壁を超えられるか

「壁を超えられるか」
 
NY株式市場は主要3指数は小幅高。
終値ベースの最高値を更新した。
特にNYダウは8日続伸で6日連続の過去最高値更新。
牽引役は金融セクター。
FOMCが始まり、会合後の声明が注目される中での上昇となった。
電気通信セクターなども堅調。
今回のFOMCはイエレン議長の会見付き。
「バランスシート、金利、フィッシャーFRB副議長の辞任などが材料。
イエレン議長が記者会見で何を語るか注目。
今回初めて2020年の見通しが発表される。
ボラティリティーが高まる可能性もある」という声が聞こえる。
8月の輸入物価指数は前月比0.6%上昇で着地。
7カ月ぶりの大幅な伸びとなった。
これを受けて国債利回りは上昇。
12月の利上げ観測も高まり確率は58%。
為替市場もFOMCを待つ姿勢。
トランプ米大統領の初の国連総会での演説を前にドルは対円で下落。
「結果的にはそれほど過激でなかった」との解釈が主流となった格好。
 
 
日経平均、TOPIXともに年初来高値更新。
明るい連休明けとなった火曜日。
9年前のリーマンショックの動揺など忘れた格好となった。
日経平均は6月20日の年初来高値(終値で20230円、ザラバ値で20318円)を更新。
東証1部の売買代金は3兆1059億円と3兆円台。
今年3兆円以上の売買代金を記録したのは4日だけ。
5月31日の3兆179億円からだ。
「その先に果てに6月20日の高値があった。
今回も同じパターンなら、この先3週間ぐらいの高値追い相場期待」という見方もある。
東証1部の時価総額は613兆7403億円と2年1か月ぶりで過去最大更新。
ココを超えるかどうかは長年の課題でもある。
新高値銘柄数は293に増加。
先週段階で25日線を上に抜け週末に75日線を上回っていた。
週足でも26週線と13週線を上回っていた。
これは伏線だったとの後付け論も聞こえる。
先週木曜から上向いた25日線(19578円)からの乖離はプラス3.68%。
ほぼ第一次限界線手順だが200日線からの乖離はまだプラス4.35%。
25日線からプラス8%乖離は21145円だからここまで挑戦できるかどうかが課題だ。
因みに日経平均のPER15倍で21255円とほぼ同水準だ。
勝手雲が9月26日に白くねじれているのは好感。
もっともボリンジャーのプラス3σ(20274円)を昨日の終値ベースで抜けた。
「一応日柄待ち」という声が聞こえないでもない。
ノーマークの日銀金融政策決定会合の結果は明日21日。
サプライズがあればヒジュラの新年からの相場材料となれるのかも知れない。
空売り比率の34%台は好感。
日経平均やTOPIXよりも東証1部単純平均株価が3000円台に乗せたことの意味の方が大きいだろう。
 
伏見稲荷、梅田、名駅、天神、仙台。
商業地の地価上昇率は地方の時代。
ニセコ、博多、那覇。
住宅地の地価上昇率も地方の時代。
「資産デフレ解消遠く」と言われるし、二極化とも言われる。
しかし人気の有無は当然のところ。
少しは変化の兆しと読みたいもの。
 
日経朝刊「大機小機」は「消費税問答を採点する」。
教師の出した問題は「消費税について考えを述べなさい」。
学生Aの回答は「むしろ税率を下げるべきです。
家計所得が増え、経済が活性化して財政再建にもプラスです」。
教師のコメント。
「税率を下げれば財政赤字が減ると言ううまい話はない。
君は『ただのランチはない』という経済の大原則を理解していない。
成績はD(落第)だ」。
一方で学生Dの回答。
「予定通り2019年10月に10%に引き上げ、増収分はできるだけ財政再建に充てるべきです。
再び増税を先送りすれば財政不安は増大。
将来そのツケが自分たちに回ってくるのでは、と不安になります」。
教師のコメント。
「そのとおりだ。成績はAだ」。
そして・・・。
「これから先の財政を展望すると、消費税率を10%に引き上げても厳しい状況は変わらない。
社会保障を中心に歳出を削減するとともに少なくとも消費税率を10%に引き上げる必要がある。
そう答えれば成績はAプラスだね」。
これって財務省の口頭試問のように読めるのは気のせいだろうか。
一方的に消費増税を持ち出して「大変だ」という教師のコメント。
大体「将来ツケが回ってくるのかどうか」は定かでない。
しかも心配する学生さんってどれほどいるのだろう。
こんな声がまかり通るから株式市場は迷惑する。
ひょっとすると・・・。
学生AがD判定で学生DがA判定というのは筆者のパラドックスなのかも知れない。
 
そもそも安倍首相は・・・。
8%から10%への消費増税の増収分のうち1兆円超を教育などの充実策に振り向ける方向検討。
幼児教育の無償化や大学の負担軽減などの財源を大胆に確保。
教育環境整える狙いという。
「消費税収の使い道を財政健全化や社会保障以外へ拡大することは財政規律の緩みにつながる」。
そんな懸念も聞こえるものの、財政規律だけが金科玉条なのは財務省だけ。
これが巧妙なだけになかなか理解されないから困ったもの。
加えれば・・・。
日本の長い間の低金利。
このお陰で一番損をしたのは個人金融資産だろう。
概ね800兆円の預貯金に対して得られなかった利息。
2%と仮定して25年間という時間を乗じてみると400兆円。
東証の時価総額の8割、年間税収の8年分。
搾取というには巧妙すぎて合法的に見えるから不思議なものである。
 
 
◇━━━ カタリスト ━━━◇
 
PCI(3918)・・・動兆
 
PCIHDに注目する。
同社は自動車・家電などの組み込みソフトが中核。
IoT、AI、自動走行、フィンテック関連、
業績は好調。
来週東京JPタワーで開催の「セキュリティウィーク」に参加予定。
標的型攻撃対策、ランサムウェア対策などに期待感。
情報セキュリティ関連でもある。

(兜町カタリスト櫻井)

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