江戸の敵を長崎で撃つみたいな・・・

 NY株式市場は連日の値動きの荒い展開。
NYダウの日中値幅は1168ドル以上となり 結局は567ドル高と大幅に反発した。
2日で1840ドル下げた割には物足りない印象だ。
昨日の一辺倒のウリから転じたことで「ここ数日間は市場で大きな変動がみられたが、経済のファンダメンタルズは非常に強固。
これは米国だけでなく世界経済全体に言える」という見方も出てきた。
「アルゴリズム高速取引でボラティリティーが増加。
インフレ要因だけで相場が動いているとは考えにくい」という声もある。
警戒感は強いものの、多少の落ち着きを取り戻してきたとくことだろう。
VIX(恐怖)指数は29.98まで低下した。
スキュー指数は129.61。
下落の端緒となったのは金利上昇だったが、10年国債利回りは一時2.6%台まで低下。
2.755%で終了しており2.8%台からは低下したから変な推移。
「株価の変動に伴う安全資産としての米国債選好」という面白い解釈だ。
ドルは伸び悩みドル円は109円台。
昨年12月の貿易統計は赤字が拡大。
金額ベースで9年ぶりの高水準となったが影響は限定的だった。
スーパーボウルでNFCのイーグルスが勝ったことなど忘却の彼方ではある。
 
悲鳴も聞こえるかのような大幅下落。
日経平均は20回目の4ケタ安となった。
「上昇には連動できないことも多いのに、下落にはしっかり連動する」という形だった。
「一時は歴代第3位の下落幅(1603円安)まで崩落。
200日移動平均線に一時突っかけたものの結局は引けにかけて下げ渋った日経平均。
前日比6割増の5.6兆円(13年5月以来の水準)まで膨れ上がった東証一部売買代金。
値上がりが5銘柄しかなかった東証マザーズ(東証1部は35銘柄)。
めったに見られない出来事があれこれ起こった」という声。
「安値からは切り返し。
トヨタが上方修正を発表。
そろそろリバウンドは期待できる局面」というのも引け後の声。
現実は大きく崩れた罫線というところ。
3日で1800円の下落。
1月23日高値からの下落率が10.5%(NYダウは8,5%)。
取り戻すには結構時間も必要だろう。
2月2日現在の信用買い残は1383億円増加し3兆4304億円。
2015年8月の3兆5870億円以来2年5ヶ月ぶりの高水準。
信用売残は9363億円。
「待ちに待って、我慢に我慢を重ねた投資家が買うと相場が転換する。
この経験則は、今回も当てはまった」という皮肉な声も聞こえてきた。
日経平均は引け際に500円ほど戻した。
しかし安値水準で終わっていれば25日線からのかい離離はマイナス10%。
目先底打ちレベルには到達していた。
結局はマイナス8%レベルだがそれでも第二次限界水準ではある。
あるいはみずほ売買高は4億株。
反転レベルの5億株に今一歩だった。
空売り比率は42.6%と前日の44.5%から好転。
45.2%の昨年ピークにこれももう一歩だった。
騰落レシオは84.69%。
70%割れの反発水準まではこれもあと一歩。
サイコロは3勝9敗で25.0%。
松井証券信用評価損益率速報で売り方は▲14.518%(前日▲16.040%)。
買い方は▲9.229%(前日▲4.015%)と急速に悪化した。
マザーズ銘柄ネットストック信用評価損益率で売り方▲4.61%(前日▲13.24%)。
買い方▲14.67%(前日▲5.59%)と瞬間的に優劣逆転。
日経VIは31.02%と急上昇。
日経平均採用銘柄のPERは13.81倍。
株価の下落とEPSが1564.83円(前日1567.52円)まで上昇したことが背景だ。
因みに東証1部単純平均は2773円。
2016年6月安値は2423円。
その後の高値は1月23日の3059円。
636円の上昇は26%の上昇率。
しかしこの間日経平均は63%上昇していたのが歴史だった。
しかし今回の下落率は両方共ほぼ10%と同じレベルだから痛みは大きい。
シカゴ225先物終値は大証日中比735円高の22245円。
一応下げ止まり反発の形となった。
昨日まで陰線3本でマド2つ。
「3空叩き込みに売りなし」とはならないだろう。
まずは下抜けた75日線(22779円)の奪還が急務。
月曜から下向き始めた25日線(23537円)はかなり遠い。
一目均衡の雲の下限は22149円。
上限は22645円。
勝手雲の下限は23432円。
13日に黒くねじれて急角度の右肩下がりとなっている。
「昨日のNHKニュースで株安が大きく取り上げられていた。
NHKで取り上げられると『反転』することが多い」というアノマリーもあるという。
マスコミが報じると相場は逆というアノマリーは生きていると考えたいところ。
「ミニ・ブラックマンデー」とか「リーマン再来」といった不安心理を煽るようなコメント。
これには縛られない方が良い。
そして「いつか来た道」という既視感のあることからの思考を重要視したいところ。
今年勝ちなしの水曜の日経平均がようやくプラスになる気配。
因みにボリンジャーのマイナス3σは21879円。
マイナス2σが22415円だ。
 
