歪み

NYダウは299ドル安と4日ぶりの反落。
約3週間ぶりの下落幅となった。
背景はFRBパウエル議長の議会発言。
国内経済に対する前向きな見方で「最近のデータでインフレは上昇するとの確信を強めている」とコメント。
これを受けてFRBが年内に4回の利上げをするとの観測が強まった。
従来路線の継続でしかないのに「市場を驚かせたもよう」との微妙な解釈も聞こえる。
所詮は「パウエル試し」の時期ということだろう。
ただ「市場との会話」という訳のわからない部分では赤点だったということに過ぎない。
市場の波乱を受けて3市場の売買高は74億株まで増加。
「熱気の中の冷水」という値動きだった。
10年債利回は2.901%と上昇。
2年債利回りも2.266%と上昇。
ただ安全資産としての債券の立場が出てきて利回り上昇の抑制要因となったとの解釈。
ドルは強含みでドル円は107円台前半での動き。
3月4日にはイタリア総選挙。
ドイツでは社会民主党(SPD)による大連立合意の承認を巡る結果が判明。
週末はユーロが主役というのが為替市場の懲りないコメント。
 
大幅高で3日続伸とはいうもの伸び悩んだ日経平均。
前場にクリアした25日線が重くのしかかった格好で「拍子抜け」という声もある。
半値戻り(22539円)はまだ遠い印象だ。
東証1部の売買代金が2.6兆円と前日比17%ほど増加したことが救いだった。
もっとも東証1部売買代金上位銘柄では第1位の任天堂から第10位のキヤノンまでそろってプラス。
第50位まででも値下がり銘柄は2銘柄だけだった。
25日線(22446円)からの乖離はマイナス0.3%。
騰落レシオは96.17%。
松井証券信用評価損益率速報で売り方は▲17.436%。
買い方▲4.957%と買い方有利継続。
2月23日現在の信用買い残は906億円増の3兆4462億円。
2015年8月以来の水準まで積み上がった。
2016年末2兆円水準から1.5倍以上となる。
信用売残は1373億円増の9520億円。
空売り比率は39.8%と2日連続40%割れだ。
日経平均採用銘柄のEPSは1688.53円でPERは13.26倍。
数字自体は悪くない。
シカゴ225先物終値はNY株の大幅反落を受けて大証日中比205円安の22175円。
ただ理由はパウエルFRB議長の議会発言。
「段階的な利上げを実施する方針を堅持」とのコメントを「年4回へと利上げ強化」と解釈した。
もともと2月の急落のトリガーはパウエル氏だったことを考えると長期化する悪材料ではなかろう。
前月比プラス基準は23098円、月足陽線基準23486円奪還は無理筋。
5日線 (22028円)は依然サポートしてくれそう。
勝手雲の上限22539円で下限21768円。
雲の中での月末。
今年2勝しかしていない水曜日。
気学的には「上寄りしたら吹き値売り方針」と役に立たない。
明日が「月の初日で株高アノマリー」だけに後場期待感という見方もある。
 
日経の「東芝危機」の連載。
イエスマンの跳梁跋扈は企業を陥れる典型に移った。
特に社長だった佐々木氏の語録。
本人がノー天気なのは周囲が愚かだったのかは不明。
しかし「佐々木さん語録誕生秘話」という小冊子は余計だろう。
というか愚かさの象徴にも見える。
優秀な人たちがどうしてこんな陥穽に入りこんだのかは不可解でもある。
結果論ながら・・・。
当時この小冊子の存在を知っていたら空売り注目銘柄になったことは疑いがない。
多くの倒産や上場廃止、あるいは不祥事などを見てきての経験則だ。
「創業トップの絶対神格化は許せるがサラリーマン社長の神格化は組織の歪み」。
「おかしい、変だ」と思いつつも、これが進展する企業はどこかで躓くことが多い。
上がる銘柄探しよりも実は下がる銘柄探しをした方が確率は良いのかも知れない。
「社長室を見れば会社がわかる」もあるし「社員を見れば会社がわかる」という法則もある。
社員出身の社長は時に社員だった頃を忘れたがるのかも知れない。
人間そんなに変わるものでもないとは思うのだが・・・。
一人一人は良い人なのだが組織になると無意識の悪人にも変わり得ることもある。
組織というのは企業でも軍隊でもあるいは父兄会などでも不思議な存在だ。
 
日経朝刊「大機小機」は「通貨の番人はどこへ行く」。
その骨子。
「金融緩和」の背景は「とにかく円高を止めてもらいたい」。
これは「為替の呪縛」と評している。
一度使った麻薬からはなかなか離れられないということだろう。
今の懸念は「財施破綻の防波堤」。
低金利で唯一助かるのは国の財政。
国債の低金利をテコに財政の大盤振る舞い。
未来への負債などと言って入るが本気で考えているとは思えない。
金利の上昇を日銀が止めてくれるなら両手を振って賛成だろう。
「通貨の番人から国の金庫番に」。
この表現はピタッとハマった。
結論は「円という通貨が信用を失うならば、そのツケは庶民に回る」。
円安礼賛論者に聞いて欲しいフレーズだ。
 
 
NYダウは299ドル安の25410ドルと4比ぶりの反落。
前日の上昇幅を消してはいない。
NASDAQは81ポイント安の7330ポイントと反落。
S&P500は35ポイント安の2744ポイントと反落。
ダウ輸送株指数は246ポイント安の10523ポイント。
3市場の売買高は74億株。
CME円建ては大証比115円高の22025円。
ドル建ては大証比125ポイント高の22035ポイント。
225先物大証夜間取引は日中比170円安の22210円。
ドル円は107.36円。
10年国債利回りは2.908%。
 
 
◇━━━ カタリスト ━━━◇
 
ダブルスコープ(6618)・・・動兆。
 
ダブルスコープに注目する。
同社はリチウムイオン電池セパレーターが中核。
EV関連の主役だ。
生産は韓国、販売先は日中韓。
停滞していた中国EV向けが今期は復調気配。
生産ラインの増強も奏功しようか。
ドイツのディーゼル車規制強化は追い風だ。
将来的には水処理、人工透析なども視野。
(1483円)。

(兜町カタリスト櫻井)

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