8日午前の日経平均株価は続落した。午前終値は前日比339円46銭安の2万1584円26銭だった。
東証株価指数(TOPIX)は26.56ポイント安の1573.28と、ともに一段安となった。
米国が中国製品への関税を引き上げるとの懸念が強まり、リスクを回避しようとする投資家の売りがかさんだ。外国為替市場で1ドル=110円近辺まで円高・ドル安が進んだことも輸出関連株を押し下げた。
前場中ごろには380円安近くまで下げ幅を広げる場面があった。米中摩擦への懸念から機関投資家が買いポジションを減らす動きが観測され、中国・上海株をはじめアジア株市場が総じて軟調に推移していることもあって押し目買いの動きは限定的だった
日経平均を対象としたオプションの価格から算出する日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は8日午前、前日比2.85ポイント(14.67%)高い22.28まで上昇した。
変動率を参照して自動的に資産配分を決める「リスク・パリティ戦略」をとるファンドなどの機械的な売りへの警戒感が強まったことも、日経平均の重荷となった。
市場関係者は、「日経平均も大幅な下落となっているが、より心配なのは東証株価指数(TOPIX)」と指摘し、株式相場全体の地合い悪化を警戒している。
トランプ米大統領の中国製品に対する関税引き上げ発言を契機にした貿易戦争の激化懸念を受けて、「株式市場は世界的な景気悪化を織り込み始めている」状況。欧米やアジアの株価が下値を模索する展開に陥っており、東京株式市場にも「海外投資家の売りが飛んできている雰囲気」とされる。
前引け時点の東証1部の売買代金は概算で1兆2754億円、売買高は7億430万株だった。東証1部の値下がり銘柄数は1798と、全体の8割強を占めた。値上がりは286、変わらずは55だった。
業種別株価指数(33業種)は空運業、精密機器、ガラス・土石製品、非鉄金属、卸売業を中心に全業種が下落した。
個別では、前日に2019年1~3月期の純利益が前年同期比13%減だったと発表したヤマハ発が大幅安。トヨタ自動車が安く、8日朝に搭乗システムに不具合が発生したと発表したJALも売られた。武田薬品工業、米中貿易交渉への激化懸念でコマツ、キーエンスが値を下げ、SUMCOなどの中国関連株が下落した。三菱UFJフィナンシャル・グループも下げ、ニチアス、スミダコーポレーションは大幅安となった。
半面、ZOZOが大商いのなか上値追い。東海カーボン、オリックス、ファストリ、ココカラFが上昇した。いであは一時ストップ高に買われる人気となった。シュッピンも活況高。イーブックイニシアティブジャパン、シグマクシスが値を飛ばし、アイフルも買われた。
東証2部株価指数は前日比51.94ポイント安の6867.46ポイントと5日ぶり反落した。
出来高2749万株。値上がり銘柄数は105、値下がり銘柄数は288となった。
個別では、エスビー食品、ケー・エフ・シー、パス、エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート、日本ハウズイングなど13銘柄が年初来安値を更新。インスペック、日本精機、大和自動車交通、セコニックホールディングス、ラピーヌが売られた。
一方、セキドがストップ高。ビューティ花壇、カワサキ、情報企画、アクロディア、加地テックなど7銘柄は年初来高値を更新。ダイナパック、アサガミ、セブン工業、Abalance、日建工学が買われた。
