11日のNYダウ工業株30種平均は続伸し、前日比317ドル02セント(0.9%)高の3万4261ドル42セントで終えた。
中国が10日に不動産の金融支援策の一部を延長すると公表したことが下支えの材料となり、11日の欧州株式市場は軒並み上昇。米市場もこの流れを引き継ぎ、金融などの景気敏感株に買いが入った。
6月の米消費者物価指数(CPI)の発表を12日に控え、内容を見極めたい雰囲気が強かった。そのなかで個別の取引材料が出た銘柄を中心に買いが入り、ダウ平均を支えた。
クラウドサービスの値上げを発表した顧客情報管理のセールスフォースが4%高で終えた。アナリストが投資判断を引き上げた工業製品・事務用品のスリーエム(3M)は5%高となり、金融のJPモルガン・チェースも買われた。4〜6月期の民間機の出荷台数が良好な伸びと受け止められた航空機のボーイングも買いが目立った。米原油先物相場が上昇し、石油のシェブロンも高かった。
2023年上半期は人工知能(AI)ブームをきっかけに関連株が大きく上昇した。「主力ハイテク株には利益確定売りが出やすい半面、出遅れ感のあった景気敏感株などへの循環物色が広がりやすい」との見方もあり、景気敏感株が多いダウ平均の支えとなった。米長期金利が4%を下回ったことも株式相場を支えた面があった。
12日朝には6月の米CPIが発表される。ダウ・ジョーンズ通信のまとめによると、市場はエネルギー・食品を除くコア指数が前月比で0.3%上昇と、5月(0.4%上昇)から伸びが鈍化すると予想している。一方、前年同月比では5.0%上昇と、米連邦準備理事会(FRB)の政策目標の2%を大きく上回った状態が続くとみられている。内容を見極めたい投資家が多かった。
製薬のメルクや医薬・日用品のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)などディフェンシブ株の一角には売りが出た。ハイテク株はまちまちとなり、スマートフォンのアップルが下げた。
ナスダック総合株価指数は続伸し、前日比75.218ポイント(0.5%)高の1万3760.699で終えた。11〜12日開催の「プライムデーサマーセール」で販売が増えるとの期待から、ネット通販のアマゾン・ドット・コムが買われた。新サービスが好調との見方から交流サイトのメタプラットフォームズも連日で上昇した。
【シカゴ日本株先物概況】
11日のシカゴ日経平均先物は上昇した。9月物は前日比25円高の3万2295円で終えた。
NYダウは、欧州市場の株価上昇を受け、景気後退懸念が和らぐとの観測から続伸した。東京市場でも日経平均株価が小幅高となったこともあり、日経平均先物に買いが波及した。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
32295 ( +55 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
32350 ( +110 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7282.52(+8.73)
11日のFTSE100種総合株価指数は続伸した。前日に比べ8.73ポイント(0.12%)高の7282.52で取引を終えた。中国政府が新たな景気支援策を打ち出すとの期待から、需要減速の懸念が和らぎ、資源セクターが上昇した。原油先物相場の上昇でエネルギーセクターも買われた。半面、11日発表の英国の労働関連統計は、賃金の伸びが一部で加速した。イングランド銀行(英中央銀行)が大幅利上げを続けるとの観測が強い中、英景気減速への警戒感が上値を抑えた。
FTSEの構成銘柄では、学生向け住宅の開発・運営を手掛けるユナイト・グループが2.98%高、商業用不動産大手ランド・セキュリティーズが2.72%高、小売り大手JDスポーツ・ファッションが2.45%高だった。
一方、有害生物管理会社レントキル・イニシャルは1.67%安、医療機器会社コンバテックは1.55%安、航空機エンジン製造大手ロールス・ロイスは1.52%安となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15790.34(+117.18)
11日のドイツ株価指数(DAX)は3日続伸した。前日に比べ117.18ポイント(0.75%)高の1万5790.34で取引を終えた。中国当局が10日、不動産の金融支援策の一部を延長すると発表した。同国による追加的な景気対策への期待感が投資家心理を支えた。自動車や金融、資本財や素材など景気敏感銘柄を中心に幅広いセクターが買われた。
個別では、不動産大手ボノビアが3.78%高、コメルツ銀行が3.67%高、通販大手ザランドが3.62%高と買われた半面、自動車大手BMWは0.93%安、ドイツ取引所は0.90%安、化粧品大手バイヤスドルフは0.73%安で引けた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7220.01(+76.32)
フランスCAC40種指数は1.07%高だった。
米国の利上げサイクルの終了観測や中国の景気刺激策への期待を背景に、鉱業株などを中心に買いが入った。
