反落299ドル安、中東情勢緊迫でリスク回避

17日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比299ドル29セント安の4万2215ドル80セントで終えた。核開発問題を巡るイスラエルとイランの軍事衝突や米政府の関与を巡って緊張が高まり、投資家のリスク回避姿勢が強まった。
 
イスラエルとイランの交戦が激化する中、トランプ米大統領はこの日、SNSに「無条件降伏!」と書き込み、イランに降伏を呼び掛けたほか、米軍によるイランの核施設への攻撃に前向きになっているとも報じられた。市場で「米軍が投入されれば事態が泥沼化する」と不安が高まり、幅広い銘柄が売られた。
 
トランプ氏は中東問題に対応するため、カナダでの主要7カ国首脳会議(G7)を切り上げて16日に帰国していた。
 
 この日発表された5月の米小売売上高が前月比0.9%減と、消費の弱さを示す内容だったが、市場の関心は中東情勢に集まり、相場への影響は限定的だった。翌日に控える米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策決定は、政策金利の据え置きが予想されているが、今後の利下げ回数見通しなどが注視されている。
 
ダウ平均やS&P500種株価指数などは直近の高値圏に上昇しており、割高感が意識されやすい。米連邦準備理事会(FRB)が18日まで米連邦公開市場委員会(FOMC)を開いている。結果やパウエルFRB議長の記者会見を見極めたいとして積極的な売買を手控える参加者も多かった。
 
ダウ平均ではナイキやメルク、スリーエムが安い。アムジェンやジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)も下げた。一方、原油相場の上昇を受けてシェブロンは買われた。
 
ナスダック総合株価指数は反落し、前日比180.122ポイント安の1万9521.091で終えた。テスラやパランティア・テクノロジーズが下げた。
 

【シカゴ日本株先物概況】

17日のシカゴ日経平均先物は下落した。9月物は前日比280円安の3万8230円で終えた。この日は中東情勢の緊迫を背景に米株式相場が下落し、シカゴ市場の日経平均先物にも売りが優勢となった。

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
 

17日の英FTSE100種総合株価指数は反落し、前日比41.19ポイント(0.46%)安の8834.03で終えた。イスラエルとイランの軍事衝突を巡り情報が錯綜(さくそう)するなど中東での緊張状態が改善する兆しがみえず、投資家心理の重荷となった。
 
英ロイズやバークレイズといった銀行株に売りが膨らんだ。空運のほかアストラゼネカといった製薬、資源にも売りが優勢だった。一方で、原油先物相場の上昇を受けて石油大手の英BPとシェルに買いが入り、指数を下支えした。
 
FTSE構成銘柄では、航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)が4.37%安、賭け屋大手エンテインが3.28%安、流通大手バンズルが2.87%安と下げを主導。一方、2025年4月期決算とあわせて増配計画を示した建機レンタルのアシュテッド・グループは4.15%高、通信大手BTは1.73%高、石油大手BPは1.66%高と買われた。

■ドイツ・フランクフルト株価指数
 

17日のドイツ株価指数(DAX)は反落した。終値は前日比264.47ポイント(1.11%)安の2万3434.65と5月8日以来、約1カ月ぶりの安値となった。中東情勢で緊張した状況が続いていており、投資家が慎重姿勢を強めた。
 
時価総額が大きい主力株を中心に売りが広がった。ドイツ銀行をはじめ金融や、医療機器のフレゼニウスといったヘルスケア関連が下げた。一方で、化学のBASFなど素材関連の一部銘柄に買いが入った。
 
個別では、人工透析製品・サービスのフレゼニウスメディカルケアが4.47%安、コメルツ銀行が4.33%安、通販大手ザランドが2.44%安と下落した半面、2025年12月期の売上高見通しを上方修正した航空機エンジン大手MTUエアロ・エンジンズは1.69%高、不動産大手ボノビアは1.04%高、化学大手BASFは0.35%高で引けた。

■フランス・パリ株価指数

フランスの株価指数CAC40は反落し、前日比0.75%安の7683.73と5月7日以来の安値で終えた。

 

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