「懐古趣味」
大発会前場の日経平均株価は415円59銭(1.24%)安の3万3048円58銭と続落。
前日までのNY株式相場の下落を受けて売り物優勢の展開。
下落幅は一時700円を超える場面があった。
売り一巡後は下げ渋り。
円相場が1ドル=143台前半と円安・ドル高方向に振れていることは追い風。
TOPIXは反落。
一時プラスに転じた場面もあった。
東証プライムの売買代金は2兆1593億円。
東証プライムの値上がり964銘柄。
値下がり648銘柄。
郵船、北陸電工が上昇。
ニトリ、TDKが下落。
「朝方は能登半島地震の経済への影響を警戒した売りも膨らんだ。
能登半島地震では消費や企業活動への影響が懸念され、朝方はリスク回避の売りが先行した。
もっとも、売り一巡後は「地震の影響は長期化しない」とみた押し目買いが入り、日経平均は下げ幅を縮小した」。
作文は確かに上手だが、基本は「アップル株の続落」が背景だろう。
アップル株の投資判断引き下げによる世界的株安トレンドの流れを受けての株安。
3日前の地震の影響での下落とみるのは少し違うような気がする。
ただ市場は過去をこよなく愛する場所。
値上がりランキングを見ていると、北陸電工や福田組が上位。
不動テトラ、飛島、オカダアイヨンなど懐かしい銘柄が並ぶ。
1995年の阪神大震災から29年も経過したのに市場は成長していないかの印象。
大和のレポートでは「年末年始に大反転した例」。
1990年、2014年、2019年、2023年が挙げられている。
このうち1990年と2014年は反転下落。
2019年と2023年は反転上昇だった。
「歴史的な大反転でも1月中旬には下げ止まった」というのが分析。
もっとも大発会の値動きと年間の値動きに関連は少ない。
最近は大発会安→年間上昇の方が多い。
むしろ課題は明日の動向。
年初3日間の勝ち負けが年足には影響する。
日経ヴェリタスでは。
2018年は1月高値から3月安値まで14.53%下落。
10月高値から12月安値まで21.07%下落。
2020年年もコロナショックで1月高値から3月安値まで31.27%下落。
ただ2023年の下げ局面での下落率は10%未満であった。、
そして登場したのは「巨額の公的年金を運用し、クジラとも評されるGPIFの動き。
特に資産ごとの持ち高を調整する「リバランス」は相場への影響が注視される。
市場参加者の思惑を呼びがちだが、近年は細かく調整していることが明らかになってきた。
2020宮園雅敬理事長、植田栄治最高投資責任者が就任して以降、
リバランスの頻度は格段に上がったという。
ある幹部は「必要があれば月に数回リバランスする」と明かす。
高頻度で細かにリバランスを繰り返すことで、1回あたりの取引量を減らしている。
市場へのインパクトを抑えられる。
売買手法にも工夫をこらす。
GPIFは制度上、個別株式を直接には売買できないが先物は可能。
リバランス案を決定後、自ら先物を売買してポジション構築に動く。
その後、委託する運用会社が現物を売買しながら先物のポジション解消を同時に進める。
先物を活用することによって機動的なリバランスを可能にしている。
運用成績の目安とするベンチマークとの比較も頻繁に検証するようになり、
22年度は242回とほぼ毎営業日実施した。
20年度までは年30回以下だった。
クジラが完全に痕跡なく市場を泳ぐのは難しいものの、
姿が見えにくくなれば、思惑的な売買も減り市場の安定につながる。
精緻化がリターンの向上に結びつけば、年金の支給にとってもプラスになる。
(櫻井)
