28日午前の日経平均株価は反落し、午前終値は前日比1074円08銭安の3万7182円09銭だった。
前日の米株式市場で、NYダウが下落したほかナスダック指数が前の日に比べ約2.8%安と急落した。エヌビディア<NVDA>が売られ、半導体関連株などが下落した。トランプ米大統領が中国に追加関税を課す方針を示したことも警戒された。
米株式市場が下落した流れを受け、東京市場でも日経平均株価は大幅安。午前11時過ぎには、前日に比べ1100円を超える下落となる3万7074円の安値をつけ取引時間中としては昨年9月以来、5カ月ぶりの水準まで売られた。値がさの半導体関連株の下落が全体相場を押し下げている。
27日の米株式市場で、ナスダック総合株価指数や主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が急落した。米エヌビディアの下落が相場を押し下げた。28日の東京株式市場でも値がさの半導体に売りが出て、アドテストと東エレクの2銘柄で日経平均を330円ほど押し下げた。
トランプ米大統領は27日、延期していたカナダとメキシコへの追加関税を3月4日から課す方針を示した。中国にも発動済みの追加関税に加えて新たに10%の追加関税を課すという。26日にはトランプ氏がメキシコとカナダへの追加関税の発動時期を4月2日と表明したと一部で伝わり、関税賦課の延期への期待が高まっていただけにトヨタなど自動車関連などに売りが出やすかったとの見方もあった。安川電など中国関連も安かった。市場では「中国の追加関税は今後も引き続き強化されるとの見方が強く、関連銘柄は買いづらい」との声があった。
東証株価指数(TOPIX)は反落した。前引けは51.29ポイント(1.87%)安の2684.96だった。JPXプライム150指数も反落し、27.08ポイント(2.26%)安の1169.43で前場を終えた。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆1173億円、売買高は8億7956万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1257。値上がりは321、横ばいは59だった。
前場の日経平均は一時3万7000円割れの懸念も高まったが、何とか37000円台を維持した。ただ、日経平均の取引時間中の上下の値幅は850円と大きな動きとなったが、プライム市場の売買代金は2.1兆円に留まった。外部環境等の不透明感から投資家のセンチメントが悪化しており、買いが手控えられているようだ。急落時に売買代金が膨らんでいれば、セリングクライマックスといった見方もできるが、じり安の状況では積極的な押し目買いは入れにくい。投資家心理の悪化を受けて、後場の東京株式市場は日経平均の一段安を警戒しておきたい。
業種別では、非鉄金属、機械、電気機器、サービス、輸送用機器などが下落した一方、電気・ガス、鉱業の2セクターのみ上昇した。
個別銘柄では、ディスコ、東京エレクトロン、レーザーテック、スクリーンHD、ソシオネクスト、SUMCO、アドバンテスト、キオクシアホールディングス、ソフトバンクGなど半導体株の大幅安が目立ったほか、フジクラ、古河電工、住友電工など電線株もきつい下げとなった。三菱UFJフィナンシャル・グループや三菱重工業も軟調だった。このほか、富士電機、日立、安川電機、キーエンスなどが下落した。
半面、ディー・エヌ・エーやセブン&アイ・ホールディングス、武田薬品工業が値を上げ、東京海上ホールディングス、イビデン、LINE ヤフーが上昇した。
このほか、アサヒ、東京海上、武田薬、住友化学、日本ハム、MS&ADなどディフェンシブ系の銘柄が買われた。なお、日経平均構成銘柄では24銘柄のみ上昇した。
