10日のNYでダウ工業株30種平均は反落し、前日比112ドル18セント(0.3%)安の3万3174ドル07セントで終えた。ロシアとウクライナの外相会談が目立った進展なく終え、投資家心理を冷やした。
米労働省が朝方発表した2月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比7.9%上昇。ウクライナ情勢の緊迫化に伴うエネルギー価格の高騰で、伸びは前月(7.5%)から加速し、1982年1月以来40年ぶりの大きさとなった。
インフレ圧力が継続していることが改めて確認され、米連邦準備制度理事会(FRB)が積極的な利上げに向かうとの観測が強まった。米債券市場では、長期金利の指標である10年債利回りが一時2%台に上昇。高PER(株価収益率)のハイテク株は割高感が増し、売りに押された。
スマートフォンのアップルは3%下げ、顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムも安い。物価上昇によるコスト高が収益の重荷になるとの見方から、日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)や飲料のコカ・コーラなどディフェンシブ株の一角も下げた。ロシア市場からの撤退が伝わった金融のゴールドマン・サックスも安い。
半面、資源高の恩恵を受ける石油のシェブロンが3%上げ、建機のキャタピラーも買われた。幹部が10日の投資家向けイベントで「業績はウクライナ情勢による悪影響を大きく受けていない」と述べたと伝わった小売りのウォルマートは2%高で終えた。
ロシアのラブロフ外相とウクライナのクレバ外相は10日、トルコのチャブシオール外相も交え、トルコ南部アンタルヤで会談した。しかし、ウクライナでの即時停戦では進展がなく、ロシアは軍事作戦の続行を表明。先行き不透明感が高まり、株式相場では売りが広がったが、引けにかけて下げ幅を縮小した。
ナスダック総合株価指数は反落し、前日比125.583ポイント(0.9%)安の1万3129.963で終えた。ソフトウエアのマイクロソフトや半導体のエヌビディアなど主力株が総じて下げた。前日夕に株式分割と自社株買い増額を発表したネット通販のアマゾン・ドット・コムは5%高で終えた。
NYダウ工業株30種(ドル)
33,174.07-112.18
S&P500種
4,259.52-18.36
ナスダック
13,129.963-125.583
FTウィルシャー5000
43,573.68-188.36
NY金(ドル/トロイオンス)
1,988.20-55.10
NY原油(ドル/バレル)
105.76-2.94
円・ドル
116.12 – 116.14+0.20
【シカゴ日本株先物概況】
10日のシカゴ日経平均先物は反落した。3月物は前日比90円安の2万5305円で引け、10日の大取終値を435円下回った。
ロシアとウクライナ外相の停戦交渉で進展なく、さらに、10日発表の2月消費者物価指数(CPI)が40年ぶり最大の伸びとなったため、寄り付き後、下落。連邦準備制度理事会(FRB)の利上げを警戒した売りも再燃し、終日軟調に推移した。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
25060 ( -440 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
25125 ( -375 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7099.09(-91.63)
10日のFTSE100種総合株価指数は3日ぶりに反落した。前日に比べ91.63ポイント(1.27%)安の7099.09で引けた。ウクライナとロシアの外相会談は停戦に向けた進展がなく、ウクライナ情勢の不透明感が投資家心理を冷やした。前日の大幅高で利益確定の売りも出やすかった。
個別では、前日急騰したロシア鉄鋼大手エブラズ(10.7%安)が急反落するなど、指数構成銘柄の約8割が下落した。DAXでもアディダス(6.2%安)やBMW(5.5%安)などが売り込まれ、全面安となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13442.10(-405.83)
10日のドイツ株価指数(DAX)は反落し、前日比405.83ポイント(2.93%)安の1万3442.10で終えた。欧州中央銀行(ECB)が10日の理事会で量的金融緩和の縮小を加速することを決めたのを嫌気した売りが出た。ウクライナ情勢を巡り、ロシアとの間で解決の糸口がみえないことも投資家心理の重荷となった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6207.20(-180.63)
フランスCAC40種指数は2.83%安の6207.20だった。
ウクライナとロシアの停戦交渉に進展がなかったことで失望売りが広がり反落した。
