反落92ドル安、金融株売られる

10日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比92ドル63セント(0.22%)安の4万0736ドル96セントで終えた。11日に8月の消費者物価指数(CPI)の発表を控え、持ち高調整の売りが優勢となった。金融株の下げも目立ち、ダウ平均の下げ幅は400ドルを超える場面があった。
 
純金利収入の見通しが厳しくなると公表した米金融大手JPモルガン・チェースは5.2%安と、大きく値を下げた。米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締め長期化の恩恵を受け、同社は巨額の純金利収入を確保してきたが、市場では「景気の先行きが悪くなる」との懸念が浮上。他行にも株安が波及した。
 
前日にデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)がトレーディング部門の低調な見通しを示したゴールドマン・サックスも安かった。
 
一方、利下げ幅を巡る市場の見方が定まらないなか、11日発表の8月の米CPIの内容を見極めたい雰囲気があった。10日夜には米大統領選の候補者討論会があり、「経済政策の議論を注目したい」との声があった。
 
ダウ平均は売り一巡後に下げ幅を縮めた。前週に下げが目立ったハイテク株の一部に買いが入った。景気の先行きへの警戒が根強い中、景気変動の影響を受けにくいディフェンシブ株の一角にも買いが入り、ダウ平均を支えた。
 
その他のダウ平均の構成銘柄では、ボーイングとナイキが下落。原油価格の下落を背景にシェブロンも安かった。アップルも売られた。一方、アマゾン・ドット・コムとマイクロソフトが上昇。アムジェンとユナイテッドヘルス・グループも買われた。
 
ナスダック総合株価指数は続伸した。前日比141.277ポイント(0.83%)高の1万7025.880で終えた。エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)といった半導体株の一部に買いが入った。アナリストが好評価を示したテスラも高かった。

【シカゴ日本株先物概況】

10日のシカゴ日経平均先物は下落した。9月物は前日比75円安の3万6140円で終えた。この日は日経平均株価が下落し、NYダウ工業株30種平均も11日に8月の消費者物価指数(CPI)の発表を控え、反落した。投資家心理がやや弱気に傾くとしてシカゴ市場の日経平均先物には売りが優勢となった。
 
シカゴ日経225先物 (円建て) 
36140 ( -10 )
 
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
36150 ( 0 )
 
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 8205.98(-64.86)

10日のFTSE100種総合株価指数は反落し、前日比64.86ポイント(0.78%)安の8205.98で終えた。原油先物相場の下落を背景に英シェルなどエネルギー株が下げ幅を広げ、指数を下押しした。銀行や資源・素材関連の銘柄にも売りが優勢だった。

原油先物相場の下落は、石油輸出国機構(OPEC)が10日公表した月報で2024年の世界の石油需要見通しを下方修正したのがきっかけとなった。国際指標のひとつである北海ブレント原油先物(11月物)は前日比4%ほど下げて1バレル70ドルを下回り、期近物として2021年12月以来の安値を付ける場面があった。

製薬の英アストラゼネカも下げた。第一三共と共同で開発する肺がんの治療薬候補の臨床試験で、主要項目の一部で統計学的に有意な改善がみられなかったと公表し、材料視された。住宅建設や不動産投資信託(REIT)など不動産関連の一角には買いが入った。

FTSEの構成銘柄では、金融大手バークレイズが3.26%安、投資会社メルローズ・インダストリーズが2.88%安、エネルギー小売り大手セントリカが2.45%安と売られた。

一方で、学生向け住宅の開発・運営を手掛けるユナイト・グループが3.94%高、小売り大手JDスポーツ・ファッションが3.42%高と、買われた。

 

■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 18265.92(-177.64)

10日のドイツ株価指数(DAX)は反落し、前日比177.64ポイント(0.96%)安の1万8265.92で終えた。独BMWと自動車部品の独コンチネンタルがともに前日比11%ほど下げるなど、自動車関連に売りが膨らんだ。

個別では、中国市場での需要低迷や自動車部品大手コンチネンタルのブレーキ不具合を巡る問題で業績見通しを下方修正した自動車大手BMWが、11.15%の大幅安。コンチネンタルも10.51%と大きく落ち込んだ。ドイツ銀行は4.91%安だった。他方、不動産大手ボノビアが2.17%高、分子診断大手キアゲンが1.33%高だった。

 

 

■フランス・パリ株価指数
CAC40 7407.55(-17.71)

フランスCAC40種指数は0.24%安だった。原油価格下落によるエネルギー株の下落が下げを主導した。

 

株ちゃんofficial xはこちら!
目次