20日のNYダウ工業株30種平均は前日比28ドル10セント安の2万4726ドル65セントと続落で取引を終えた。
税制改革案の成立期待から買いが先行した。その後、連邦法人税率を35%から21%に引き下げる税制改革法案は上院が20日未明に可決し、下院も20日午後に可決した。トランプ大統領の署名により同法案は正式に成立するが、法案成立は概ね株価に織り込み済みで、前日終値を挟んでもみ合う展開となった。
米長期金利が一時2.50%と3月20日以来9カ月ぶりの水準に上昇し、高PER銘柄の相対的な割高感が高まった。アマゾン・ドット・コムやフェイスブック、アルファベット(グーグル)、マイクロソフトなどが売られたのも相場の重荷になった。
朝方は高く始まり、ダウ平均は上げ幅が100ドルに迫る場面があった。全米不動産協会(NAR)が発表した11月の米中古住宅販売件数は前月比5.6%増と市場予想以上に増加した。販売価格も上昇し、米景気の拡大が続いているとの見方につながった。米原油価格が上昇し、エネルギー関連株が買われたのも相場の支えになった。
ナスダック総合株価指数は、前日比2.892ポイント安の6960.959で終えた。主力株が軒並み下落し、指数を押し下げた。
セクター別では、エネルギーや運輸が上昇する一方で不動産や公益事業が下落した。
個別では、前日発表した四半期決算が増収増益となり、市場予想を上回ったものの材料出尽くしと受け止められた無償基本ソフト(OS)関連サービスのレッドハットが大幅安。
顧客が体調を崩したとの訴えを受けてロサンゼルスの当局が調査に乗り出したと伝わった外食のチポトレ・メキシカン・グリルも売られた。ファストフードのジャック・イン・ザ・ボックス(JACK)は投資判断引き下げを受け、軟調推移となった。
一方、サウジアラビアの国営石油会社、サウジアラムコが、一部資産の買収などで交渉に入ったと伝わった液化天然ガス開発のテルリアンが上昇。四半期決算が市場予想ほど悪化しなかったカナダのソフト開発会社ブラックベリーが急伸した。半導体のマイクロン・テクノロジー(MU)や運輸・宅配のフェデックス(FDX)は決算内容が好感され上昇した。
NYダウ工業株30種(ドル)
24,726.65-28.10
S&P500種
2,679.25-2.22
ナスダック
6,960.959-2.892
米10年債利回り(%)
2.5007 +0.038
米2年債利回り(%)
1.8608 +0.004
NY金(ドル/トロイオンス)
1,269.60+5.40
NY原油(ドル/バレル)
58.03+0.47
円・ドル
113.36 – 113.37 +0.23
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は小幅反発した。3月物は前日比60円高の2万2825円で引け、前夜の大取終値を35円下回った。円安が買いを支えた。
ただ、米税制改革法案の議会通過で材料出尽くし感が広がり、米株とともに売られる場面もあり、上値は限られた。この日の3月物高値は2万2900円、安値は2万2770円
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
22825 ( -35 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
22855 ( -5 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7525.22(-18.87)
FTSE100種総合株価指数は4営業日ぶりに反落した。前日19日の終値に比べ18.87ポイント安の7525.22で引けた。たばこ株の下げが指数を押し下げ、構成銘柄の約6割が下落した。
前日に上昇した反動で、たばこのブリティッシュ・アメリカン・タバコとインペリアル・ブランズが売られた。アナリストが株価目標を引き下げた医薬品のシャイアーの下げも大きくなった。同業のアストラゼネカも安くなった。
通信のBTグループも売られた。第4世代のネットワーク拡充と第5世代のサービス導入に必要とされる周波数入札を巡り、BTは通信規制当局による上限規制に異議を申し立てていたが、英高等法院が20日にこれを退けたことが売り材料となった。
半面、銅と金の価格上昇を背景に、鉱業株は買われた。アングロ・アメリカンとリオ・ティントの上げが目立った。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13069.17(-146.62)
ドイツ株式指数(DAX)は続落した。終値は前日19日に比べて146.62ポイント安の13069.17だった。午後に下げ幅が拡大した。
ITのSAPと、消費財のヘンケル、保険のアリアンツの下げが目立った。下落したのは、放送大手のプロジーベンザット1メディアの1銘柄だけだった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5352.77(-30.14)
