21日のNYダウ工業株30種平均は続落し、前週末比19ドル12セント(0.04%)安の4万4323ドル07セントで終えた。米政権と欧州連合(EU)との貿易交渉を巡る不透明感が相場の重荷となった。半面、主力企業の四半期決算への期待などから、ハイテク株の一部には買いが入った。
欧州連合(EU)はこの日、トランプ米政権との関税交渉で合意の見通しが立たず、米国に対し幅広い報復措置を検討していると報じられた。ダウ平均は取引時間中に一時250ドル超上昇したが、貿易摩擦懸念が重荷となり終盤にかけ売られ、マイナス圏に沈んだ。
ラトニック米商務長官は20日の米CBSテレビで合意に向けた自信を示した。一方、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは20日、EUが米国との関税交渉でさらなる譲歩を迫られた場合に備えて対抗措置をとる準備を進めていると報じた。貿易協議の不透明感が主力株への売りを促した。
市場関係者は「EU以外の国・地域との交渉も含めて関税がどうなるか読めず、株価の上値を抑える要因になる」と話す。
ダウ平均は200ドルあまり上昇する場面があった。前週に本格的に始まった2025年4〜6月期の決算発表は「良いスタートを切った」との見方がある。トランプ米大統領による関税政策が収益の重荷になるとの警戒が薄れており、投資家の米株買いにつながった。
21日の米債券市場では長期金利が4.3%台と、前週末の終値(4.42%)を下回って推移した。金利の低下で株式の相対的な割高感が薄れた面もあった。
個別では、アメリカン・エキスプレスやメルク、トラベラーズが下落した。一方、ベライゾン・コミュニケーションズは4%上昇した。21日発表の2025年4〜6月期決算は携帯端末の好調な販売などを背景に売上高が市場予想を上回った。25年12月期通期の収益見通しを引き上げ、好感した買いが集まった。ナイキやホーム・デポ、アマゾン・ドット・コムへの買いが目立った。
ナスダック総合株価指数は6日続伸した。前週末比78.520ポイント(0.37%)高の2万0974.175と連日で最高値を更新した。今週に決算を発表するアルファベットへの買いが目立った。
S&P500種株価指数は前週末比8.81ポイント(0.13%)高の6305.60で終えた。2営業日ぶりに最高値を更新し、初めて6300台に乗せた。
【シカゴ日本株先物概況】
21日のシカゴ日経平均先物は上昇した。9月物は前週末比90円高の3万9790円で終えた。この日は日本が祝日だったものの、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数が最高値を更新するなど米株式相場が総じて堅調に推移し、シカゴ市場の日経平均先物には買いが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て) 39790 ( -40 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て) 39840 ( +10 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
21日の英FTSE100種総合株価指数は3日続伸し、前週末比20.87ポイント(0.23%)高の9012.99で終えた。今月14日以来5営業日ぶりに最高値を更新し、終値が初めて9000を上回った。
中国で鉄鉱石や非鉄金属の需要が見込まれるとの観測から英豪リオティントやスイスのグレンコアといった資源関連の銘柄が買われ、指数を押し上げた。中国で水力発電ダムの建設が始まったと中国国営の新華社などが報じたことがきっかけとなった。公益や不動産投資信託(REIT)も上昇した。一方で、英防衛大手BAEシステムズなど資本財や製薬株の一角が下げた。
FTSEの構成銘柄では、産銅大手アントファガスタが4.71%高、産金大手エンデバー・マイニングが4.10%高、同業フレスニロが3.60%高と相場をけん引。一方、航空・防衛大手BAEシステムズは2.04%安、ビジネス情報会社インフォーマは1.70%安、酒造大手ディアジオは1.66%安と売られた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
21日のドイツ株価指数(DAX)は小幅に反発し、前週末比18.29ポイント(0.07%)高の2万4307.80で終えた。前週末比で高く始まったものの米欧の貿易交渉を巡る警戒感が根強く、相場は午後にかけて伸び悩んだ。DAXは前週末終値を下回る場面もあり、明確な方向感に乏しかった。
個別では、化学大手BASFが2.33%高、エネルギー大手イーオンが1.93%高、不動産大手ボノビアが1.89%高と上昇。半面、人工透析製品・サービスのフレゼニウスメディカルケアは1.55%安、医療機器のザルトリウスは1.37%安、防衛大手ラインメタルは1.12%安と下げた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は3営業日ぶりに反落し、前週末比0.31%安で終えた。
