21日のNYダウ工業株30種平均は小幅に3営業日ぶりに反落し、前日比12ドル37セント安の3万1176ドル01セントで終えた。
バイデン大統領が掲げる1兆9000億ドル規模の経済対策によって、新型コロナウイルスの流行で打撃を受けた米経済が下支えされるとの期待が、引き続き株価を支援。ダウは一時3万1272.22ドルを付け、取引時間中の史上最高値を更新した。ただ、高値警戒感が漂う中で、この日は手掛かり材料も不足。ダウは終日、プラス圏とマイナス圏を行き来する方向感の乏しい展開となった。
このところ買われてきた景気敏感株を売り、ハイテク株に資金を移す動きが広がった。景気敏感株ではクレジットカードのアメリカン・エキスプレスや銀行のJPモルガン・チェース、航空機のボーイングが利益確定売りに押され、ダウ平均の重荷となった。アナリストが投資判断を引き下げた石油のシェブロンは4%安と下げが目立った。
一方、主力ハイテクは連日で買いが優勢だった。来週以降に2020年10~12月期決算の発表を控え、市場予想を上回る内容を見込んだ買いが入った。アナリストが目標株価を引き上げたスマートフォンのアップルが4%高、ネット通販のアマゾン・ドット・コムや交流サイトのフェイスブックの上げも目立った。21日夕に決算発表を控えた半導体のインテルは6%高となり、エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)など他の半導体株にも買いが広がった。
ハイテク株がけん引し、ダウ平均は取引終了間際までは前日終値を上回って推移する場面が目立った。バイデン米大統領は21日、コロナワクチンの供給加速などを目指す10本の大統領令に署名した。ワクチンの材料や医療用マスクなどの不足を解消するため、大統領権限を使って企業に必要な材料の生産を優先するよう命じる。感染抑制に積極的な新政権の姿勢も市場心理を支えた。
セクター別では、景気動向に業績が大きく左右されるエネルギーや素材、金融、資本財などが下落。一方、巣ごもり需要による成長期待が大きいITや通信が上昇。消費財株も買われた。
ナスダック総合株価指数は3日続伸し、前日比73.667ポイント(0.5%)高の1万3530.915で終えた。S&P500種株価指数も前日比1.22ポイント高の3853.07で終え、ともに連日で過去最高値を更新した。
NYダウ工業株30種(ドル)
31,176.01-12.37
S&P500種
3,853.07+1.22
ナスダック
13,530.915+73.667
NY金(ドル/トロイオンス)
1,866.50+26.30
NY原油(ドル/バレル)
53.03-0.28
円・ドル
103.48 – 103.52-0.04
【シカゴ日本株先物概況】
21日のシカゴ日経平均先物は小幅続落した。3月物は前日比35円安の2万8665円で引け、21日の大取終値を65円下回った。
前日に過去最高値を更新したNYダウ工業株30種平均が利益確定売りに押され、日経平均先物にも売りが波及した。ただ、バイデン政権下での景気回復期待は根強く、ナスダック総合株価指数は過去最高値を更新し買いを支えた。
この日の3月物安値は2万8500円、高値は2万8830円。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
28665 ( -65 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
28680 ( -50 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6715.42(-24.97)
21日のFTSE100種総合株価指数は反落した。前日の終値に比べ24.97ポイント(0.4%)安の6715.42で引けた。構成銘柄の半数以上が上昇したが、主力の資源株が下落し相場を押し下げた。
前日終値付近で一進一退して推移した後、引けにかけて売り圧力が強まった。外国為替市場でのポンド上昇を背景に多国籍企業への売りが目立った。新型コロナウイルスの感染拡大による行動規制が長期化するとの見方も投資家心理を重くした。
原油と金属相場の下落を受けて石油株と鉱業株が売られ、下げを主導した。
個別銘柄では、ポンド高が収益の重荷になる医薬品株や酒類のディアジオにも売りが出た。
また、英航空機エンジン製造大手ロールス・ロイスが3.8%安。英石油大手BPは3.1%安、欧州航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)は3.0%安だった。
一方、決算内容を好感してソフトウエア開発のセージ・グループは高くなった。ネット専業スーパーのオカド・グループは、アナリストの目標株価引き上げを手掛かりに上げた。同業のセインズベリーなどにも買いが広がった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13906.67(-14.70)
21日のドイツ株式指数(DAX)は小幅に反落した。終値は前日と比べて14.70ポイント(0.1%)安の1万3906.67だった。
日中を通して狭い範囲での取引だった。欧州中央銀行(ECB)は21日の理事会で金融政策の現状維持を決めた。市場の予想通りだったため、相場の反応は薄かった。航空エンジン大手のMTUエアロ・エンジンズの下げが目立った。フォルクスワーゲンをはじめ自動車株は上昇した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5590.79(-37.65)
