投機でなく

 
「投機でなく」
 
NY株式市場で主要3指数はそろって上昇。
S&P500は史上最高値を更新した。
イエレンFRB議長の前日の発言から12月利上げ観測が高まったことが背景。
ここに好調な耐久財受注が加わった。
民間設備投資の先行指標とされるコア資本財(非国防資本財から航空機を除く)の受注が前月比0.9%増。
市場予想の0.3%増を上回って着地。
ちなみに耐久財とはトースターから航空機まで3年以上使われるモノのこと。
出荷も拡大傾向を維持しており米経済の基調が底堅いと認識された格好。
またトランプ大統領は税制改革案を発表。
連邦法人税率は現行の35%→20%に引き下げる方向が好感された。
個人事業主やパートナーシップなど、いわゆるパススルー企業に課す税は25%に設定の方向。
これを受け、市場ではインフレ期待が高まった。
仮に抜本的な税制改革が実現すれば、レーガン政権下の1986年以来約30年ぶり。
この税制改正案から金融セクターが上昇。
また 小型株の指標であるラッセル2000指数は1.92%上昇。
上昇率は3月上旬以来の大きさとなった。
「税制改革が実現すれば、小型株が最大の恩恵を受けるとみられている」という解釈だ。
国債利回りは上昇(価格は下落)。
2年債利回りは一時2008年11月以来の約9年ぶりの高水準となった。
「市場ではインフレ期待が高まった」という。
ドルは主要通貨に対して上昇。
「税制改革を巡る楽観的な見方がドルの追い風」という声が聞こえる。
 
 
権利配当落ち分130円65銭を埋められなかった日経平均株価。
しかし下落幅は63円安だったから実質は67円高と計算はできる。
「東証1部の売買代金は何とか2兆円に乗せた程度で商いは急減。
配当・優待権利取りの買い物が霧消した格好」という指摘もある。
10月からの株式併合が300銘柄。
自動的に株価が10倍になった銘柄に「戸惑いがあった」という指摘もある。
前場のTOPIXの下落率が0.57%。
今年は前場0.4%以上の下落で日銀のETF買いが見られるが水曜も739億円のETF買い。
昨年も配当落ち日に買っていたが今年も同様だった。
「配当落ちなど考慮せず機械的に買っているだけ。
しかし選挙が近い政治状況を忖度したかも知れない」という声もある。
9月22日出店の裁定買い残は前週比3586億円と大幅に増加し2兆621億円。
裁定売り残は前週比672億円減少し5147億円。
メジャーSQを通過し、金利も少し上昇してきたことを背景に裁定取引も少しやる気が出てきた印象。
25日線からの乖離はプラス2.6%。
空売り比率の38.4%は好感される。
225先物大証夜間取引終値は日中比60円高の20380円。
先物では監理配当落ちを埋めてきたことになる。
26日に白くねじれた「勝手雲」は少なくともあと2週間は白いまま。
ボリンジャーのプラス2σ20531円に挑戦して欲しいところだ。
その手前が21日のザラ場高値20481円。
終値ベースでは25日の20397円がある。
5日続いた日足の陰線が陽線に変わるかどうかは今日の課題。
後講釈ながら「200日線を割れたら買い」というのが今年の法則でもあった。
 
【過去の権利落ち日から1カ月後の日経平均株価】
権利取り最終日  配当落ち分 4週間後の株価上昇幅
17年9月26日 130円      ?
17年3月28日 130円    ▲124円
16年9月27日 114円      681円
16年3月28日 127円      305円
15年9月25日 110円      945円
15年3月26日 110円      717円
 
結局、株式市場は多くの雑音の不協和音の中で動いている。
刹那的にはその不協和和音の単音に反応していることが多いのだろう。
しかし底流にあるのは、ベースのように響く米金利動向と金融の状態。
地政学リスクで株価が歴史的急落することは滅多にない。
米国金融情勢にともなった下落が多い。
これが市場の法則だと決め打ちすれば、北朝鮮やカタルーニャ州などで騒ぐ必要もないのだろう。
「枝葉末節でなく本質を」という格言はようやく陽の目を見るかも知れない。
 
