市場はデイサービスではない

 
NY株式市場は反落。
下院は税制改革法案を賛成多数で可決。
本来なら好感されるべきだったが、株価は下院での採決後に一段と下落した。
「すでに金融緩和で刺激された景気への効果や金利の先行きを巡る懸念が法案成立に向けた期待感を上回った」。
材料出尽くし感からのもっともらしい解釈もある。
しかし米下院共和党指導部のマッカーシー院内総務のコメント。
「税制改革法案について下院が20日午前に再採決する必要がある」との見通しを示した。
上院の「バード・ルール」(通常10年とされる予算対象範囲を超える財政赤字拡大を禁じる規則)に違反しているというのがその理由。
ココを背景に株価は下落と見たほうが良いのかも知れない。
個別ではアップルの下落が目立っている。
11月の住宅建設統計で一戸建ての着工件数と許可件数が約10年ぶりの高水準と好調だった。
また税制改革法案の下院通過も債券利回り上昇の背景となった。
ドルも上昇したが上値は重かった。
「法人減税と経済成長加速に相関性があるという証拠は乏しい。
米国や海外で過去に法人減税が大幅かつ持続的に企業投資を拡大させた例は数少ない」。
そんな反論も登場し始めた。
バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの機関投資家調査。
株式市場が過大評価されていると感じている投資家の割合は45%。
1998年の調査開始以降で最高水準に達した。
ただ「全体の3分の2は米税制改革が来年の株価を押し上げると期待」という指摘もあった。
「割高なハイテク株から銀行その他の景気循環株に資金が移動している。
ハイテク株の投資比率は2014年6月以来の低さになった」という分析もある。
大多数が株価のピークが来年になると予想。
第1四半期派が25%、第2四半期派が30%、年後半派が28%。
来年の最重要リスクとして23%の投資家が挙げたのは
ECBやFRBが金融政策正常化過程で「政策の失敗」をすること。
債券市場が過大評価されていると答えた割合は83%。
過去最高だった10月の85%を下回った。
 
 
「NY株高に追随できず小幅反落」という形となった火曜の日経平均。
前場はプラスで後場はマイナスというのは先週と一緒。
この火曜後場の軟調はリーマンショックの前から続いているような印象だ。
12月1日、11日、12日、18日、19日。
今月は5回22900円台に乗せたが23000円は「厚い関門」。
9時5分の22900円がザラバ高値。
12月1日の22994円は9時16分。
期待が高まった挙句の「寄り天」の反復となった。
もっともシカゴの225先物高値が22975円と23000円に届いていなかった。
サプライズとも言えなかろう。
改めて「誰が上を買うのか」が問われる時期なのかも知れない。
25日線からの乖離はプラス1.3%。
騰落レシオは109.22%。
サイコロは4勝8敗で33.3%。
松井証券信用評価損益率速報で売り方は▲15.902%(前日▲16.130%)。
買い方▲3.305%(前日▲3.028%)。
マザーズ銘柄ネットストック信用評価損益率は売り方▲6.30%(前日▲5.34%)。
(9/7 0.06% 6/22▲19.47%)。
買い方▲8.12%(前日▲8.73%)。
(6/27 ▲5.12% 9/7▲20.66%)と接近した。
12月15日時点の信用買い残は8週連続増加。
986億円増の3兆1159億円。
2016年1月15日の3兆2038億円以来1年11ヶ月ぶりの高水準。
信用売り残は372億円減の9753億円と1兆円を割れた。
空売り比率は35.1%と前日の35.5%から低下。
日経平均採用銘柄のPERは15.05倍でEPSは1519円。
シカゴ225先物終値は日中比10円高の22810円。
米税制法案の行方を案じての不安定な動きになる可能性は高い。
「掉尾の一振に期待して最後まで踏ん張っていた投資家がそろそろ諦めはじめた、と考えれば分かりやすい。
弱気虫の機関投資家はもうすでに降りているだろうから、個人投資家中心に整理未了感があるのだろう」。
そんな声も聞こえる。
しかし大納会まであと8日。
クリスマス明けに期待するか、あるいは出来高薄の嘆きの場面を予測するかの分かれ道。
続落があっても1日で取り戻せる水準にとどまっていることは「相場の強さの裏返し」でもある。
 
日経朝刊1面トップは「日本株買い始めた日本人」。
11月の個人の株購入額は4年ぶりの高水準だった。
1~11月の個人は5兆円の日本株売り越し。
しかし購入額は119兆円と前年同期比13%増。
特に11月は前年同月比40%増の16.3兆円の買い。
2013年7月以来の高水準だ。
背景は世代交代。
「シニア層が保有株の処分を急ぐのが終活。
一方で若年層が株に資金と投じ始めたのが株活」。
お金を持っているのはシニアという戦略は曲がり角を迎えた。
使わないお金を当てにしても、戦術的には失敗になるような気がする。
金融機関はデイサービスとは違うという認識が必要だろう。
株式市場は引退世代が中核というのは古い認識。
株式市場でも現役世代が中核という時代こそ自然だ。
そういう意味では古臭い相場観もいらなくなってくるかも知れない。
毎月分配型で一斉を風靡したグロソブ。
資産総額が5兆8000億円になったのは08年8月。
足元では5500億円まで減少したという。
これは結構象徴的な出来事だろう。
 
「掉尾の一振」のアノマリーの検証。
過去20年の大納会前5日間の動向は17勝3敗。
勝率85%で平均上昇幅は225円。

2016年:19394.91円→19114.37円
               ▲280.54円
2015年:19033.71円 △147.01円
2014年:17450.77円 ▼184.37円
2013年:16291.31円 △420.89円
2012年:20395.18円 △355.85円
2011年: 8455.35円 △60.19円
2010年:10228.92円 ▼117.56円
2009年:10546.44円 △168.41円
2008年: 8859.56円 △135.78円
2007年:15307.78円 △276.18円
2006年:17225.83円 △120.87円
2005年:16111.43円 △170.06円
2004年:11488.76円 △279.32円
2003年:10676.64円 △304.13円
2002年: 8578.95円△172.07円
2001年:10542.62円 △109.10円
2000年:13785.69円 △358.61円
1999年:18934.34円 △472.41円
1998年:13842.17円 △62.72円
1997年:15258.74円 △459.34円
1996年:19361.35円 ▼329.11円
 
NYダウは37ドル安の24754ドルと反落。
NASDAQは30ポイント安の6963ポイント。
S&P500は8ポイント安の2681ポイント。
ダウ輸送株指数は13ポイント高10535ポイント。
3市場の売買高は68億株。
CME円建ては大証比35円安の22765円。
ドル建ては大証比10ポイント高の22810ポイント。
225先物大証夜間取引は日中比10円高の22810円。
ドル円は112.89円。
10年国債利回りは2.463%。
非公式外資系5社動向は売り560万株、買い860万株。
金額ベースは10億円の売り越し(3日ぶり)。
売りセクターは機械・薬品・陸運セクターなど。
買いセクターは電機・小売・情報通信・REITセクターなど。
 
 
◇━━━ カタリスト ━━━◇
 
メニコン(7780)・・・動兆。
 
メニコンに注目する。
同社はコンタクトレンズ製販が中核。
定額制「メルスプラン」が拡大基調。
業績は復調から好調。
盲導犬の白内障用コンタクト「メニワン)を推進。
戌年関連でもある。

(兜町カタリスト櫻井)

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