11日のNYダウ工業株30種平均は4日続落し、前日比221ドル82セント(0.7%)安の3万3309ドル51セントで終えた。
米地銀持ち株会社のパックウエスト・バンコープはこの日、先週に大規模な預金流出が発生したと発表。身売りも含めた「戦略的な選択肢」を検討すると報じられたことがきっかけになり、5日までの1週間で預金が1割近く減少したという。
市場では、地方銀行の経営不安が再燃し、金融株が下落。景気悪化懸念も強まり、幅広い銘柄が売られた。
前日に四半期決算を発表した映画・娯楽のウォルト・ディズニーが大幅に下落したのも投資家心理を冷やし、ダウ平均の下げ幅は一時400ドルを超えた。
ダウ平均の構成銘柄であるディズニーは9%下げ、ダウ平均を下押しした。10日夕に発表した2023年1〜3月期決算で成長分野の動画配信サービスの契約者数が減少したと明らかにし、売りが膨らんだ。
11日発表の4月の米卸売物価指数(PPI)はエネルギーと食品を除くコア指数の上昇率が前月比0.2%と市場予想に一致し、米国の物価上昇が落ち着くには時間がかかることを示す内容だった。ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は同日に「インフレの持続性に驚いている」と述べ、物価上昇率の高止まりに懸念を示したと伝わった。
半導体のインテルと化学のダウの下げも目立った。半面、飲料のコカ・コーラや航空機のボーイングは上昇した。
ナスダック総合株価指数は続伸した。前日比22.065ポイント(0.2%)高の1万2328.507で終えた。ネット検索のアルファベットが自社サービスで人工知能(AI)の活用を拡大する方針を示し4%高で終えた。電気自動車のテスラも買われた。
【シカゴ日本株先物概況】
11日のシカゴ日経平均先物は上昇した。6月物は前日比75円高の2万9130円で終えた。同日の米株式市場では、米地方銀行の経営不安が再燃したことで投資家のリスク回避姿勢が強まり、NYダウ工業株30種平均は下落したが、日経平均先物の反応は限られた。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
29130 ( +10 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
29145 ( +25 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7730.58(-10.75)
11日のFTSE100種総合株価指数は3日続落した。前日に比べ10.75ポイント(0.14%)安の7730.58で終えた。金融の引き締め状態が長期化し、需要が減退するとの懸念から資源やエネルギーセクターに売りが出た。
イングランド銀行(英中央銀行)は11日、政策金利を0.25%引き上げ4.5%にすると発表した。同時に発表した5月の金融政策報告では、成長率を前回2月の報告時点から大幅に上方修正し、景気後退の予想を取り下げた。加えてインフレが一段と高止まりするとの見通しを示した。市場では英中銀の利上げサイクルの停止は近いが、引き締め状態が長引くとの警戒感が強まった。
個別では、航空機エンジン製造大手ロールス・ロイスが6.65%安と下落。通信大手のエアテル・アフリカは5.34%安、産銅大手アントファガスタが3.99%安とそれぞれ売られた。
反面、段ボール大手スマートフィット・カッパが3.71%高と上昇。投資会社メルローズ・インダストリーズが3.08%高、プライベート・エクイティ会社3i(スリーアイ)グループが3.01%高と続いた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15834.91(-61.32)
11日のドイツ株価指数(DAX)は続落し、前日に比べ61.32ポイント(0.39%)安の1万5834.91で取引を終えた。欧州の取引時間中に米ダウ工業株30種平均の下げ幅が拡大し、投資家心理を冷やした。自動車やヘルスケアの一角に売りが出た。半面、前日に売られていた小売り関連が買い直され、下値を支えた。
個別では、製薬大手バイエルが7.46%の下落。これに自動車大手フォルクスワーゲン(VW)が5.56%安、エネルギー大手シーメンス・エナジーが2.48%安と続いた。
一方、医療大手メルク(2.48%高)やスポーツ用品大手アディダス(2.09%高)が買われた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7381.78(+20.58)
フランスCAC40種指数は0.29%高だった。
