13日のNYダウ工業株30種平均は大幅反落し、前日比524ドル63セント(1.35%)安の3万8272ドル75セントで終えた。1日の下げ幅としては2023年3月22日(530ドル安)以来の大きさだった。
この日発表の1月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.1%上昇だった。インフレの大幅な鈍化を見込んでいた市場予想より上振れし、米利下げ時期が遅れるとの見方が台頭。景気への悪影響が懸念され、ダウ、ナスダックともに大半の銘柄が下落した。足元の株高を背景に利益確定の売りも広がり、ダウは一時750ドル超値下がりした。
1月のCPIは前年同月比の上昇率が3.1%と、23年12月(3.4%)から鈍化したものの、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(2.9%)を上回った。エネルギーと食品を除くコア指数の伸び率は3.9%と市場予想(3.7%)以上だった。
CMEグループのフェドウオッチによると、5月までに0.25%以上の利下げが行われる可能性は、前日の約60%から、CPI発表後は約35%に低下した。米長期金利の指標である10年債利回りは、CPIを受けて4.1%台から4.3%台に急上昇した。
市場では「FRBの利下げが夏にずれ込む可能性がある」との見方が浮上した。市場の想定より利下げの時期が後にずれ、景気を下押しすることへの警戒が強まった。米債券市場では長期金利が上昇。金利の上昇で株式の相対的な割高感を意識した売りも出た。
ダウ平均など主要3指数は最高値圏にある。インフレの沈静化やFRBの利下げを織り込んで上昇していた後で、主力株を中心に利益確定や持ち高調整の売りが出た。市場では「利下げ開始の遅れが意識されると株売りが出やすい」との指摘があった。
個別では、化学のダウや建機のキャタピラーなどの景気敏感株が下げた。金融のゴールドマン・サックスとドラッグストアのウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスも売られた。半面、映画・娯楽のウォルト・ディズニーと保険のトラベラーズが上昇した。
ナスダック総合株価指数は大幅に続落した。前日比286.946ポイント(1.79%)安の1万5655.599で終えた。ネット通販のアマゾン・ドット・コムやネット検索のアルファベットなど大型株を中心に売りが出た。
【シカゴ日本株先物概況】
13日のシカゴ日経平均先物は上昇した。3月物は前日比215円高の3万7685円で終えた。同日の大阪取引所で日経平均先物が大きく上昇し、シカゴ市場の日経平均先物にも買いが波及した。半面、早期の米利下げ観測の後退を受け、13日の米株式相場は、市場予想を上回る米消費者物価指数(CPI)発表を受け早期の米利下げ期待が後退し、大幅に下落した。
日経平均先物にも売りが出て、上げ幅は限られた。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
37685 ( -445 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
37700 ( -430 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7512.28(-61.41)
13日のFTSE100種総合株価指数は反落し、前日比61.41ポイント(0.81%)安の7512.28で終えた。13日に英国や米国で発表された経済指標を踏まえて、英米で金融政策が利下げ方針に転じる時期が後にずれる可能性が意識された。英米金利の上昇とあわせて投資家心理の重荷となった。
情報関連サービスのRELXなどの商業・専門サービス、建機・産業機器レンタルのアシュテッド・グループや航空機エンジン大手ロールス・ロイス・ホールディングスといった資本財関連など幅広い業種・銘柄に売りが出た。金利動向に敏感な住宅建設株や不動産投資信託(REIT)も下げた。
FTSEの構成銘柄では、住宅大手バラット・デベロップメンツ(4.59%安)や同業のテイラー・ウィンペイ(4.39%安)、産金大手フレスニロ(4.38%安)が売られた一方、製薬大手のアストラゼネカ(1.04%高)やGSK(0.95%高)が買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 16880.83(-156.52)
13日のドイツ株価指数(DAX)は反落し、前日比156.52ポイント(0.91%)安の1万6880.83で終えた。13日発表の米経済指標を受けて、米国での早期利下げ観測が後退。米長期金利の上昇とともに、13日の欧州国債市場でドイツなど欧州国債の利回りも上昇したことが嫌気された。
個別では、8割が下落しており、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズが4.96%安と下落率トップ。業務用ソフトウエア大手SAPが2.98%安、不動産大手ボノビアが2.86%安と続いた。他方、防衛大手ラインメタルが4.61%高、ハノーバー再保険が1.13%高だった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7625.31(-64.49)
フランスCAC40種指数は0.84%安だった。CPIの結果を背景にハイテク株などが下落し、価格を押し下げた。