4日のNYダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比150ドル27セント(0.4%)安の3万5065ドル62セントで終えた。
朝方発表された注目の7月の米雇用統計では、労働市場の底堅さが示され、景気後退入りが避けられるとの期待感が広がり、ダウは取引中盤まで堅調に推移。
半面、平均時給の前年同月比の上昇率は市場予想以上だった。米連邦準備理事会(FRB)による利上げ継続の可能性も意識され、売りが優勢となった。
また、3日夕にアップルの四半期決算で業績に対する悲観的な見方から同社株が5%安と急落し、終日ダウの重しとなった。
主力製品であるスマホの回復が鈍く、売上高は3四半期連続で前年同期を下回った。時価総額が最も大きい銘柄の下落が市場心理を冷やした面もあった。市場では「このところ割高感の強いほかのハイテク株の先行きにも警戒感がある」との声も聞かれた。
朝方は買いが先行し、ダウ平均の上げ幅が290ドルに達する場面があった。7月の米雇用統計では、非農業部門の雇用者数が前月比で18万7000人増と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(20万人増)に届かなかった。併せて5月と6月の雇用者数の伸びが下方修正された。労働需給の逼迫が和らいでいると受け止められた。
一方、平均時給は前年同月比の上昇率が4.4%と、市場予想(4.2%)以上に伸びた。賃金が高止まりしインフレの沈静化に時間がかかるとの見方から、FRBによる利上げ継続のリスクが意識された。買いの勢いが鈍かったこともあり、次第に売りが優勢となった。
ダウ平均の構成銘柄では、工業製品・事務用品のスリーエムや日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、製薬のメルクなどが下落した。
一方、スポーツ用品のナイキや金融のゴールドマン・サックスが上昇。原油価格の上昇を受け、石油のシェブロンも高かった。前日夕発表の決算で業績が市場予想を上回ったバイオ製薬のアムジェンも買われた。
ナスダック総合株価指数は4日続落した。前日比50.477ポイント(0.4%)安の1万3909.238で終えた。交流サイトのメタ・プラットフォームズや電気自動車のテスラが下げた。一方、前日夕に決算を発表したネット通販のアマゾン・ドット・コムが8%高で終えた。
【シカゴ日本株先物概況】
4日のシカゴ日経平均先物は反発した。9月物は前日比50円高の3万1980円で引けた。同日の東京株式市場で日経平均株価が小幅に上昇し、日経平均先物に買いが波及した。
NYダウは、減収決算を前日発表した米IT大手アップルが売り込まれる中、3日続落した。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
31980 ( -170 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
32005 ( -145 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
4日のFTSE100種総合株価指数は4日ぶりに反発した。前日に比べ35.21ポイント(0.47%)高の7564.37で取引を終えた。週間では1.69%安と、4週間ぶりの下落となった。
石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国でつくる「OPECプラス」が4日、合同閣僚監視委員会(JMMC)を開き、現行の協調減産を維持することを再確認した。サウジアラビアが3日に原油の自主減産の継続を決めるなど、原油需給の引き締まり観測から原油先物相場が上昇している。原油高でエネルギーセクターが買われ、指数をけん引した。
FTSE100の構成銘柄では7割が上昇した。このうち、航空機エンジン製造大手ロールス・ロイスが7.44%高と上昇率トップ。包装資材大手モンディは5.46%高、保険会社セント・ジェームズ・プレイスは4.32%高と続いた。通期見通しを下方修正した広告会社WPPは3.45%安、蒸気システム大手スパイラックス・サーコが1.13%安だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
4日のドイツ株価指数(DAX)は5営業日ぶりに反発した。前日に比べ58.48ポイント(0.37%)高の1万5951.86で取引を終えた。4日発表の7月の米雇用統計は、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ継続観測を強める内容ではなかったと受け止められた。
同日の英国取引時間中にNYダウ工業株30種平均が堅調に推移すると、ドイツ株式に買い安心感が広がった。ドイツ長期金利の低下も投資家心理の支えとなり、自動車やテクノロジー、資本財セクターに買いが入った。
個別では、防衛大手ラインメタル(2.28%高)や商用車大手ダイムラー・トラック(2.09%高)、総合電機大手シーメンス(1.76%高)が買われた一方、コメルツ銀行(2.64%安)や製薬会社サルトリアス(2.33%安)、分子診断大手キアゲン(2.32%安)などが売られた。
■フランス・パリ株価指数
フランスCAC40種指数は0.75%高(同2.16%安)だった。
