5日午前の日経平均株価は続落し、前週末比496円29銭安の2万0590円87銭ときょうの安値で前場を終えた。取引時間中としては6月4日以来、約2カ月ぶりの安値となった。
トランプ米大統領が対中制裁関税の「第4弾」を発動すると表明したのに対し、中国外務省の報道官は2日に報復措置を示唆。
これを受けて前週末の欧米株が軒並み下落し、5日の東京株式市場も朝から全面安となった。朝方は170円超安で寄り付いた後、じりじりと下げ幅を拡大した。
寄り後しばらくはこう着状態となっていたが、午前10時過ぎに株式先物にまとまった売りが出て、下げ幅を広げた。
外国為替市場で1ドル=106円近辺まで急速に円高に振れたことが全般の下げを助長、日経平均は500円近い下げをみせ、前週末との合計で下げ幅が900円を上回った。
また、人民元の対ドル相場が11年ぶりの安値となったことで主要なアジア株相場が全面安となり、海外勢が株価指数先物に売りを出した。
先物売りを誘う具体的な材料は見当たらないが、「米中摩擦の再燃で投資家心理が不安定になっており、株価の振れ幅も大きくなりやすい」という。投資家心理の不安定化は、日経平均ボラティリティー・インデックスの急上昇からもうかがえる。
利下げ期待で大きく値を上げていた米国株に比べると、「株価純資産倍率(PBR)が1倍近くまで低下している日本株は割安感や値頃感がある」とされるものの、不安が広がる中では割安感や値頃感も出にくいようだ。
「6月4日のザラバ安値(2万0289円)を割ると、2万円割れも意識される」との声も聞かれた。
東証株価指数(TOPIX)は36.85ポイント安の1496.61と大幅安となった。JPX日経インデックス400も下落した。
東証1部の売買代金は概算で1兆1553億円、売買高は6億9695万株だった。東証1部の値下がり銘柄数は全体の9割に当たる1988。値上がりは132、変わらずは28だった。
業種別株価指数は33業種すべて下落した。化学、電気機器、ガラス・土石製品、鉄鋼、機械、不動産業の下落率が大きかった。
個別では、指数寄与度の高いソフトバンクグループ(SBG)やファストリが安い。ソニーが軟調、任天堂も安い。東京エレクトロンなど半導体関連やトヨタ自動車など自動車株にも売りがかさんだ。日東電が軟調なほか、NTTデータやダイキンも下落した。神戸製鋼所、ヤフーが急落、ミネベアミツミも大幅安に売られた
半面、アシックスが大幅高、ゴールドウインも値を飛ばした。オリンパスが買われた。コナミHDや日産化、セブン&アイ、ワコム、カプコンが堅調だった。
東証2部株価指数は続落した。前週末比99.73ポイント安の6541.98ポイントだった。
出来高9650万株。値上がり銘柄数は64、値下がり銘柄数は333となった。
個別では、日創プロニティ、東海ソフト、上村工業、日本精蝋、高砂鐵工など14銘柄が年初来安値を更新した。パルステック工業、Abalance、セキド、ジーエルサイエンス、ウインテストが売られた。
一方、明治機械がストップ高となった。プレミアムウォーターホールディングス、リスクモンスター、ユーピーアール、中央自動車工業など5銘柄は年初来高値を更新した。ハイパー、ビットワングループ、リミックスポイント、北日本紡績、カンロが買われた。
