この日も米政権が各国に対する関税引き上げを強行し、景気後退(リセッション)を招くとの懸念が持続。トランプ米大統領が、カナダからの鉄鋼、アルミへの追加関税を引き上げるよう指示したと伝わると、貿易摩擦が一段と激化すると不安視され、下げ幅を拡大した。
市場関係者は「ロシアが停戦案に対してどう出るかという点で不透明感は残るが、短期的には株式市場にとって良いニュースと受け止められた」と話した。ダウ平均は3月に入り前日までに1900ドルあまり下げており、主力株には押し目買いが入りやすかった。
個別ではベライゾン・コミュニケーションズの下げが目立った。携帯加入者の見通しが慎重と受け止められた。ウォルト・ディズニーやマクドナルド、IBMも下げた。半面、ボーイングやエヌビディア、セールスフォースは買われた。
ナスダック総合株価指数は続落した。前日比32.226ポイント(0.18%)安の1万7436.095(速報値)と昨年9月以来の安値で終えた。アルファベットやクアルコムが下げた。
S&P500種株価指数は前日比42.49ポイント(0.75%)安の5572.07と昨年9月以来の安値で終えた。
【シカゴ日本株先物概況】
36525 ( -235 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
36530 ( -230 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
欧州の国防費増強の流れや米景気の先行き不安などを背景に外国為替市場でポンド買い・ドル売りが優勢となり、ポンド高が収益の逆風になる銘柄の重荷となった。英アストラゼネカなどの製薬、日用品の英ユニリーバが下落し、指数を下押しした。
トランプ氏は11日、自身のSNS(交流サイト)「トゥルース・ソーシャル」で、カナダから輸入する鉄鋼・アルミニウム製品にかける追加関税を25%から50%に引き上げると表明した。米関税政策を巡る不透明感が嫌気された。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
11日のドイツ株価指数(DAX)は3日続落し、前日比292.18ポイント(1.29%)安の2万2328.77と4日以来1週間ぶりの安値で終えた。トランプ米大統領が自身のSNS(交流サイト)でカナダから輸入する鉄鋼・アルミニウム製品にかける追加関税を引き上げると表明したのをきっかけに、米関税政策の不透明感や景気の先行き懸念が投資家心理を冷やした。
DAXは昼すぎまでは前日終値を上回って推移する場面が目立ったが、トランプ氏のSNSへの投稿を受け、フランスの株式相場などとともに水準を切り下げた。午前中に買いが優勢だった自動車・自動車部品は下落して終えた。
個別では、日用品大手ヘンケルが10.36%安と下落率トップ。商用車大手ダイムラー・トラックが5.34%安、化学大手BASFが3.88%安と続いた。一方、エネルギー大手シーメンス・エナジーが4.98%高、防衛大手ラインメタルが3.13%高と買われた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は3日続落し、前日比1.31%安で終えた。自動車の欧州ステランティスが前日比5.3%安と下げが目立った。産業ガス大手エア・リキードや、消費関連の銘柄が下落した。一方で電機大手のシュナイダー・エレクトリック、仏ルノーが上昇した。
