21日午前の日経平均株価は続落し、前日比59円30銭(0.22%)安の2万6508円73銭で終えた。20日に日銀が金融緩和を事実上修正したのを受け、前日に続き売りが出た。日経平均は一時300円近く下げ、取引時間中としては約2カ月ぶりの安値を付けた。一方、下値では自律反発狙いの買いが入り、上昇に転じる場面があった。
サプライズとなった日銀の政策決定を受けて下落スタート。プラス圏で推移する場面でも、主要各国中央銀行による金融引き締めが景気後退を招くとの懸念や米長期金利の上昇が相場の重石となった。株式市場が年末にかけて上昇しやすい「サンタクロース・ラリー」への期待も薄れる中、終始方向感に欠ける展開が続いた。
外国為替市場の円高・ドル安基調が重荷となり、SUBARUや日産自など自動車株が下落。一方、長期金利上昇による利ざや改善期待から三菱UFJや三井住友FGが買われた。
日経平均は小幅に上昇する場面もあった。20日までの4営業日で1500円超下落しており、自律反発を見込んだ買いが支えとなった。市場では「円高進行に一服感がみられれば、株価の割安感が意識され下値で買いが入りやすい」との声があった。
東証株価指数(TOPIX)は続落し午前終値は前日比0.20ポイント(0.01%)安の1905.39だった。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆286億円、売買高は9億9383万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は960、値上がりは793、変わらずは85銘柄だった。
業種別株価指数(33業種)では輸送用機器、不動産業、電気機器などが下落。銀行業、海運業、保険業などは上昇した。
個別では、前日の後場に続き金融関連が軒並み高となっており、三菱UFJ、三井住友が急伸しているほか、みずほFG、りそなHD、第一生命HD、T&DHDなどが大幅に上昇。為替の円高が進行する中、ニトリHD、神戸物産、F&LC、ニチレイ、明治HDなど内需企業が堅調。川崎汽船は引き続き追加株主還元期待から大幅続伸し、郵船、商船三井も高い。リコーと資本提携したサイボウズは急伸。ツルハHDは決算が、インフォコムは国内証券の目標株価引き上げがそれぞれ好感された。楽天グループ、日清粉G、エムスリー、花王が買われた。
一方、円高進行が嫌気され、トヨタ自、日産自、三菱自、SUBARUの輸送用機器が軒並み大幅続落。国内の金利上昇が重荷となる不動産セクターも総じて軟調で、三井不動産、東京建物、東急不HDが大幅安。キーエンス、村田製、ルネサス、TDK、キヤノンのハイテク株も安い。第3四半期の好業績に関する観測報道が伝わっている高島屋は市場コンセンサス比でのサプライズに乏しく、続落となっている。
