29日午前の日経平均株価は大幅に反落し、前週末比789円70銭(2.76%)安の2万7851円68銭で終えた。取引時間中としては10日以来、約3週間ぶりに節目の2万8000円を下回り、下げ幅は一時850円を超えた。
前週末26日の米株式市場は、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長がジャクソン会議での講演で、インフレ抑制策をやり遂げるまで続けると発言するなどタカ派姿勢を鮮明とした。これを受けNYダウは1008ドル安と急落した。週明け29日の東京株式市場も全面安となり、日経平均株価は2万8000円を割り込んだ。半導体関連などハイテク株を中心に売られた。
米カンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で26日に講演したFRBのパウエル議長はインフレの抑制について「やり遂げるまでやり続けなければならない」と述べた。東京市場でも朝方から幅広い銘柄に売りが波及した。
金利の上昇局面で割高感が意識されるグロース(成長)株に売りがかさみ、エムスリーやリクルートの下げが目立った。市場ではパウエル議長の講演で「FRBが金融緩和に前向きな『ハト派』姿勢になると予想して株式の持ち高を高めていた一部の市場参加者の『楽観』を一掃した」との声が聞かれた。
東証株価指数(TOPIX)も大幅に反落した。午前終値は前週末比39.33ポイント(1.99%)安の1940.26だった。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆3725億円、売買高は5億7491万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1690。値上がりは109、変わらずは38銘柄だった。
業種別株価指数(全33業種)では精密機器、機械、サービス業の下落が目立った。上昇は石油・石炭製品、鉱業の2業種だった。
個別銘柄では、ソフトバンクグループ(SBG)やファーストリテイリング、キーエンス、富士電機が安く、レーザーテックや東京エレクトロン、アドテスなど半導体関連株が売られた。日本郵船や商船三井も安い。東京電力ホールディングスやメルカリが下落した。
半面、SUBARUやマツダ、いすゞが上昇した。JFEホールディングスや三井化学が値を上げた。
