3日午前の日経平均株価は小幅に上昇し、前日比11円12銭高の2万1355円20銭で取引を終えた。
新型コロナウイルスによる景気悪化に対抗するため日米欧の金融当局が金融緩和などの措置を取る姿勢を示したことを好感し、大半の銘柄が値上がりして取引が始まった。しかし、寄り付きから5分程度で買いが一巡し、その後は値を消していく銘柄が目立った。
朝方には、上げ幅が前日比375円まで拡大する場面もあった。前日のNYダウ工業株30種平均の上げ幅が過去最大となったことや、日銀が2日に株価指数連動型上場投資信託(ETF)の買い入れ額を大幅に増やしたことを好感した買いが入った。
ただ、市場では「金融緩和で新型コロナによる実体経済への悪影響はなくならず、現時点で上値を追う展開にはならない」との見方が多い。戻り待ちの売りが次第に膨らむなか、日経平均は下げに転じる場面もあった。
日銀は連日となる5000億円の国債現先買いオペを実施したが、株式市場の反応は限定的だった。
「短期売買ファンドだけでなく長期運用する海外機関投資家の売りも続いている」との見方が出ていた。
市場からは「前週末にかけて大きく下げただけに、戻れば売りが出てくる。景気や企業業績の悪化は織り込みが進んでいるとみられるが、落ち着くにはまだ時間が掛かる。新型肺炎のニュースをにらみつつ値固めが必要だ」との声が聞かれた。
前引け時点の東証1部の売買代金は概算で1兆3643億円、売買高は7億9768万株だった。JPX日経インデックス400と東証株価指数(TOPIX)は下落した。
東証1部の値上がり銘柄数は603と全体の3割弱にとどまった。値下がりは1487、変わらずは72。
業種別株価指数(全33種)は、化学、医薬品、食料品が上昇し、その他製品、電気機器、銀行業が下落した。
個別では、エーザイが大幅上昇、武田薬品工業も買いを集めた。旭化成やSBG、資生堂も高い。ソフトバンクグループ、ソニーが堅調。オリエンタルランドも買い優勢。ビーロットが急伸、カーブスホールディングスはストップ高。テモナ、大幸薬品なども大幅上昇した。
半面、東京エレクトロンが朝高後に値を消し、T&D、ファナックが安い。NTTも軟調。サニックスが急落となったほか、エイチ・アイ・エスも大幅安。ノーリツ鋼機も大きく値を下げた。
東証2部株価指数は前日比51.85ポイント高の6312.04ポイントと続伸した。
出来高4305万株。値上がり銘柄数は257、値下がり銘柄数は168となった。
個別では三光マーケティングフーズ、デュアルタップが一時ストップ高と値を飛ばした。コーア商事ホールディングスは昨年来高値を更新。タカトリ、セイヒョー、アイスタディ、扶桑電通、魚喜が買われた。
一方、マーチャント・バンカーズ、倉庫精練、旭コンクリート工業、小島鉄工所、オリエンタルチエン工業など8銘柄が昨年来安値を更新。カワセコンピュータサプライ、ムーンバット、ラオックス、大和、アサヒ衛陶が売られた。
