10日午前の日経平均株価は反落し、前日比397円74銭(1.41%)安の2万7848円79銭で終えた。
欧州中央銀行(ECB)は9日、7月に量的緩和政策を終えることを決定し、同月中に政策金利の0.25%の利上げを行う見通しを示した。これを受け、米長期金利が上昇しNYダウは638ドル安と急落した。
この流れのなか、東京株式市場も軟調な値動きとなり、日経平均は2万8000円を割り込んだ。特に、今晩は米5月消費者物価指数(CPI)の発表が予定されており、いったん利益確定売りを出す動きもある様子だ。為替相場は1ドル=134円00銭前後の円安水準で推移している。
欧州景気が減速し、世界経済に影響するとの懸念が強まった。東京市場でも、鉄鋼や非鉄、機械といった景気敏感銘柄の下げが目立った。
日経平均は前日までの5営業日で800円超上昇した。このところの円安進行で輸出採算が改善するとの見方から買われていた自動車株の一部などにも利益確定の売りが出ている。
半面、百貨店や不動産など内需関連の一部には買いが入った。10日からは観光目的のビザ発給が再開された。「新型コロナウイルス禍からの回復局面にある日本経済の相対的な強さが意識されている」との見方があった。
東証株価指数(TOPIX)は続落した。午前終値は前日比19.21ポイント(0.98%)安の1949.84だった。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆8103億円、売買高は7億1622万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1504と、全体の約8割を占めた。値上がりは265、変わらずは69だった。
業種別株価指数(全33業種)では鉄鋼医薬品、石油・石炭製品の下落が目立った。上昇は保険業、海運業、建設業など。
個別、ファナックやクボタ、住友鉱、日本製鉄が下落した。トヨタやファストリ、東エレクも安かった。第一三共やエーザイなど医薬株の下げも目立った。
一方、太平洋セメと住友大阪は大幅高。積ハウスや三越伊勢丹、T&Dも買われた。
