31日午前の日経平均株価は反落し、午前終値は前日比156円41銭安の3万8369円54銭だった。
朝方はリスク回避ムードのなか、日経平均は大きく下値を探る展開となり、寄り後早々にフシ目の3万8000円台を割り込む場面もあった。きょう昼ごろに判明する日銀の金融政策決定会合で国債買い入れの減額と合わせて、政策金利の引き上げを行うとの思惑が高まり、買いが手控えられた。ただ、売り一巡後は半導体関連の一角などに買い戻しが入り、下げ幅を縮小している。
日銀の利上げ観測に伴う円高進行などを背景に海外短期筋が株価指数先物に売りを出し、日経平均を下押しした。30日の米ハイテク株安を受け、東京市場でも半導体関連の一角に売りが出た。朝方に節目の3万8000円を下回る場面もあった。売り一巡後、下値では買いが入り、一段と下値を模索する展開にはならなかった。
日銀は昼ごろに結果を正式に発表するとみられ、報道内容に沿って追加利上げが決まれば株式の割高感が許容されにくくなるとの見方が日本株の重荷となった。7月会合では消費低迷などを背景に長期国債の買い入れ減額計画だけを公表し、追加利上げは見送るとの見方が多かった。利上げが決定した場合の株式市場への影響を警戒し、運用リスクを回避する動きも広がった。
外国為替市場では円相場は一時、1ドル=152円台前半まで上昇した。トヨタなど輸出関連に売りが出た。前日の米ハイテク株の下落を受け、値がさの東エレクやソフトバンクグループ(SBG)などにも売りが波及し、日経平均を下押しした。
売り一巡後は下げ幅を縮めた。日経平均は11日に付けた史上最高値(4万2224円)から2週間ほどで4000円ほど下落した。短期間での急落とあって、下値では個人などの押し目買いや自律反発狙いの買いが入りやすかった。東証株価指数(TOPIX)は前引けにかけて上げに転じる場面があり、金利上昇が収益面で追い風となりやすい三菱UFJやみずほFGなど銀行株には買いが入った。
11時40分時点では、日銀の金融政策決定会合の結果は発表されていない。事前の報道通り、追加利上げ実施となった場合、多少、為替の円高ドル安及び株安が進む可能性はあるが、既に昨日の155円台から152円台まで円高ドル安が進行したことから一段の円高ドル安は回避されよう。同じく日経平均も既に3万8000円を割りこんだことから、株式市場への影響も限定的と考える。15時30分から開始される植田日銀総裁の記者会見で「低金利を継続する」といった話が出て段階的な利上げを打ち消した場合、日本株はナイトセッションで持ち直す可能性もあろう。記者会見にて、「脱デフレ」を意識するようなポジティブな利上げの流れが市場に伝われば、日本株買いの流れが強まると考える。
TOPIXは小幅に続落し、前引けは1.96ポイント(0.07%)安の2752.49だった。JPXプライム150指数は続落し、5.98ポイント(0.49%)安の1209.55で前場を終えた。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆9389億円、売買高は8億1099万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は621。値上がりは967、横ばいは57だった。
業種別では、空運業、サービス業、輸送用機器、医薬品、精密機器などが下落した一方、銀行業、証券・商品先物取引業、パルプ・紙業、水産・農林業、倉庫・運輸関連業などが上昇した。
個別では、レーザーテック、東京エレクトロンなどが安く、ソフトバンクグループの下げも目立つ。第1四半期営業利益が二けた減益となったオリエンタルランドが大きく値を下げ、同社株の大株主の京成電鉄も売られた。村田製作所、ANAホールディングスも決算がネガティブ視されて下落。日本M&Aセンターホールディングスが急落、M&A総研ホールディングスなども大幅安。トプコンの下げも目立つ。このほか、ソフトバンクG、エーザイ、日東電工、太陽誘電、トヨタ自、ソニーグループが売り優勢となった。
半面、ディスコが朝安後切り返し高くなったほか、金利上昇を受けて、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループなどメガバンクが買われ、三井住友トラストHD、野村、りそなHDなど金融株が総じて上昇した。
第1四半期大幅増益で市場予想を上回る着地となったTDKが値を飛ばした。ファーストリテイリングもしっかり。愛三工業が急騰、マキタも物色人気に。このほか、フジクラ、清水建設、ファナックが買われた。
