16日午前の日経平均株価は反発し、午前終値は前日比107円38銭高の3万8551円96銭だった。
きょう前場は主力株中心にリスク選好ムードのなか買い優勢で始まり、日経平均は一時500円近い上昇をみせる場面もあった。
前日の欧州株市場でドイツの主要株価指数が最高値を更新したほか、米国でもNYダウやナスダック総合株価指数が大幅高に買われており、東京株式市場もこれに追随する動きとなった。しかし、上値では戻り売り圧力が強い。自動車株など輸出セクターを中心に売りがかさみ、日経平均は取引開始後30分で前場の高値を形成し、その後は一貫して値を消す展開を強いられている。
なお、TOPIXはわずかながら前日終値を下回って着地している。また、値下がり銘柄数が値上がり数を大きく上回った。
2024年12月の米消費者物価指数(CPI)はエネルギーと食品を除くコアの上昇率が市場予想を下回り、インフレ再加速に対する過度な懸念が薄れた。CPIを受け米長期金利が低下し、前日の米株式市場ではハイテク株を中心に買いが広がった。
東京株式市場でも朝方からソフトバンクグループ(SBG)やアドテストなどハイテクや半導体関連株が買われ、日経平均を押し上げた。前日の米株式市場で米大手金融株が上昇したことから、保険や銀行などの金融セクターも上げた。
ただ、買いの勢いは続かず、外国為替市場で円高・ドル安が進んだことで、日経平均は急速に伸び悩んだ。米ブルームバーグ通信が「日銀が来週会合で利上げの公算大」と報じたことで、日銀の1月会合での追加利上げの確度が高まったとの見方から円買い・ドル売りが進んだ。円相場は一時1ドル=155円台前半まで上昇し、トヨタなど輸出関連株への売り圧力が強まった。
「今日こそは米国株高を背景とした大幅反発」を期待した投資家も多かったと推測するが、日本株の上値は重いままだ。長期金利の指標となる10年物国債利回りは1.24%水準と横ばい。1月23-24日に開催される日本銀行による金融政策決定会合での利上げ観測は高まっているが、メガバンクなど金融株がしっかり買われるなど強い動きは見られず。積極的な買いの主体が不在なため、後場の日本株は上値の重い展開が続き、前日終値を下回る可能性もあるだろう。
東証株価指数(TOPIX)は反落した。前引けは0.63ポイント安の2690.18だった。JPXプライム150指数も反落し、0.13ポイント(0.01%)安の1188.40で前場を終えた。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆9734億円、売買高は8億9293万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は664。値下がりは909、横ばいは70だった。
業種別では、証券・商品先物、石油・石炭、サービス、保険、パルプ・紙などが買われた一方、海運、輸送用機器、空運、食料品、医薬品などが下落した。
個別では、エンジン不正問題で米当局と和解した日野自動車が買われたほか、アドバンテストがしっかり、ソフトバンクグループも頑強な値動きをみせている。大真空が大幅高で値上がり率トップ、JMDCが値を飛ばし、日野自動車も物色人気。円高を材料にニトリホールディングスが買われた。また、12月の工作機械受注が好調だったことからオークマ、ファナック、SMCなどが上昇。このほか、野村ホールディングス、TOTO、サイバーエージェント、クラレなどが買われた。
一方、株式売り出しで需給悪化懸念が意識されて村田製作所が売り優勢となったほか、円高ドル安を受けて、トヨタ自、日産自、マツダ、スズキ、SUBARU、ホンダなど自動車株の多くが下落した。
また、商船三井、川崎汽船、日本郵船など海運株が弱い。このほか、横浜ゴム、キッコーマン、荏原製作所などが下落した。マネーフォワードが急落、キオクシアホールディングスの下げも目立っている。