「上がり過ぎていた」とか「バブルっぽかった」。
証券マスコミのように傍観者のように言い放つのは簡単だ。
昨日前場の東証アローズには数台のカメラクルー。
いつもハイエナのように見えてならない。
2万円とか2万4000円の上昇局面では来ないのに、大幅安の匂いを感じるとやってくる。
しかも寄り付きの日経平均を見て「日経平均は株価は400円以上の大幅な下げ」との実況。
先物が900円も下げているのに「400円」はないだろう。
常駐して相場を見ている訳でもなく、たまに映るからこんな素人チックな解説になるのだろう。
そして妙なアンチ資本主義者みたいな感じでの株安礼賛。
これでは市場は浮かばれない。
プロに素人が講釈する場というのはそんなにないだろう。
そして結論のない世界での話題の展開。
ワイドショーではないのだから結論がなければ意味がないという気がする。
下げたところで「警戒が必要です」もないものだ。
 
今回の下落は「VI暴落」と呼べば良いのかも知れない。
今のファンダメンタルは良好。
円高が来期業績を圧迫する可能性なんて知的な指摘もあるが現場を見ればそんなことはなかろう。
4~12月期決算の集計状況では7割の企業が増益。
昨日で全体の52.1%が開示した段階。
第3四半期売上高は9.9%増、同経常利益は24.5%増、同純利益は37.1%増。
通期売上高は7.6%増、同経常利益は15.8%増、同純利益は27.8%増の見通しだ。
罫線はもともと後付けの存在だからアテにはならない。
需給的には確かに信用買い残も裁定買い残も膨らんではいる。
NY市場は一昨日3分で600ドルも下落したから、これは間違いなくフラッシュ・クラッシュ。
日経朝刊でいう「自動取引、株安を増幅」の世界だ。
あるいは過去の言葉で言えば「プログラム売買」だろう。
加えて材料視されたのはボラティリティ。
日経では「株や債券など金融商品の値動きの大きさを数値化して投資先を決めるファンド」の存在だ。
「火薬庫」とも表現されている。
変動率が高まったから売るというスピーディで無機質な行為の横行。
だから下落幅は大きく「売りが売りを呼んだ」ことになる。
VIを相手にしたETFの早期償還が相次いだのも昨日のことだった。
厄介なのはこのボラというもの。
もともとは個別株がある。
その集合体が日経平均株価という指数。
この日経平均を原資産として派生しているのがコールプットのオプション取引。
このオプション取引の動きを基に形成されているのがボラティリティということだ。
個別株を親とすれば、ボラティリティはひ孫みたいな存在だ。
ひ孫が暴れて曽祖父が借金をするという奇妙な構図が現実なのである。
指数化というのは金融デリバの世界での有効な手段だし何でも指数化してデリバ化できる。
しかし江戸の敵を長崎で撃つみたいなかけ離れた世界というのはいかがなものだろう。
 
