29日午前の日経平均株価は続伸し、前引けは前日比154円50銭(0.47%)高の3万3348円49銭だった。
きょう前場は買い優勢の地合いで、日経平均株価は先物を絡め上げ足を加速し、一時300円以上水準を切り上げる場面があった。前日の米国株市場はNYダウが軟調だったものの、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は続伸しており、外国為替市場で1ドル=144円台前半の推移と円安傾向にあることも追い風となった。ただ、取引終盤は先物への大口売りを契機に急速に上げ幅を縮小した。戻り売り圧力も強く、先物主導で不安定な値動きとなっている。
米半導体メモリー大手マイクロン・テクノロジーが28日発表した2023年3~5月期の決算で、売上高などが市場予想ほど落ち込まなかったのを受け、半導体市況の底入れへ期待が高まった。29日の東京株式市場では東エレクが年初来高値を更新するなど、値がさの半導体関連銘柄が買いを集めた。
先物主導の展開を映し、指数寄与度の高い半導体関連銘柄やファストリの上げが目立った。外国為替市場では1ドル=144円台前半まで円安・ドル高が進んだ。輸出採算が改善するとの見方から精密機器株や電気機器株にも買いが入った。
一方、11時ごろから日経平均は伸び悩んだ。特段目立った悪材料は出ておらず、市場では「前日から先物主導で上げが続いてきたため、まとまった売りが出た」との声が聞かれた。
前日の後場から力強い展開となり早々に3万3000円を回復。本日も前日の米株高を受けて値幅を伴って続伸している。前日は権利付き最終売買日だったため、権利取りを狙った売買が活発したもよう。
また、3月末に権利確定した配当金の支払いも概ね一巡してきたとみられ、配当金を受け取った投資家の再投資の動きなども支えになったと考えられる。日経平均をはじめ日米ともに主要株価指数が25日移動平均線まで下落したことで、テクニカル要因でも押し目買いが入りやすかったとみられる。こうした背景が、四半期末に伴う年金基金のリバランス(資産配分の調整)目的の売りが意識されるなかでの株式の意外高につながったと思われる。
6月が終わり、四半期末に伴うリバランスが終わったとしても、7月には日米の金融政策決定会合があり、その前には重要なインフレ・雇用関連の指標も控える。また、さらにその先には日米主力企業の4-6月期決算が控えている。製造業を中心に経済指標の減速が続くなかで欧米中銀の利上げは続いており、こうした影響が今後、時間差を伴って実体経済に表れてくる可能性もある。こうした中、上記イベントを確認・消化する前に、新しい四半期末に入ったからといって早々に再び積極的に株式の持ち高を積み上げてくるとは考えにくいだろう。投資戦略としては、引き続き景気敏感株やハイテク株は避け、景気・為替の影響を受けにくい内需系企業を選好すべきと考える。
東証株価指数(TOPIX)は続伸した。午前終値は前日比0.62ポイント(0.03%)高の2299.22だった。16日に付けた年初来高値(2300.36)を上回る場面も多かったが、前引けにかけて伸び悩んだ。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆9170億円、売買高は8億8145万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は854と、全体の約47%にとどまった。値下がりは912銘柄、横ばいは61銘柄だった。
業種別株価指数(33業種)は精密機器、銀行業、電気機器などが上昇した。下落はパルプ・紙、海運業、食料品など。
個別では、レーザーテック、ソシオネクスト、アドバンテストなどの半導体関連主力株が商いを伴い高い。三菱UFJフィナンシャル・グループも値を上げた。楽天グループが買い優勢、日産自やテルモ、オリンパスも高い。ハローズが大幅高、酉島製作所も値を飛ばした。トリケミカル研究所も買われた。
半面、そーせいグループが大商いのなか急落した。JTが軟調、NTTも利食われた。J.フロント リテイリングが安く、王子ホールディングス、JTも値を下げた。
