソフトバンクグループも売られた。トランプ大統領による関税発言を受けて、マツダ、三菱自動車、ホンダ、SUBARU、トヨタ自など自動車株が下落した。
キーエンスが安く、GMOインターネットは大きく利食われ値下がり率でトップに。シンフォニア テクノロジーも大幅安。また、TOPPANホールディングス、富士フイルム、オリンパス、第一三共なども下げた。このほかの銘柄では、円谷フィHD、タカラトミーなどエンタメ系の銘柄の下げが目立った。
半面、三井住友フィナンシャルグループが堅調、証券会社のポジティブなレポートなども影響してしずおかFGなど銀行株の上げも目立った。SUMCO、東京エレクトロンなど半導体関連の一角が上昇したほか、任天堂が頑強な値動きを示した。クラボウが大幅高、サンケン電気、太陽ホールディングスなども値を飛ばしている。
このほか、サッポロHD、ニデック、ニチレイ、王子ホールディングスなどが買われた。