長い時間軸で見た相場。

NYダウはトランプ当選以降1年余りで42%上昇。
「株価水準はバブルではないが急上昇はちょっとスピード違反」との声。
因みに・・・。
NYダウは過去120年で年率6%上昇。
過去40年間で26倍、年率9%の上昇。
1ケタと2ケタではケタが違う。
一方日経平均株価。
1950年のボトム(1950年1月31日の92.6円)。
1989年のピーク(1989年12月末の38915円)までの40年で約400倍。
平成の30年間では株価は下落(1989年1月末31581円→現在)。
 
 
NYダウは567ドル高の24912ドルと3日ぶりに大幅反発。
NASDAQは148ポイント高の7115ポイントと4日ぶりに反発。
S&P500は46ポイント高の2695ポイント。
ダウ輸送株指数は178ポイント高の10528ポイント。
3市場の売買高は週末が53.2億株、月曜が115億株。
CME円建ては大証735円高の22245円。
ドル建ては大証比760ポイント高の22270ポイント。
225先物大証夜間取引は日中比240円高の21750円。
ドル円は1109.58円。
10年国債利回りは2.768%。
 
外資系等は三交(3232)、花王(4452)、ディスコ(6146)、
川重(7012)、物産(8031)、第一生命(8750)、
T&D(8795)、全国保証(7164)、H2O(8242)、
ガイシ(5333)、ケーズ(8282)、MCJ(6670)、
オムロン(6645)、KOA(6999)、フジシール(7864)、
松井証(8628)、パカライ(4095)、トヨタ(7203)に注目。
 
225先物はアムロ・JP・メリル・UBS・シティ・ナティクス・野村が買い越し。
ソジェン・みずほ・クレディ・大和・ドイツが売り越し。
TOPIX先物はみずほ・ドイツ・パリバ・HSBC・三菱・メリル・シティ・ナティクスが買い越し。
GS・モルスタ・JP・UBS・野村・クレディ・大和が売り越し。
 
テクニカル的にはアトラ(6029)が動兆。
 
<世界の主要株価指数、年初からの騰落率>   
北米・中南米                                
米S&P 500                             -0.92%
米ダウ平均                            -1.51%
米ナスダック総合                       0.93%
カナダ・トロント総合                  -5.39%
ブラジル・ボベスパ                     7.15%
アルゼンチン・メルバル                 3.59%
メキシコ・IPC                          2.11%
欧州                                        
欧州・STOXX600                        -1.84%
英・FTSE100                           -4.59%
ドイツ・DAX                           -1.78%
フランス・CAC40                       -0.50%
イタリア・FTSE MIB                     4.43%
デンマーク・OMXC20                    -5.37%
アジア                                      
TOPIX                                 -4.08%
日経平均株価                          -5.07%
シンガポール・ストレーツ タイ         -0.39%
ムズ                            
中国・ 上海総合                        1.89%
中国・CSI300                           2.91%
オーストラリア・S&P/ASX               -3.82%
香港・ハンセン指数                     3.24%
韓国・KOSPI 200                       -2.07%
タイ・SET指数                          0.79%
インド・SENSEX                        -0.54%
 
 
◇━━━ カタリスト ━━━◇
 
ピーパンドットコム(3559)・・・動兆。
 
ピーバンドットコムに注目する。
同社はサイト「P板.com」の運営が中核で試作用プリント基板製造受託。
受注が増加。
客単価は上昇。
JAXAも利用している。
取引先社数は累計1万8000社を超える。
IoT・ウェアラブル機器やロボティックスの拡大は追い風。

(兜町カタリスト櫻井)

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