29日午前の日経平均株価は続落し、午前終値は前週末比462円47銭安の4万4892円52銭だった。
きょう前場はリスク回避の売りが優勢で日経平均は460円あまりの下落で前場の安値圏で引けた。ただ、きょうは9月の配当権利落ち日にあたり日経平均を約300円押し下げており、実質的な下げ幅は160円程度となっている。前週末の欧米株市場が全面高に買われたことで、強調展開も期待されたが、中間期末で機関投資家のポジション調整の売りが幅広いセクターで観測された。個別株をみても値下がり銘柄数が全体の87%を占めており、売り圧力が広範囲に及んだことが分かる。
日経平均はこれまで急ピッチに上げ幅を広げ、最高値圏で推移していた。値上がり益が見込める銘柄などは、配当取り後に利益確定売りを出す投資家らが多かったとみられる。
29日午前の東京外国為替市場で円相場が1ドル=148円台と、前引けにかけて円高・ドル安方向に動いたのも重荷となった。市場では「金融機関が四半期初めである今週半ばに(持ち高の評価益を実現益にする)『益出しの売り』を出すとの観測も日本株の重荷だ」との声があった。
ただ、日経平均は配当権利落ち分の300円を差し引いて実質プラス圏に転じる場面もあった。前週末の米株式市場では、追加利下げ観測からハイテク株などが上昇。国内の半導体関連銘柄の一角に買いが波及した。日経平均が4万5000円を下回る場面では、押し目買いも支えとなった。
後場の日経平均株価は、下げ幅拡大の流れをたどる可能性が意識されよう。米国の動向や為替の動き、輸出関連の業績見通しなどが引き続き重石となる見込みである。テクニカル的には、前場安値を割り込むかどうかが下値確認のポイントになろう。市場参加者の手控え姿勢が強まれば、戻りは限定的になる可能性が想定されるだろう。
東証株価指数(TOPIX)は反落した。前引けは56.63ポイント(1.78%)安の3130.39だった。市場試算で約30ポイントとされる配当落ち分の影響より、下げ幅は大きかった。JPXプライム150指数は続落した。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆3234億円、売買高は9億9779万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1408。値上がりは150、横ばいは17だった。
業種別では、非鉄金属がプラス圏で堅調に推移したのに対し、建設業、輸送用機器、銀行業、証券・商品先物取引業などが相対的に目立って軟調であった。特に、資本財・輸送関連など景気敏感セクターへの売りが目立った。
個別ではソフトバンクグループ、ディスコ、ニデックが安いほか、三菱UFJフィナンシャル・グループなどメガバンクも軟調。サンリオも売りに押された。トヨタ、ホンダ、スズキ、KDDI、リクルートHD、コナミG、TDK、ダイキン、テルモ、バンナムHD、豊田通商、日東電、三菱商などの銘柄が下落した。キャリアデザインセンター、イー・ガーディアンが大幅安、ノエビアホールディングスなども大きく値を下げた。
半面、売買代金トップとなったレーザーテックが堅調、アドバンテスト、フジクラも商いを伴い高い。キオクシアホールディングスも買いが優勢。エムスリー、中外薬、荏原、住友ファーマ、IHI、住友鉱、古河電、ネクソン、OLC、SUMCO、メルカリなどの銘柄が上昇。
大阪チタニウムテクノロジーズが値上がり率トップに買われ、JX金属、大同メタル工業、セブン銀行なども物色人気だった。
29日にプライム市場に新規上場したソニーFGは午前に公開価格(150円)と比べて36.6%高い205円で初値を付け、前引け時点では初値比6円50銭(3.17%)安の198円50銭となった。
