14日午前の日経平均株価は続落し、午前終値は前週末比720円82銭安の3万8469円58銭だった。
きょう前場はリスク回避ムードが強まるなか、日経平均は前週の地合いを引き継ぎ下値模索の動きを強めている。米国株市場では前日にNYダウが反発したものの、前週末の急落の残像が投資マインドを冷やしている。前週末に発表された12月の米雇用統計では雇用者数の伸びが予想を大きく上回り、これを受けてFRBによる利下げピッチの鈍化に対する見方が広がっている状況だ。東京市場でも売りが優勢で、半導体関連株などを中心に値を下げるものが多い。日経平均の下げ幅は一時800円を超えた。
13日の米株式市場ではナスダック総合株価指数などが下落した。米政権はAI向け先端半導体を巡る輸出規制の見直し案を発表し、販売への影響が懸念されたエヌビディアなどが下げた。米国の技術を使った高度なAIが第三国を通じて中国、ロシアなどの敵対国の軍事強化に悪用されることを警戒した規制強化で、国や地域ごとに輸出の上限を設ける方針。実行されれば半導体企業の販路が大幅に制限される懸念があり、日本の関連銘柄にも売りが膨らんだ。
米エヌビディアのAI向け半導体「ブラックウェル」を搭載したサーバーラックの注文を主要顧客が遅らせているとロイター通信が日本時間14日に伝えたことも、半導体関連の売りに拍車をかけた。
10日発表の2024年12月の米雇用統計が市場予想を上回るなど米景気は底堅く推移しており、米連邦準備理事会(FRB)の利下げペース鈍化への市場の警戒感も強い。米長期金利の上昇基調が続き、14日の国内債券市場でも長期金利は一時、前週末比0.040%高い1.240%と、2011年4月以来13年9カ月ぶりの高さをつけた。金利上昇で株式の相対的な割高感が高まり、嫌気する売りが幅広い銘柄に膨らんだ。
日銀の氷見野良三副総裁は14日午前、神奈川県金融経済懇談会で挨拶に臨んだ。1月の金融政策決定会合を念頭に「利上げを行うか委員間で議論し判断する」とし、実質金利については「はっきりとマイナスがずっと続くのは普通の姿とはいえない」と話した。市場では「追加利上げを示唆するような内容に警戒する声もあったが、新味がない内容。1月の利上げも見送りなのでは」との声があった。ただ、投資家心理は強気には傾きづらい状況にあり、株式市場での反応は総じて限られた。
為替が上下に動く可能性もあるため、後場の日経平均は為替を睨んでの展開となろう。
東証株価指数(TOPIX)は続落した。前引けは34.37ポイント(1.27%)安の2679.75だった。朝方には金利上昇を追い風に銀行株などが買われ、指数が上昇に転じる場面もあった。JPXプライム150指数も続落し、15.45ポイント(1.29%)安の1185.54で前場を終えた。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆2459億円、売買高は9億9042万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1349。値上がりは254、横ばいは41だった。
業種別では、非鉄金属、電気機器、サービス業、電気・ガス、機械などが下落した一方、鉱業、石油・石炭、保険、ゴム、その他製品の5セクターのみ上昇。
個別ではエヌビディアの下落に国内証券会社によるレーティング引き下げも影響し売買代金トップのディスコや同2位のアドバンテストをはじめ東京エレクトロン、ソシオネクスト、レーザーテックなど半導体主力株の下げがきつい。
また、古河電工、フジクラ、住友電工など電線株も売られた。10日の決算発表がネガティブ視されて安川電機が下落した。このほか、ファーストリテイリングが値を下げ、三菱重工業も売りに押された。サンウェルズ、日本マイクロニクスなどが急落、サンリオも安い。
一方、決算内容が材料視されて良品計画が買い優勢となったほか、資源価格上昇を材料にINPEX、出光興産、住友鉱など資源株が買われた。このほか、任天堂が堅調、コニカミノルタ、中外製薬、スクリーンHD、イオンなどが上昇した。
東京海上ホールディングスも高い。PR TIMESが急騰、インターアクション、SMK、IDホールディングスなども値を飛ばした。
