1007円安と大幅反落、円高進行が重荷、先物売り膨らむ

 
 
1日午前の日経平均株価は大幅に反落し、午前終値は前日比1007円58銭(2.58%)安の3万8094円24銭だった。
 
きょう前場は主力株をはじめ幅広い銘柄に売りが広がり、日経平均は急落となった。前日の米国株市場ではハイテク株に買いが集まり、ナスダック総合株価指数が大幅に上昇したほか、半導体銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も急騰したが、この流れを引き継げず、リスク回避ムードの強い地合いとなっている。日銀が前日の金融政策決定会合で追加利上げを決めたことで、外国為替市場で急速な円高が進み、これが全体相場の下げを助長した。
1日の東京外国為替相場で円相場が一時1ドル=148円台に上昇した。輸出採算の悪化懸念から主力の輸出関連株に売りが膨らんだほか、円高進行に歩調を合わせた海外短期筋の株価指数先物売りも勢いを増し、日経平均の下げ幅は先物主導で一時1300円を超える場面があった。
 
トヨタやホンダなど自動車関連を中心に、輸出関連株はほぼ全面安となった。日銀が7月31日まで開いた金融政策決定会合で政策金利の引き上げを決め、植田和男総裁は会合後の記者会見で今後の追加利上げを否定しなかった。市場では日銀が今後も利上げを進めるとの受け止めが広がり、輸出企業の業績拡大期待の後退につながった。
 
半面、好調な決算を発表した銘柄への買い意欲は旺盛だった。今期の業績見通しを上方修正したアドテストが大幅高となり、1銘柄で日経平均を235円あまり下支えした。市場予想を大幅に上回る決算を発表した日立も買いを集めた。
 
米連邦準備理事会(FRB)が7月31日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の据え置きを決め、パウエル議長は会見で「9月の利下げ開始もありうる」と明言した。前日の米株式市場ではハイテク株を中心に買いが広がったが、きょうの東京市場への波及は限られた。
 
日経平均株価は下げ幅をやや縮小し3万8000円台で前場の取引を終えたが、為替市場、金利市場ともに流動的となっていることから後場も慌ただしい地合いとなりそうだ。個別銘柄では決算発表銘柄に注目が集まる。とりわけ13時25分に予定されているトヨタ自に関心が向かおう。足元の急激な円高ドル安に、昨日、取引時間中に「国交省が是正命令を出す」とも報じられたことも加わり、1月以来の水準まで下落している。強気な決算は厳しいとの見方が強まっているなか、決算発表をきっかけに下げ幅縮小となるか注目だ。トヨタ自がポジティブな動きを示せば、東京市場全体のマインドも多少改善されよう。

 


 
東証株価指数(TOPIX)は大幅に反落した。前引けは87.19ポイント(3.12%)安の2707.07だった。JPXプライム150指数も反落した。
 
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で3兆2998億円、売買高は14億2952万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1551。値上がりは85、横ばいは9だった。
 
全業種が売られるなか、不動産業、輸送用機器、機械、保険業、電気・ガス業の下げが目立った。
 
個別では、決算が影響してコニカミノルタ、ヤマハ、三菱電機、パナソニックHD、アルプスアルパインが売り優勢となった。また、植田日銀総裁が前日、「経済・物価見通しに沿って動けば、引き続き金利を上げていく」と発言したことが嫌気されて、住友不動産、三菱地所、三井不動産、東京建物、東急不動産HDなど不動産株が総じて売られた。ディスコ、レーザーテックなどが大幅安に売られたほか、ジャパンインベストメントアドバイザー、山崎製パンが急落、ソフトバンクグループ(SBG)の下げも目立つ。三菱UFJフィナンシャル・グループなどメガバンクも軟調。ファーストリテイリングも安い。
 
一方、決算内容や構造改革などがポジティブ視されてアドバンテストが売買代金首位となり大幅高に買われた。住友ファーマ、ソシオネクスト、日立製作所が買われた。このほか、りそなホールディングス、ふくおかフィナンシャルG、コンコルディア・フィナンシャル、しずおかFGなど銀行株の一角がしっかり。エンプラスはストップ高で値上がり率トップとなった。

 

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