16日午前の日経平均株価は大幅に続伸し、午前終値は前日比1073円78銭(2.92%)高の3万7800円42銭。上げ幅は一時1100円を超えた。
15日の米株式相場の上昇を受けて投資家心理が一段と上向き、幅広い銘柄に買いが入った。
米7月小売売上高が予想を上回りソフトランディング期待が高まるなか、NYダウが大幅上昇したことが好感された。為替相場が一時1ドル=149円台へ円安が進行したことも追い風となった。半導体や銀行、自動車などの主力株が買われた。
15日に発表した7月の米小売売上高は米景気の堅調さを示唆する結果となったことで、15日の米株式市場ではダウ工業株30種平均など主要株価指数が上昇した。この流れを引き継ぎ、16日の東京市場ではファストリやソフトバンクグループ(SBG)など指数寄与度が高い銘柄が買われた。国内の長期金利上昇を受け、利ざや改善期待から三菱UFJなど銀行株に資金が向かい、第一生命HDなどの保険株も物色された。
市場では「日銀の追加利上げや米景気のハードランディング(硬着陸)懸念、中東での戦線拡大への警戒を背景にした日本株の調整は行き過ぎだった。こうした懸念がいったん和らいだことで日経平均は3万8500円程度までは戻りを試す余地がありそうだ」との声が聞かれた。
東証株価指数(TOPIX)も続伸した。前引けは62.63ポイント(2.41%)高の2663.38だった。JPXプライム150指数は続伸し、29.85ポイント(2.57%)高の1191.76で前場を終えた。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆5952億円、売買高は9億8518万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は1465。値下がりは160、横ばいは21だった。
日経平均VIは26ポイント水準で推移しており、指数が大きく動くことを想定する投資家は減少傾向にある。ボラティリティ低下も本日の大幅高の背景にあるが、大引けで25日移動平均線を上回ることができるか注目だろう。
25日移動平均線が下向きのため、トレンドが転換するといった意味合いではないが、仮に上回れば7月19日以来となるため、投資家のマインドはより改善しよう。
為替が1ドル148円70銭台と朝方より円安ドル高は一服しており、後場一段高を試すには難しい地合いかもしれないが、日経平均がどの位置で大引けを迎えるか要注目。
全業種が上昇したなか、石油・石炭製品、電気機器、非鉄金属、鉱業、保険業の上げが目立った。
個別銘柄では、米ハイテク株が上昇したことから、ルネサスエレクトロニクス、レーザーテックやディスコ、アドバンテスト、SUMCO、東京エレクトロンが高く、三菱UFJフィナンシャル・グループや三井住友フィナンシャルグループが値を上げた。トヨタ自動車やホンダもしっかり。三菱商事や日本郵船も堅調。フジクラ、古河電工など電線株も買われた。このほか、日立、TDK、太陽誘電、村田製作所が上昇した。
半面、さくらインターネットやメルカリ、サンリオ、セブン&アイ・ホールディングスが下げた。NXホールディングス、バンダイナムコHD、明治ホールディングス、東宝、日野自動車などが下落。日経平均採用銘柄で下落したのは、15銘柄に留まった。
