続落250ドル安、長期金利上昇が重荷

19日のNYダウ工業株30種平均は続落し、前日比250ドル91セント(0.74%)安の3万3414ドル17セントで終えた。米長期金利の上昇が続き、米景気の先行き不透明感や株式の相対的な割高感が意識された。
 
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はこの日ニューヨークで開かれた会合で、米経済が想定よりも強いとの認識を表明。発言を受け、米長期金利の指標となる10年物国債利回りは一時5.0%台に迫り、ダウ平均は乱高下した。その後は値を戻したが、中東情勢の緊迫化に伴い原油先物相場が上昇したため下げ幅が拡大した。
 
パウエルFRB議長は19日の講演で、米経済次第で「さらなる金融引き締めが正当化される可能性がある」との考えを示した。その後に参加した討議では経済状況は「(金融政策が)引き締めすぎだと示していない」と指摘した。
 
議長が政策判断を「慎重に進める」と述べたことで、次回や12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ観測が後退したとの見方があった。ダウ平均は180ドルあまり上昇する場面があった。ただ、「今後の金融政策の明確な方向性を示したとは言えず、市場の不透明感は強い」との指摘もあり、買いは続かなかった。
 
米長期金利の上昇の勢いは鈍らず、株式相場は引けにかけて下げ幅を広げた。建機のキャタピラーや航空機のボーイングなどの景気敏感株、映画・娯楽のウォルト・ディズニーなどの消費関連株が売られた。
 
一方、顧客情報管理のセールスフォースが上昇した。外食のマクドナルドや飲料のコカ・コーラといったディフェンシブ株の一部にも買いが入った。通信のベライゾン・コミュニケーションズも上げた。19日発表の四半期決算で1株利益などが市場予想を上回った同業のAT&Tが大幅上昇し、連れ高した。
 
ナスダック総合株価指数は3日続落し、前日比128.127ポイント(0.96%)安の1万3186.175で終えた。18日夕に発表した四半期決算で1株利益などが市場予想に届かなかった電気自動車のテスラが大幅安だった。一方、18日夕の決算を受けて業績改善期待が強まった動画配信のネットフリックスは急伸した。
 
 
 
 


【シカゴ日本株先物概況】

19日のシカゴ日経平均先物は下落した。
12月物は前日比325円安の3万1315円で終えた。NYダウは、米長期金利が節目の5%に迫る水準まで上昇し、投資家心理が悪化し続落した。日米の株式相場が下げ、日経平均先物にも売りが優勢だった。
 

 
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
31315 ( -85 )
 
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
31345 ( -55 )
 
( )は大阪取引所終値比
 
 

【欧州株式市場】

 
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7499.53(-88.47)
 
19日のFTSE100種総合株価指数は続落した。前日に比べ88.47ポイント(1.16%)安の7499.53で終えた。欧米金利が上昇基調にあることや、中東情勢を巡る警戒感などが投資家心理の重荷となった。売上高の過半を稼ぐ北米市場での需要鈍化に言及した害虫駆除のレントキル・イニシャルが大幅安となったのをはじめ、商業・専門サービス関連の銘柄が売られた。医薬品株、金融株の下げも目立った。
 
英国時間の19日午後、障害により一部株式の取引が停止した。FTSE100種指数と、中型株で構成するFTSE250種株価指数の構成銘柄は通常通り、取引が続けられた。ロンドン証券取引所(LSE)は15時26分時点で障害を「調査中」と公表。17時前の時点で、FTSE100種指数と同250種指数は「通常通り(算出を)終えた」と公表した。
 
FTSEの構成銘柄では、北米での需要低迷が嫌気された有害生物管理会社レントキル・イニシャルが18.64%安と急落。不動産サイト大手ライトムーブも14.29%安と大きく売られ、包装資材大手モンディと投資会社ハーグリーブス・ランズダウンはそれぞれ.08%安、6.05%安となった。一方、蒸気システム大手スパイラックス・サーコと自動車保険のアドミラル・グループは共に2.39%高だった。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15045.23(-49.68)
 
19日のドイツ株価指数(DAX)は続落し、前日比49.68ポイント(0.32%)安の1万5045.23で終えた。終値としては3月下旬以来、約7カ月ぶりの低水準となる。欧米の金利が上昇傾向にあることが、引き続き投資家心理の重荷となった。ボノビアなど不動産株が下落したほか、自動車部品のコンチネンタル、BMWやフォルクスワーゲンといった自動車株も下げた。
個別では、不動産大手ボノビアが5.05%安、自動車部品大手コンチネンタルが4.45%安、半導体大手インフィニオンが3.39%安。半面、業務用ソフトウエア大手SAPは5.07%高、医療大手メルクは3.09%高、電力大手RWEは1.72%高と買われた。
 
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6921.37(-44.62)
 
フランスCAC40種指数は0.64%安だった。
中東情勢の緊迫化を背景としたリスク回避の動きが広がる中、さえない四半期決算や業績見通しを発表した銘柄を中心に売りが膨らんだ。

 

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