5日のNYダウ工業株30種平均は大幅に3日続落し、前週末比1175ドル21セント安の2万4345ドル75セントと昨年12月8日以来ほぼ2カ月ぶりの安値で終えた。下げ幅は史上最大となり、指数の全構成銘柄が下げた。
先週の雇用統計をきっかけとした米長期金利の上昇に対する警戒感が広がり、アジア・欧州株がほぼ全面安となり、米国株も売りが先行した。朝方はもみ合う展開となったが、先行き不透明感を受けた資金引き揚げが広がり、主要株価は揃って大幅下落となった。
ダウ平均は一時43セント安と前週末の終値に迫る場面があった。もっとも、相場全体が上昇するほどの勢いが乏しかったため、午後に入ると改めて持ち高を手じまう目的の売りが加速した。一時1597ドル近く下落するなど、荒い値動きとなった。
米長期金利の指標である10年物国債利回りが5日未明に一時2.88%と前週末から水準を切り上げた。金利上昇で企業の資金調達コストが増すうえ、個人消費も抑制し米景気の足かせになるとの警戒感が広がった。投資家が運用リスクを回避する姿勢が急速に強めた。
9年近く続いた米株式相場の上昇が「調整局面に入った」との見方が広がり、幅広い銘柄に利益確定や手じまいの売りが膨らんだ。航空機のボーイングや建機のキャタピラーなどが下落した。前週末に発表した四半期決算で1株利益が予想に届かなかったうえ、原油価格が下落したのを受けシェブロンやエクソンモービルなどエネルギー株も大幅に下落した。
ナスダック総合株価指数も大幅に3日続落し、前週末比273.420ポイント安の6967.526と昨年12月29日以来ほぼ1カ月ぶりの安値で終えた。アルファベット(グーグル)やフェイスブック、アマゾン・ドット・コムなど主力株が軒並み売られた。
セクター別では全面安となり、特に銀行や各種金融の下落が目立った。
個別では、半導体のクアルコム(QCOM)は、同業ブロードコム(AVGO)による買収額引き上げが報じられた一方で、アップル(AAPL)が同社製半導体の採用を取りやめるとの思惑から軟調推移した。大手行のウェルズ・ファーゴ(WFC)は顧客への不正行為に対して、FRB(米連邦準備制度理事会)が処分を発表し、大幅下落した。製薬のブリストル・マイヤーズスクイブは朝方発表の決算が予想を上回ったが、相場全体の下げにつれ売りに押された。
アップル(AAPL)も朝高後に下げた。音楽配信サービスで競合するスポティファイ(スウェーデン)を抜く可能性があると伝わり、収益拡大への期待が買いを誘ったが続かなかった。
VIX指数は37.32と前日から大幅上昇(前営業日17.31)。米景気の過熱やインフレの加速などに対する警戒感で、ダウ平均が一時下げ幅を1500ドル超に拡大するなど、週明けの米株は大幅続落し、VIX指数は一時2015年8月以来の高い水準となる38.80まで急上昇した。
NYダウ工業株30種(ドル)
24,345.75-1,175.21
S&P500種
2,648.94-113.19
ナスダック
6,967.526-273.420
米10年債利回り
2.707 ( -0.134 )
NY金(ドル/トロイオンス)
1,336.50-0.80
NY原油(ドル/バレル)
63.43-2.029
円・ドル
109.09 – 109.10-0.81
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は急落した。3月物は前週末比1555円安の2万1405円で終え、3月物の終値としては昨年10月下旬以来の安値をつけた。
大阪取引所の終値は1245円下回った。
世界株安を背景に投資家がリスク回避姿勢を強め、米株式とともに売り込まれた。
NYダウ平均は過去最大の下げ幅を記録し、日経平均先物の3月物も一時2万1350円まで売られた。この日の3月物の高値は2万2980円だった。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
21405 ( -1245 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
21410 ( -1240 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7334.98(-108.45)
FTSE100種総合株価指数は5日続落した。前週末2日の終値に比べ108.45ポイント安の7334.98と、終値ベースで2017年12月7日以来、約2カ月ぶりの安値で引けた。医薬品株と石油株、たばこ株の下げが指数を押し下げ、構成銘柄の約9割が下落した。
2日発表の米雇用統計の結果をきっかけにインフレ期待が高まり、米利上げペースが速まるとの観測から、債券利回りは上昇、世界各国の株式相場が下落した。
医薬品株が売られた。アストラゼネカは、がん免疫治療薬で競合する米ブリストル・マイヤーズスクイブが、肺がん免疫治療薬の臨床試験で良好な結果が出たことを明らかにし、これが売り材料となった。
原油相場の下落を背景に、石油のBPとロイヤル・ダッチ・シェルも下がった。たばこのインペリアル・ブランズとブリティッシュ・アメリカン・タバコも安くなった。
半面、小売りのキングフィッシャーと資源商社のグレンコアは上昇した。アナリストが株価目標を引き上げた鉱業のアントファガスタの上げも目立った。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12687.49(-97.67)
ドイツ株式指数(DAX)は6日続落した。終値は前週末2日に比べて97.67ポイント安の12687.49だった。
世界的な長期金利上昇を受けた米国・アジアの株式相場の調整が、欧州各国株式相場にも波及した。
ドイツでは、消費財のヘンケルと放送大手のプロジーベンザット1メディア、自動車のフォルクスワーゲンの下げが目立った。一方で、ドイツ取引所と半導体のインフィニオンテクノロジーズは上昇した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5285.83(-79.15)
フランスの株価指数CAC40の終値は前週末に比べて1%以上、下がった。
