14日午前の日経平均株価は続伸し、前日比185円43銭(0.70%)高の2万6664円20銭で終えた。
きょう前場は朝方は売り優勢の展開で始まったが、下値では押し目買いや空売り買い戻しの動きが活発で、売り一巡後はプラス圏に浮上した。6月の米CPIはコンセンサスを上回る高い伸びとなったが、米国株市場で主要株価指数が後半持ち直したこともあり、過度な不安心理が後退した。
為替が急速にドル高・円安に振れたことで輸出株中心に買いを誘う形となり、全体指数を押し上げている。
円相場が一時1ドル=138円台に下落すると、自動車や機械などの輸出関連に買いが入った。値がさの半導体関連にも買いが入り、指数を押し上げた。上げ幅は200円を超える場面があった。
東エレクが3%高となるなど半導体関連の上昇が目立った。前日の米株式市場で主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が0.7%上昇し、東京株式市場でも関連銘柄の支援材料となった。「半導体関連はこれまでの下げが大きかったこともあり、見直し買いが入りやすかった」との指摘が出ていた。
外国為替市場で円安・ドル高が進むと、輸出採算が改善するとの観測から、輸出関連株に買いが入った。朝方に下げていた自動車や機械の一部は上昇に転じた。最近の下げが目立っていた海運などには買い戻しも入った。
朝方は売りが先行した。13日に発表された6月の米消費者物価指数(CPI)は上昇率が前月比、前年同月比ともに市場予想を上回った。米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めの加速で、米景気が悪化することへの警戒から、同日の米株式市場で主要3指数がそろって下げ、東京株式市場の重荷となった。
ただ、FRBによる金融政策を巡っては、2023年前半にも利上げから利下げに転じるとの見方がある。米景気の減速感が強まるなかでも米金融政策の道筋の確度が高まってきたとの受け止めから、株式市場では過度なリスク回避姿勢が和らぎつつある。
市場では「米国市場でSOX指数が上昇していたことを受け、朝方から半導体関連は堅調だったが、全体相場が下げ渋る動きをみせたことから、物色の範囲が広がったようだ」との声が聞かれた。
東証株価指数(TOPIX)は続伸した。午前終値は前日比3.07ポイント(0.16%)高の1891.92だった。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆1208億円、売買高は4億9572万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は868と、全体の5割弱を占めた。値下がりは848、変わらずは119だった。
業種別株価指数(33業種)は水産・農林業、海運業、電気機器などが上昇。下落は電気・ガス業、保険業、銀行業など。
個別では、レーザーテック、東エレク、スクリンなどのハイテク株が大幅高。川崎汽船や日本郵船、商船三井などの海運株も堅調に推移、ファーストリテ、ソフトバンクGキーエンスなども上昇した。第1四半期は想定以上の大幅増益決算となったウイングアークが急伸。ほか、22年5月期決算を発表して今期も増益見通しとなったサカタのタネ、23年2月期業績予想を上方修正したトレファクが大きく上昇した。
一方、東京電力HDを筆頭に関西電力や中部電力など電力株が軟調。三菱UFJや三井住友などの金融株、東京海上やMS&ADなども下落している。大幅な業績下方修正や期末無配転落を嫌気されたJINSHD、先行投資負担による赤字決算をマイナス視されたマネーフォワードが大きく下落している。ほか、第3四半期決算サプライズ限定的で出尽くし感が優勢のコシダカHDや、TSI HD、アステナHDが値下がり率上位に顔を出した。
