13日午前の日経平均株価は大幅続落し、前日比1478円49銭の1万7081円14銭で前場を終えた。
新型コロナウイルスの感染拡大による世界景気の悪化に警戒感が強まり、前日のNYダウ工業株30種平均が2000ドル超下げるなど、欧米株が記録的な下げとなった。日本株にも売りが加速し、内需、外需問わずほぼすべての銘柄が売られる全面安となった。
米政府は欧州からの渡航者を制限。イタリアでは死者が1000人を上回り、薬局と食料品店を除く全店舗の閉鎖が決まった。市場で「需要が蒸発し、経済へのダメージは計り知れない」といった悲観的な見方が一段と強まり、幅広い銘柄が売られた。
取引開始後は、売り注文が買い注文を大幅に上回るため値が付かない銘柄が続出した。日経平均株価は1万8100円台で始まったが、すぐに1万7000円台に突入。10時すぎには1万7000円も割り込んだ。1万7000円を下回るのは取引時間中として2016年11月以来3年4カ月ぶり。「ショート(売り)を仕掛けているヘッジファンドでさえ、この相場についていけなくなっているところがある。足元では中長期マネーが売りの主体になっているようだ」という。
トランプ米大統領は12日、東京五輪の延期について言及した。日本側は延期や中止は検討していないと明言しているが「日本経済の悪化シナリオを持ったマクロ系のファンドが日本株売りに動いているようだ」。世界的にみても米大リーグの開幕延期や、F1のオーストラリアでの開幕戦中止などが相次ぎ、実体経済の影響は計り知れないとして、警戒感が一段と強まっている。
日経平均は前場後半にかけては1万7000円近辺でもみ合った。財務省・日銀・金融庁はこのあと3者会合を開く。各国中銀は流動性供給などを通じて市場の安定化を図っている。きょうも日銀による上場投資信託(ETF)買いなどに対する思惑は出やすい。とはいえ、相場の安定につながっていないのが現状で「過剰流動性に支えられたマネー相場は転換点を迎えた」との声もあった。
JPX日経インデックス400と東証株価指数(TOPIX)は前引けでともに7%超安だった。前引け時点の東証1部の売買代金は概算で2兆4487億円、売買高は17億5277万株に膨らんだ。東証1部の値下がり銘柄数は2158と、全体の99%超を占めた。
業種別株価指数(全33業種)はすべて下落した。鉱業、不動産業、空運業の3業種は下落率が10%を超えた。
個別銘柄では、ソフトバンクグループ(SBG)やファーストリテイリング、ソニー、任天堂といった主力値がさ株が大幅安。三菱UFJフィナンシャル・グループや三井住友フィナンシャルグループといった銀行株が売られ、東京エレクトロンやキヤノン、キヤノンなどハイテク株も軒並み安となった。KDDI、中外薬、エーザイ、ファミマ、国際石開帝石の下げも目立つ。
半面、値上がり銘柄はアンリツなど6銘柄のみだった。新型コロナウイルスの検査薬キットの販売が好感されたクラボウがストップ高カイ気配となった。前場で上昇したのは、カイ気配のクラボウと、ホウスイやオーバル、アンリツ、高速、アイコム、シナネンホールディングスなど。変わらずは1だった。
東証2部株価指数は前日比404.71ポイント安の4913.33ポイントと3日続落した。
出来高5674万株。値上がり銘柄数6に対し、値下がり銘柄数が465と、全面安商状となった。
きょう東証2部に上場した木村工機は公開価格(2400円)を14.6%下回る2050円で初値を付けた。前引けは1973円だった。
個別では、オリジナル設計、瀧上工業、ジャパンエンジンコーポレーション、イクヨ、丸八倉庫がストップ安。ギグワークス、パシフィックネット、アゼアス、クロスプラス、ウェルス・マネジメントなど13銘柄は一時ストップ安と急落した。JESCOホールディングス、KHC、省電舎ホールディングス、三井金属エンジニアリング、工藤建設など342銘柄は昨年来安値を更新。天昇電気工業、コーア商事ホールディングス、本州化学工業、宇野澤組鐵工所、TBグループが売られた。
一方、アイスタディ、北日本紡績、北陸ガス、メタルアート、ハイパーが買われた。
