続落184ドル安、原油高を懸念

 

8日のNYダウ工業株30種平均は4日続落し、前日比184ドル74セント(0.6%)安の3万2632ドル64セントと昨年3月以来、1年ぶりの安値で終えた。
 
バイデン米大統領はこの日、ウクライナへの侵攻を続けるロシアへの経済制裁の一環で、原油や液化天然ガス(LNG)などロシアからのエネルギー輸入を禁止した。欧州では、英国が年末までにロシア産原油の輸入を打ち切ると発表した一方、ロシア産資源への依存度が高い欧州連合(EU)は禁輸を見送った。
 
国際石油市場では、ロシアからの供給が減り、需給がひっ迫するとの懸念から米国産WTI先物価格が一時、前日比8%上昇した。米国内では、ガソリンの販売価格が過去最高値を更新した。
市場では、原油価格高騰による個人消費への打撃やインフレ加速への懸念が強まり、売りが先行した。ただ、EUがロシア産原油の禁輸に加わらなかったことや、前日に今年最大の下げ幅を記録したことの反動から、大きく上昇した時間帯もあった。
 
バイデン大統領は米東部時間の午前11時20分過ぎに演説し、ロシア産エネルギーの禁輸を表明した。演説が始まるとそれまで下げていたダウ平均が切り返し、午後1時過ぎに一時585ドル高となった。追加制裁を織り込んで前日のダウ平均は797ドル安と今年最大の下落を記録しただけに、一旦材料出尽くしとみた押し目買いや売り方の買い戻しを誘った。
 
全面的な禁輸が米国単独にとどまり、欧州はやや消極的な対応だったのも株買いを誘った。欧州連合(EU)はロシア産天然ガスの使用量を3分の2減らすが、エネルギーのロシア依存からの脱却は2030年までに達成する方針を表明した。
 
買い一巡後は再び売りが優勢になり、ダウ平均は下げに転じて終えた。原油の米指標油種のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物の期近物は一時1バレル129.44ドルと8%あまり上昇した。米ガソリン価格が14年ぶりに史上最高値を更新し、消費への影響が懸念されたのも相場の重荷だった。
 
飲料のコカ・コーラや日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)がともに4%下げるなど、このところ堅調だったディフェンシブ株の売りが優勢だった。消費財銘柄は原材料高による採算悪化を意識した売りも出たようだ。スポーツ用品のナイキ、小売りのウォルマートも2%は超える下げだった。
 
一方、資源高が鉱山機械の販売増につながるとの思惑から建機のキャタピラーが7%高と急伸、石油のシェブロンは5%高で終えた。
 
ナスダック総合株価指数は4日続落し、前日比35.411ポイント(0.3%)安の1万2795.551と昨年3月以来の安値で終えた。ネット通販のアマゾン・ドット・コムや動画配信のネットフリックスが下げた。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
32,632.64-184.74
S&P500種
4,170.70-30.39
ナスダック
12,795.551-35.411
FTウィルシャー5000
42,636.18-233.82
NY金(ドル/トロイオンス)
2,043.30+47.40
NY原油(ドル/バレル)
124.77+5.37
円・ドル
115.64 – 115.68+0.20
 

 


【シカゴ日本株先物概況】

 
8日のシカゴ日経平均先物は続落した。3月物は前日比225円安の2万4805円で引け、8日の大取終値を115円上回った。バイデン米大統領が8日にロシア産の石油や天然ガスの輸入を禁止すると発表し、物価上昇による景気減速を警戒、不透明感が払しょくできず、さらに、燃料価格上昇に伴うインフレ高進への懸念も重しとなり、引けにかけ再び下落した。
 
 
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
24805 ( +115 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
24800 ( +110 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

 
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6964.11(+4.63)
8日のFTSE100種総合株価指数は4営業日ぶりに小幅に反発した。前日に比べ4.63ポイント(0.07%)高の6964.11で引けた。原油高を受けたエネルギー株の上昇が指数を押し上げた。
FTSE100は、指数構成銘柄の半数超が下落したものの、産金大手フレスニロ(9.3%高)や石油大手BP(5.1%高)など資源関連株が大きく値上がりし、4営業日ぶりに反発した。
 
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12831.51(-3.14)
8日のドイツ株価指数(DAX)は小幅に4日続落し、前日比3.14ポイント(0.02%)安の1万2831.51で終えた。原油や金属など資源価格の高騰で、ユーロ圏の景気を懸念した売りが優勢だった。一方、原油急伸でエネルギー関連株が買われ、相場を下支えした。
 
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5962.96(-19.31)
フランスCAC40種指数は0.32%安の5962.96だった。
ウクライナ情勢への警戒感が続く中、下落して始まった後、下げ幅を徐々に縮小した。

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