112円高と株価堅調も違和感が拭えない

 
25日午前の日経平均株価は続伸し、前日比112円52銭(0.39%)高の2万8706円04銭で前場を終えた。前引け時点で18日に付けた年初来高値(2万8658円)を上回った。一部主力企業の好調な決算を受けて投資家心理が改善した。
 
朝方から主力株をはじめ幅広く買い優勢の展開となり、日経平均は2万8000円台後半で強調展開を続けた。これまで売られていた半導体関連や大手銀行株が下げ止まり、全体相場を下支えした。値がさの半導体関連株が買われたことも相場を押し上げ、日経平均の上げ幅は一時200円を超える場面もあったが、前場取引終盤に手仕舞い売りで伸び悩んだ。ただ、個別株物色意欲は旺盛で値上がり銘柄数は全体の75%を占めている。
 
24日の取引終了後に市場予想を上回る2024年3月期(今期)の連結純利益見通しを発表したニデックは一時、前日比4%高まで買われた。同社は25日10時から都内で決算説明会を開催している。経営陣が電気自動車(EV)向け駆動装置「イーアクスル」などの積極的なシェア拡大に言及したのを受け、買いの勢いが強まる場面があった。
 
次世代半導体の国産化のため、政府が新たに資金を補助すると伝わったのが材料視され、東エレクやアドテストなど値がさの半導体関連株が買われたことも相場を押し上げた。
 
日経平均の上値が重くなる場面もあった。年初来高値を上回って推移する場面では個人投資家を中心に利益確定の売りが出た。米金融不安の再燃への警戒感から積極的な買いが手控えられた面もあった。
 
株式市場はたしかに堅調ではあるが、引き続き足元の株価の想定超の底堅さを過大評価するべきではないと考える。今晩の米国市場ではアルファベット、マイクロソフトの決算が予定されている。景気後退懸念が強まっている中、顧客のクラウド投資については予算縮小やスケジュール延期などが想定され、注目のクラウド事業については両社ともに成長鈍化が予想される。ある程度は織り込まれていると思われるが、S&P500採用企業のうちIT業種を対象としたPER(株価収益率)などバリュエーションには割高感が否めず、株価反応には注意が必要だろう。
また、今週は米地銀決算が他にも多数控えており、パックウェストが今晩の米国市場では予定されている。預金流出の状況などが引き続き警戒され、金融不安もくすぶる中、今後も株式市場は堅調ながらも上値の重い展開が続きそうだ。
 
 



東証株価指数(TOPIX)は続伸した。前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆1879億円、売買高は4億8662万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は1371、値下がりは383、変わらずは82銘柄だった。
 
 
業種別株価指数(33業種)は証券・商品先物取引業、その他製品、陸運業、建設業などが上昇した。下落は鉄鋼、電気・ガス業など。
 
 
個別では、ニデックが大商いで上値を追ったほか、信越化とダイキンが高い。任天堂も買われた。三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループなどメガバンクも高い。キーエンス、三菱電機なども上昇した。東名が大幅続伸、ベイカレント・コンサルティングも物色人気。証券会社のレーティング格上げが確認された乃村工藝社も大幅高だった。
 
半面、神戸鋼と日本製鉄が安く、楽天銀行も大きく売られた。東ガス、東電HDも売られた。高島屋も下げた。トレジャー・ファクトリー、Sansanなども下落している。ほか、MSOL、Sansan、Appier、SHIFTなどグロース(成長)株の下落が目立つ。

 

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