2日のNYダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落し、前日比348ドル16セント(1.0%)安の3万5282ドル52セントで終えた。大手格付け会社が1日に米国債を格下げした。市場予想を上回る雇用指標の発表もあり、米長期金利が上昇。株式の相対的な割高感が意識され、売りが広がった。ダウ平均の下げ幅は400ドルを超える場面があった。
フィッチは1日、米国債の格付けを最上級の「トリプルA」から1段階下の「ダブルAプラス」に引き下げた。
フィッチの格下げに加え、米財務省がこの日発表した中期債発行額の引き上げや、市場予想を上回る雇用関連指標を背景に長期金利が上昇したことも相場の重荷になった。金利上昇時に売られやすいハイテク銘柄を中心に値下がりした。
市場では「格下げの理由は新たな問題を提示した訳ではないが、発表時期は驚きを誘い利益確定の売りのきっかけとなった」との声が聞かれた。
堅調な雇用指標も相場の重荷となった。2日発表の7月のADP全米雇用リポートは非農業部門の雇用者数が前月比32万4000人増と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(17万5000人増)以上に増えた。4日には7月の米雇用統計の発表を控える。労働需給の逼迫を背景とした物価高が続き、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを停止しにくくなるとの観測を誘った。
米債券市場で長期金利は一時前日比0.10%高い4.12%と昨年11月以来の高水準を付けた。相対的な割高感が意識された高PER(株価収益率)のハイテク株は売られやすかった。ソフトウエアのマイクロソフトや顧客情報管理のセールスフォースが安かった。半導体のインテルや映画・娯楽のウォルト・ディズニー、航空機のボーイングも下げが目立った。
半面、医療品・日用品のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)や製薬のメルクなどディフェンシブ株は買いが優勢だった。四半期決算を発表した同業のCVSヘルスに連れ高し、ドラッグストアのウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスは4%高となった。
ナスダック総合株価指数は続落し、前日比310.466ポイント(2.2%)安の1万3973.447で終えた。前日夕に四半期決算を発表した半導体のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)は7%安で終えた。同業他社にも売りが波及し、エヌビディアは5%下げた。ネット通販のアマゾン・ドット・コムや交流サイトのメタプラットフォームズ、電気自動車のテスラなど主力株も軒並み売られた。
【シカゴ日本株先物概況】
2日のシカゴ日経平均先物は下落した。9月物は前日比855円安の3万2345円で終えた。
格付け大手フィッチ・レーティングスの米国債格下げが嫌気され、NYダウは4営業日ぶりに反落した。
日経平均先物にも売りが優勢だった。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
32345 ( -265 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
32380 ( -230 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7561.63(-104.64)
2日のFTSE100種総合株価指数は3日続落した。前日に比べ104.64ポイント(1.36%)安の7561.63で取引を終えた。1日に大手格付け会社が米国債を格下げしたのを受け、市場の混乱を警戒し、運用リスクを回避する目的の売りが出た。2日のアジア株式相場の大幅下落や同日の米株安も市場心理を冷やした。銀行や資源、エネルギーなど景気敏感銘柄を中心に幅広いセクターに売りが出た。
FTSEの構成銘柄は、オンライン食品販売のオカド・グループ(5.61%安)や産金大手エンデバー・マイニング(5.19%安)、保険大手プルデンシャル(4.44%安)などが売られた半面、航空・防衛大手BAEシステムズ(6.36%高)や医療機器のコンバテック(6.32%高)が買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 16020.02(-220.38)
2日のドイツ株価指数(DAX)は3日続落した。前日に比べ220.38ポイント(1.36%)安の1万6020.02で取引を終えた。1日に大手格付け会社が米国債の格下げを発表した。2日のアジア株式相場が下落するなど、市場の混乱を警戒し、運用リスクを回避する動きが強まった。前週末に過去最高値を更新していた後で、利益確定目的の売りの機会となった面もある。ヘルスケアやハイテク、金融など幅広いセクターに売りが出た。
個別では、医療機器のシーメンス・ヘルシニアーズが5.55%安と下落幅トップ。香料大手シムライズが3.59%安、通販大手ザランドが3.27%安と続いた。
一方、エネルギー大手シーメンス・エナジーは1.65%高だった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7312.84(-93.24)
フランスCAC40種指数は1.26%安だった。米国債の格下げを発表したことを受けて世界的にリスク回避の動きが広がり下落した。
