今年の大発会に書いたこと。
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元旦の日経1面トップ見出しは「『当たり前』もうない」。
サブ見出しは「逆境を成長の起点に」。
そして「30兆円覚醒、私たちの手に」。
この30兆円とは政府の成長戦略で計算された「IoT」などでの30兆円のこと。
つまり、GDP600兆円への道に示された方向性が登場したことになる。
始まった連載は「断絶(Disruption)を越えて」となった。
「瞬時に過去の成功体験を時代遅れにする断絶の波」。
「断絶がもたらす逆境でこそ、知恵が浮かぶ」。
「古い秩序や前例を壊す断絶の力」。
トヨタの「脱・ガソリン車」、三菱ケミカルの「脱・石油化学」。
正月から脳裏に残ったのは「脱」という字。
コアコンピュタンスからの脱却が企業成長の礎となるということ。
言い換えれば「選択と集中」から離脱した「拡張経営」の方向性だった。
中核となるのは07年を境に変化したデジタル社会の到来。
2017年のテーマとしてさらに登場するのだろう。
興味深かったのは2030年の日経平均予想。
日経ヴェリタスの市場関係者へのアンケートでは「3万円以上」が4割超。
「2万5000円~3万円未満」が31.7%。
10年経っても3万円という過去の経験則の延長戦上にいる市場関係者は多い。
「脱」とか「断絶」が叫ばれようとしている時に時代遅れとしか言えない。
一番前例とか慣習に囚われているのが株式市場ではないかという気がする。
成熟した企業でさえ変革を望んでいる時代。
新興中小型成長銘柄にこそやはり未来はあろう。
飛べない鳥より飛ぶ鳥。
ニワトリやペンギンではなく、宙を舞うハトやカラスやスズメを探すことが重要だ。
場合に寄ってはインコなのかも知れない。
そのキーワードを探す努力を今年も重ねていきたいと考えている。
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結論として日経平均は、4000円近い上昇となった悪くない1年だった。
新年見通しについてネガな見方もある。
NYダウが年間で15%超上昇した2013年、2009年、2006年、2003年、1999年。
年末にかけての3ヵ月程度で株価上昇が一段と加速していた。
一方で年明け1月から株価が調整局面に入ったケースが3回見られた。
残りの2回も2月には一旦ピークアウトしていた。
しかし「アノマリー破り」が流行の昨今。
過去のアノマリーに縛られなくとも良いかも知れない。
国内で気にかけるのは景気と企業業績。
海外では米国金利の動向と金融規制の方向。
これらをコアと考えれば、他のことはサテライト。
鳥が飛んだあとには戌笑う。
「申年から酉年、戌年、亥年にかけての4年間は、過去の相場では年間の株価上昇確率が高い時期」。
このアノマリーには拘りたい。
そして・・・。
欧州が利上げを開始する年の日経平均は過去4割高と大和のレポート。
(1)FRB1967年
ブンデスバンク・ECB1969年→日経平均上昇率37.6%。
(2)FRB1973年
ブンデスバンク・ECB1972年→日経平均上昇率91.9%。
(3)FRB1977年
ブンデスバンク・ECB1979年→日経平均上昇率23.4%。
(4)FRB1987年
ブンデスバンク・ECB1988年→日経平均上昇率36.8%。
(5)FRB1999年
ブンデスバンク・ECB1999年→日経平均上昇率36.8%。
(6)FRB2004年
ブンデスバンク・ECB2005年→日経平均上昇率40.2%。
すべての平均は45%上昇。
1973年と1978年は石油危機だった。
これを除いても36.8~40.2%となる。
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《大納会に際して》
大納会にあたり、今年もありがとうございました。
丁酉の年はこれで終わり。
戊戌の年へと進化をしていきます。
相場では記録に残る銘柄も大切。
でも記憶に残るシナリオや銘柄を抽出できたかどうかが問われた1年でした。
戌年に求められるのは相場の主役の世代交代。
今朝の日経朝刊でも指摘されていたのは「個人マネー回帰焦点」。
かつての方程式は通用しないという嘆きの声もありましたが方程式は可変の筈。
「捨てる勇気と拾う勇気」は銘柄だけではなく、シナリオにも戦略にも通じるでしょう。
「20%上昇で個人投資家は満足」は志の低さの傍証。
「次元を変えた目標、次元を超えた戦略」がなければ、市場は枯れゆくのみ。
そうではなく、ワープすることが求められているのは、市場も証券マスコミも個人投資家も機関投資家も一緒。
既成概念のその先に新たな展開はあると信じたいものです。
常識からの脱却の必要性がさらに顕著になってくると思います。
人真似でなく、独自の視点を磨くと少しは感動に出会えるのではないでしょうか。
驚きがあるからこそ株式市場は人とマネーを惹き付けてきました。
株式市場は確かに「欲望のぶつかりあいの場、欲望の血圧計」です。
それよりも投資家さんが重要視されるのは「相場で常に主人公、主役であること」。
そして「株式投資は生き様」。
ココだけは変わらない心理でしょう。
相場には酷寒の日も酷暑の日もあります。
でも小春日和や春眠だって巡ってくるもの。
厳しい気候を嘆かず明るい日を待てば良いだけのこと。
この時間軸も必要でしょう。
来る年も驚きと感動を求めて方向し咆哮し芳香を探ろうと考えています。
まさに「相場は変わり、世界が変わる」。
第5次産業革命だってその先触れは相場の世界からの初陣。
良い戌年をお迎えください。
(櫻井)。
