6日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比427ドル51セント安の4万2579ドル08セントで終えた。下げ幅は一時620ドル超となった。
米政権による関税政策を巡る不透明感が根強く、主力株に売りが膨らんだ。米景気減速への懸念もあり、投資家のリスク回避姿勢につながった。半導体株が軒並み下落したことも、相場の重荷となった。
トランプ大統領の高関税政策を巡る不確実性や、景気減速に対する警戒感が圧迫材料となった。米政権の方針は二転三転しており、この日の午後には貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」に適合したメキシコとカナダからの輸入品について、4月2日まで25%の関税賦課を猶予すると表明したものの、ダウ、ナスダック両指数とも終日マイナス圏で推移した。
この日は半導体銘柄などに売りが膨らんだ。米半導体大手マーベル・テクノロジーは5日夕、2024年11月~25年1月期決算を発表。2~4月期の収益見通しはほぼ市場予想と一致したものの、人工知能(AI)ブームに伴う伸長を見込んでいた向きから期待外れの内容と受け止められ、関連銘柄が売られた。
米政府は貿易相手国と同水準まで関税率を引き上げる「相互関税」を4月2日から課す方針。市場では「免除措置は好ましいが、貿易を巡る緊張感は残ったまま」(TD証券)と受け止められた。「関税を巡る状況が二転三転しており、予測困難なことが大きな懸念につながっている」との声も聞かれた。
米チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスが6日発表した調査で、米企業や政府機関が2月に公表した人員削減数は17万人を超えた。米政権が連邦政府の人員削減を進めていることもあり、1月から約3.5倍に急増した。同日朝発表の1月の米貿易収支では、米政権の関税発動を前に駆け込み輸入の増加もみられた。
同日発表の週間の米新規失業保険申請件数は22万1000件と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(23万5000件)を下回った。ただ、5日発表の2月のADP全米雇用リポートで非農業部門の雇用者数が市場予想を大幅に下回っており、7日発表の2月の米雇用統計を見極めたい雰囲気があった。
半導体株への売りも相場を押し下げた。ダウ平均の構成銘柄ではないが、半導体のマーベル・テクノロジーが19.8%安で終えた。5日夕発表の2024年11月〜25年1月期決算売上高は市場予想以上だったが、主力のデータセンター部門が市場の予想を上回らなかった。25年2〜4月期の収益見通しも予想並みにとどまった。アナリストから目標株価の引き下げも相次ぎ、嫌気した売りが同業銘柄にも波及し、エヌビディアは5.7%安、ブロードコムは6.3%安となった。
ダウ平均の構成銘柄では、ゴールドマン・サックスやアマゾン・ドット・コム、ウォルト・ディズニーが売られた。半面、ベライゾン・コミュニケーションズやユナイテッドヘルス・グループ、キャタピラーは上昇した。
ナスダック総合株価指数は反落した。前日比483.479ポイント(2.60%)安の1万8069.255(速報値)と、24年10月上旬以来の安値で終えた。下落率は一時3%に達した。昨年12月に付けた最高値からの下落率は10.4%となり、「調整局面」入りとされる水準になった。テスラが5.6%安と目立った。
【シカゴ日本株先物概況】
6日のシカゴ日経平均先物は下落した。3月物は前日比800円安の3万6895円で終えた。この日はトランプ米政権による関税政策の不透明感が強まって米株式相場が下落し、シカゴ市場の日経平均先物にも売りが広がった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
36895 ( -855 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
36910 ( -840 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
6日のFTSE100種総合株価指数は3日続落し、前日比73.00ポイント(0.83%)安の8682.84で終えた。同日に決算を公表した一部銘柄に売りが出た。米関税政策に不透明感が根強いほか、ドイツ長期金利につれた英長期金利の上昇も、投資家心理の重荷だった。
FTSEの構成銘柄では、6日公表した2024年12月通期決算で売上高が市場予想を下回り、材料視された投資会社メルローズ・インダストリーズは18.18%の大幅安、同日に24年12月通期決算を公表した有害生物管理会社レントキル・イニシャルも10.77%安と売られた。一方、資産運用大手シュローダーがコスト削減計画を発表したことで12.62%高、自動車保険のアドミラル・グループが5.00%高と買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
6日のドイツ株価指数(DAX)は続伸した。終値は前日比338.45ポイント(1.46%)高の2万3419.48と3営業日ぶりに最高値を更新した。拡張的な財政政策がドイツの経済や投資を支えるとの期待から、買いが続いた。自動車部品のコンチネンタルや独メルセデス・ベンツグループなど自動車関連の上昇も、指数を支えた。
自動車関連の上昇は、米政権がカナダとメキシコに対する関税で、北米の自動車産業向けに1カ月の猶予期間を設けると5日発表したことが支援材料となった。
個別では、ドイツ郵便が14.19%高と上昇率トップ。自動車部品大手コンチネンタルが6.74%高、商用車大手ダイムラー・トラックが6.20%高と続いた。他方、不動産大手ボノビアが4.70%安、通販大手ザランドが3.97%安だった。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は続伸し、前日比0.29%高で終えた。