日経1面では「FX倍率上限下げへ」の見出し。
金融庁は25倍の証拠金倍率を10倍に引き下げるという。
「個人投資家や金融機関が想定を超える損失を抱えるリスクが高まっている」というのが判断基準。
「日本発の市場混乱を防ぐ」というのが大義名分だ。
「まあ、市場はフリーでグローバルでフェアなんだから構わないだろう」という声もあろう。
しかしFXで苦悩する投資家さんは多い。
25倍は間違いなく投機である。
しかも株と違って社会に貢献することは滅多にない。
むしろ邪魔な存在とも言える。
かつて「FXで儲けた投資家が税金を払っているから貢献している」と言ったFXかぶれの投機家がいた。
これを聞いたときに、「これではあまりに皮相的」と思った記憶がある。
「変動率がどんなに大きくなっても元本がなくならないようにする」というのが金融庁の方針という。
株の信用取引だって投機的と言われるが倍率は3倍。
しかも規制は多い。
25倍なんて投資はないし、明らかに投機というのがFX。
そもそも現物取引よりも先物取り引きがメインというのはいかがなものだろうか。
経済の一端を担っているのではなく、丁半博打みたいな存在に映るのは気のせいではなかろう。
健全な投資家の育成のためには規制強化は必要なことと思う。
少なくとも追証や元本喪失で生活をなくす人は減少するに違いない。
錯覚や誤謬や考え違いは少なくなるだろう。
面白いことに投資情報面では「ニトリ、為替予約が下支え」という記事も登場している。
同社は輸入がメインだから円安は減益要因。
9月から18年2月までの下半期の決済レートは1ドル約101円で予約済み。
前年同期よりも11円の円高ドル安水準で約100億円の増益要因になるという。
「だからFXは必要」ということは絶対にない。
これはあくまで為替先物を利用しているが実態は実需。
実需のない個人に先物の必要性はそもそも薄いのだから関係のない話だ。
 
一方でマーケット面では「為替離れする日本株」の見出し。
TOPIXとドル円相場は年初から連動しにくくなった。
アベノミクス以来続いてきた「株高=円安」の構図が変わってきた。
背景は国際競争力を持つ企業の増加。
そしてリストラなど。
ソニーは15年前に1円の円高が80億円の減益要因だった。
ドル建て調達を増やしたので今は1円の円高が35億円の増益要因とされる。
「自国通貨が売られる国に反映はない。通貨が売られて消えた国はあるが、通貨が買われて滅びた国はない」。
そう言い続けて何年も経った。
昭和バブルだって円高局面で起こったことというのが記憶からは薄れているのだろう。
 
NYダウは56ドル高の22340ドルと5日ぶりの反発。
NASDAQは73ポイント高の6453ポイントと続伸。
S&P500は10ポイント高の2507ポイントと続伸し史上最高値更新。
ダウ輸送株指数は62ポイント高の9841ポイント。
3市場の売買高は65億株。
CME円建ては大証比70円高の20390円。
ドル建ては大証比105ポイント高の20425ポイント。
225先物大証夜間取引は日中比60円高の20380円。
ドル円は112.79円。
10年国債利回りは2.309%。
非公式外資系5社動向は売り1060万株、買い1440万株。
金額ベースは12億円の買い越し(2日ぶり)。
売りは機械・精密・サービス・鉄鋼セクターなど。
買いは小売・不動産・保険・紙パ・情報通信セクターなど。
売買交錯は電機・化学セクターなど。
 
◇━━━ カタリスト ━━━◇
 
アンジェス(4563)・・・動兆
 
アンジェスに注目する。
同社は遺伝子治療薬開発が中核。
重症虚血肢薬は医師主導研究終了
15日に尋常性乾癬を対象としたNFΚBデコイオリゴDNAに関する特許が欧州特許庁において成立。
日本では12年5月に特許登録。
新たな展開に期待。

(兜町カタリスト櫻井)

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