9日午前の日経平均株価は続伸し、前引けは前日比160円37銭(0.56%)高の2万8604円56銭だった。一時、取引時間中としては2022年8月下旬以来およそ6カ月半ぶりの水準まで上昇した。
きょう前場は主力株をはじめ広範囲に買いが流入し、日経平均株価は上値指向を継続、一時2万8700円台まで水準を切り上げる場面があった。前日の米国株市場ではNYダウが安い一方、ナスダック総合株価指数は小高く引けるなど主要株価指数が高安まちまちの展開だったが、東京株式市場ではリスクを取る動きが依然として優勢となっている。
主要な半導体関連株で構成する米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は2.66%高で終えたことから、国内でも半導体関連株などを中心に幅広い銘柄が買われ指数を押し上げた。
ただ、あすのメジャーSQ算出や日銀の金融政策決定会合、海外では2月の米雇用統計発表などを控え、買い一巡後は上げ幅をやや縮小している。個別株の物色意欲は旺盛でプライム市場全体の8割近い銘柄が上昇した。
東証による低PBR(株価純資産倍率)企業への資本効率の改善要請に期待した買いも引き続き入り、鉄鋼株や金融株が上昇した。日経平均の上げ幅は一時300円に迫ったが短期的な過熱感から、一服後はやや上げ幅を縮めた。
「低PBR株が多いことによる強い割安感、円安基調、インバウンド(訪日外国人)期待など好材料がそろっていることが日本株の独歩高につながっている」とみていた。
市場では「買い先行後、日経平均先物にややまとまった売りが出て上げ幅を縮小したが、あす10日の日銀決定会合の内容が判明するまでは動きにくい」との声が聞かれた。
東証株価指数(TOPIX)は続伸した。一時、前日比20.39ポイント高の2071.60と取引時間中として21年9月以来の水準まで上昇した。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆4745億円、売買高は6億1142万株だった。東証プライム市場の値上がり銘柄数は1427と、全体の8割近くを占めた。値下がりは334、変わらずは74だった。
業種別株価指数(全33業種)では保険業、鉄鋼、パルプ・紙などの上昇が目立った。下落は鉱業の1業種だった。
個別では、きょうも断トツの売買代金をこなすレーザーテックが買い優勢だったほか、東京エレクトロン、アドテスト、信越化、ソシオネクストなど半導体関連に物色の矛先が向いている。三菱UFJフィナンシャル・グループなどメガバンクもしっかり。日本製鉄が人気を集め、東京海上、セブン&アイ・ホールディングス、味の素、トヨタ、住友不なども高い。サンケン電気は値上がり率トップに買われた。
半面、ファーストリテイリングが軟調、GMO-PG、ネットワン、ダブル・スコープも値を下げた。安永が利食われたほか、TOKYO BASEも安い。
