29日午前の日経平均株価は続伸し、前引けは前日比107円86銭高の2万2975円13銭だった。取引時間中としては2018年10月11日以来、約1年ぶりに2万3000円台に乗せる場面があった。
前日の米国市場ではS&P500指数が史上最高値を更新するなど、主要株価指数がそろって上昇。為替も1ドル=109円台に乗せるなどドル高・円安に振れたことから輸出関連を中心に幅広い銘柄に買いが入った。
欧州連合(EU)が英国の離脱期限を20年1月末まで延期することで合意したことも買い安心感につながった。
ただ、日経平均が2万3000円台に乗せた後は一進一退の展開となり、上値の重さが目立った。
円安進行による輸出採算の改善期待から自動車株が買われたほか、米長期金利の上昇を受けた利ざや改善期待から銀行株が堅調に推移した。業種別では鉄鋼、非鉄なども高い。半面、繊維や空運が下落した。
2万3000円台を回復した後の上値の重さについては、「約1年ぶりの水準で、心理的な節目でもあったため、達成感が出やすかった」という。また、「米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀の金融政策決定会合を見極めたい、という雰囲気もあるのだろう」との指摘もあった。日経平均は連騰し、テクニカル面では短期的な過熱感も出ている。後場も上値は重そうだ
JPX日経インデックス400と東証株価指数(TOPIX)は反発した。前引け時点の東証1部の売買代金は概算で1兆1325億円、売買高は6億6944万株だった。
東証1部の値上がり銘柄数は1698と、全体の8割近くを占めた。値下がりは367、変わらずは90銘柄だった。
業種別株価指数(33業種)は、その他金融業、銀行業、保険業、鉄鋼、ガラス・土石製品などが上昇。下落は空運業など2業種。
個別では、日東電や信越化、安川電、キーエンスが上昇。T&DやSOMPOが堅調に推移し、ソフトバンクグループ(SBG)、任天堂が高い。ソニーも買い優勢。三櫻工業がストップ高、モリテック スチールも値を飛ばした。
半面、20年3月期の連結純利益予想を下方修正したファナックと、19年12月期の連結純利益予想を下方修正したキヤノンは下落した。SUMCO、スクリンが軟調だったほか、東電HD、JR東海、ANAHDが安い。エーザイも売りに押された。ファーストリテイリングも冴えない。レーザーテック、エムスリーも安い。ユー・エム・シー・エレクトロニクスは大幅安となっている。
東証2部株価指数は前日比22.62ポイント高の6864.61ポイントと続伸した。
出来高5605万株。値上がり銘柄数は224、値下がり銘柄数は149となった。
個別では、アサヒ衛陶、石井表記が一時ストップ高と値を飛ばした。アヲハタ、サトウ食品工業、広栄化学工業、ユーピーアール、原弘産など8銘柄は年初来高値を更新。ビート・ホールディングス・リミテッド、花月園観光、ヒラノテクシード、エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート、ASTIが買われた。
一方、ジー・スリーホールディングス、ワシントンホテル、高砂鐵工、小島鉄工所が年初来安値を更新。ショクブン、サンテック、那須電機鉄工、アイケイ、大和が売られた。
