28日午前の日経平均株価は続伸し、前引けは前日比88円46銭(0.32%)高の2万7804円21銭だった。
前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)通過後の米株高を受けた買いが先行し、朝方には取引時間中では6月10日以来、およそ1カ月半ぶりに節目の2万8000円を上回った。ただ、その後は利益確定売りなどに押されて伸び悩み、下げに転じる場面もあった。
前日の米株市場が大幅高に買われたことをうけ、朝方は半導体関連株などを中心に大きく買い優勢で始まり、日経平均は2万8000円大台を上回る場面もあったが、その後は上値の重い展開となり前場中ごろを境に急速に値を消した。
外国為替市場でドル売り・円買いの動きが加速し1ドル=135円台前半まで急速に円高方向に振れたことを受け、輸出セクター中心に目先筋の売り急ぎの動きを誘った。日経平均は一時マイナス圏に沈む場面もあったが、2万7600円台では押し目買いが入り、前引け時点では再びプラス圏に切り返している。ただ、値上がり銘柄数を値下がり銘柄数が大幅に上回る状況にある。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は27日、通常の3倍にあたる0.75%の利上げを決めたFOMC後の記者会見で、利上げペースを緩和する可能性を示唆。今後の利上げ幅が縮小するとの見方が広がり、前日の米株式市場でハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は4%超高と、今年最大の上昇率となった。東京市場でも運用リスクを取りやすくなった投資家の買いが幅広い銘柄に入った。
ただ、2万8000円は今年に入って上値抵抗となっている水準とあって、目標達成感から利益確定売りや戻り待ちの売りを出す投資家が増えた。米金融引き締めが減速するとの観測から外国為替市場で円高・ドル安が進行したことも、輸出関連株のウエートが大きい日本株の上値を抑える要因となった。
市場では「世界の景気後退懸念は根強く、9月のFOMCまで経済指標を注視することになる。日経平均が足元で上昇していたことで、2万8000円が絶好の売り場とみた投資家が多かった。
「円高を横目に新規に先物売りポジションを構築する動きが出たもようだ。ただ、下を売り込む材料もない。当面は決算にらみで個別株物色を強めることになろう」との声が聞かれた。
東証株価指数(TOPIX)は続伸した。午前終値は前日比1.07ポイント(0.05%)高の1946.82だった。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆4167億円、売買高は5億8787万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は705と、全体の38%にとどまった。値下がりは1027、変わらずは105だった。
個別では東京エレクトロンがしっかり、信越化学工業も買いが優勢。4~6月期の連結決算(国際会計基準)で増収が好感されたエムスリーの上げが目立った。リクルートホールディングスも大きく買われた。ファナックも高い。前日に通期予想を上方修正した三菱自動車工業が値上がり率トップに買われ、東電HD、中部電力も値を飛ばした。
半面、トヨタ自動車が軟調、ダブル・スコープも売りに押された。サイバーエージェントは大幅安、三菱UFJフィナンシャル・グループなどメガバンクも冴えない。積ハウス、日東電、NTNやオムロンが売られた。バリューコマース、小糸製作所、太平洋工業などが急落した。
