9日のNYダウ工業株30種平均は続伸し、前日比51ドル05セント(0.12%)高の3万9497ドル54セントで終えた。
週初までの株式相場の大幅な調整を受け、大型ハイテク株などに買い直しの動きが続いた。一方、週末を前に持ち高調整の売りも出やすく、ダウ平均は下げる場面もあった。
この日は投資家の手掛かりとなるような経済指標や企業決算の発表がなく、主要株価指数はいずれも狭いレンジでプラス圏とマイナス圏を行ったり来たりする展開となった。米景気に対する過度な不安は和らぎ、市場はおおむね落ち着きを取り戻した。
投資家は、来週発表される米国の物価指標や小売り関連データを注視している。市場参加者からは「インフレよりも景気の状況に対する関心が高まっている」との声が聞かれた。
週初に大幅安となった後で押し目買いが入った。「円キャリー取引」の急激な巻き戻しが一服したとの見方も投資家心理を支えた。9日の米債券市場では長期金利が低下し、前日終値(3.99%)を下回る3.9%台半ばを中心に推移した。株式の相対的な割高感が薄れたことも買いを促した。
市場では「特に大きく下げた大型ハイテク株など、買いの好機とみた市場参加者が多かった」との声が聞かれた。ダウ平均の構成銘柄では、アップルやセールスフォース、マイクロソフトに買いが入った。
ただ、米国の景気減速や金融政策の先行きに対する警戒も根強く、ダウ平均の下げ幅は200ドルを超える場面があった。来週には7月の米消費者物価指数(CPI)や7月の米小売売上高の発表がある。内容を見極めたいとの雰囲気も強く、週末を前に積極的に持ち高を傾ける動きは限られた。
そのほかの個別銘柄では、アメリカン・エキスプレスやキャタピラー、ウォルマートなどが高かった。半面、インテルやユナイテッドヘルス・グループが下げた。
ナスダック総合株価指数も続伸した。前日比85.281ポイント(0.51%)高の1万6745.302で終えた。メタプラットフォームズやアルファベットが上げた。
NYダウ 39497.54 ( +51.05 )
S&P500 5344.16 ( +24.85 )
NASDAQ 16745.30 ( +85.28 )
米10年債利回り 3.943 ( -0.051 )
NY(WTI)原油 76.84 ( +0.65 )
NY金 2473.4 ( +10.1 )
VIX指数 20.37 ( -3.42 )
【シカゴ日本株先物概況】
9日のシカゴ日経平均先物は下落した。9月物は前日比300円安の3万5275円で終えた。
前日にかけて大幅に持ち直した後で、週末を控えて利益確定売りが優勢になった。NYダウ平均は、世界同時株安による相場の混乱が一服する中、続伸した。外国為替市場で対ドルの円相場が上昇したことも売りを誘った。
シカゴ日経225先物 (円建て)
35275 ( +225 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
35350 ( +300 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
9日のFTSE100種総合株価指数は反発し、前日比23.13ポイント(0.28%)高の8168.10で終えた。米経済への過度な懸念が後退しつつあるのを背景に銅など非鉄金属の先物相場が上昇し、資源株に買いが先行した。もっとも、9日の米国株相場の上値の重さが意識されると英国株への買いも失速し、FTSE100種指数は伸び悩んだ。
英バークレイズなど銀行株が上げた。投資家連合から受けた総額約54億ポンドの買収提案に合意したと公表した金融サービスの英ハーグリーブス・ランズダウンなど銀行以外の金融株にも買いが入った。
FTSEの構成銘柄では、格安航空大手イージージェット(3.17%高)や保険大手ビーズリー(2.48%高)、小売り大手JDスポーツ・ファッション(2.32%高)が買われた半面、蒸気システム大手スパイラックス・サーコ(3.04%安)や高級衣料のバーバリー(2.26%安)などが売られた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
9日のドイツ株価指数(DAX)は4日続伸し、前日比42.48ポイント(0.24%)高の1万7722.88で終えた。米経済の減速懸念をきっかけに今週初めにかけて急速に強まった警戒感が弱まりつつあり、投資家心理の支えとなった。ただ、9日の米国株市場で主要株価指数の上値の重さが意識されると、DAXも伸び悩んだ。
個別では、8日公表した2024年4〜6月期決算を踏まえ、一部金融機関がラインメタルの目標株価を引き上げた。防衛大手ラインメタルが5.24%高、ボノビアが3.04%高、医療機器のシーメンス・ヘルシニアーズが1.99%高と上昇をけん引した。他方、製薬大手バイエルが1.46%安、総合電機大手シーメンスが1.27%安で引けた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は反発し、前日比0.30%高で終えた。不動産投資信託(REIT)や公益株が買われた一方で、消費関連の一角に売りが出た。